[配布資料]
令和元年度上半期における消費税転嫁対策の取組状況及び今後の取組について(令和元年10月23日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(令和元年10月23日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
令和元年度上半期における消費税転嫁対策の取組状況及び今後の取組について
本日,私の方からは,消費税転嫁対策の取組等についてお話しいたします。
公正取引委員会では,これまで転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な法執行及び転嫁拒否行為の未然防止の観点から,消費税転嫁対策に取り組んでまいりましたが,令和元年度上半期は,令和元年10月1日の消費税率の引上げ前の半年間に当たりますことから,転嫁拒否行為の未然防止を図ることに一層重点を置いて,各種の取組を行ってまいりました。本日はその取組を資料として公表いたしますので,お手元の資料に従って,そのポイントを御紹介いたします。
まず,未然防止のための取組について御紹介いたします。資料の6ページ,7ページあたりを御覧ください。令和元年度上半期におきましては,消費税率8%から10%の引上げに係る転嫁拒否行為の未然防止の観点から,全都道府県において60回の説明会を集中的に実施いたしました。そこで事業者への消費税転嫁対策特別措置法の周知に努めてまいりました。
また,事業者の消費税率引上げへの意欲が高まることが想定されます引上げ前後の9月と10月の2カ月間に,新聞,雑誌,交通広告,バナー広告等を活用した事業者向けの広報を実施し,転嫁拒否行為が禁止されていること等を積極的に周知いたしました。
さらに,ちょっとお戻りいただきますが,資料の1ページから2ページにかけて記載しておりますように,転嫁拒否行為に係る情報収集にとどまらず,転嫁拒否行為に対する牽制効果も狙って,5月に大規模小売業者や大企業等買手側の約8万の事業者に対する書面調査,中小企業や小規模事業者等売手側の約30万名の方々に対する書面調査を実施いたしました。
こうした引上げ前の書面調査によって把握しました消費税率8%から10%への引上げに係る転嫁拒否行為につながるおそれがあるものに対しましては,9月末までに411件の指導を行っており,転嫁拒否行為の未然防止に大きく寄与したと考えております。
次に,令和元年度上半期の転嫁拒否行為に対する処理状況について,主な点を御紹介いたします。今度は資料の4ページ,5ページを御覧ください。令和元年度上半期は,5件の勧告を行いました。これまで勧告事件となったのは,買いたたきのケースがほとんどでしたが,5月に行いました株式会社リクルートホールディングス及び株式会社リクルートに対する勧告では,減額行為に対して勧告の措置を採りました。9月に行いました大東建託株式会社及び大東建託パートナーズ株式会社に対する勧告では,大東建託パートナーズ株式会社による原状回復額が約30億円と過去最大となりました。
こうしたこともあり,6ページの第5表にありますように,令和元年度上半期の原状回復額は約34億7700万円と大きな額となっております。
最後に,消費税率引上げ後の今後の取組について御紹介いたします。資料の9ページでございます。公正取引委員会は,転嫁拒否行為を受けた事業者がその事実を申し出にくい場合があると考えられますことから,これまで悉皆的な書面調査を実施し,転嫁拒否行為に関する情報収集を積極的に行ってまいりました。
消費税率10%引上げ後におきましても,消費税率8%から10%の引上げに係る転嫁拒否行為に関する情報を収集するため,10月以降,中小企業庁と共同で約280万の中小企業,小規模事業者等及び約350万の個人事業者に対する悉皆的な書面調査を行うこととしており,今月1日には,第一弾として約100万通の調査表を発送いたしました。
公正取引委員会としましては,引き続き,事業者からの相談に丁寧に対応するとともに,書面調査などによって把握しました転嫁拒否行為に対しては,消費税転嫁対策特別措置法に基づき,迅速かつ厳正に対処してまいります。
本件の担当は,取引部の消費税転嫁対策調査室でございます。
質疑応答
(問) 先週ぐらいから,公正取引委員会としてキャッシュレス事業者の実態調査を行うとちょっと一部報道で話題になっています。問題としては,利用者がキャッシュレスのアプリとかにお金をチャージするときに,金融機関がQRコードの事業者から手数料を取っているわけですけど,それはちょっと割高なのではないかというような懸念があるということで,公正取引委員会として調査されるというふうなお話のようなんですけど,事実関係と調査の狙いなどをお願いします。
(事務総長) 先週行われました未来投資会議の下の会合におきまして,いわゆるキャッシュレス決済など,その点について議論が行われたと承知しております。その中で,公正取引委員会としまして,キャッシュレス決済や家計簿アプリに関する実態調査を行うということを御説明しております。
そうしたキャッシュレス決済や家計簿サービスを提供する,いわゆるフィンテック企業が新規参入していくということは,金融分野における競争の活発化,それから,利用者の利便性や選択肢の向上,拡大という点から,非常にメリットがあるわけですし,そうした点でフィンテック企業の参入を抑える,あるいは妨げるような要因があれば,そうした期待される利便性の向上ですとか,機会の拡大といったものは妨げられることになる懸念があります。
そうした観点から,よく業界における取引の実態,私ども,その全容について,いろいろなことを現時点で把握しているわけでは必ずしもありませんので,そうした実態を踏まえて,その業界の取引慣行あるいは規制の実態,そうしたものが新規参入を妨げるようなものになっているのかどうかということを把握したいというふうに考えているところでございます。
具体的な細かい内容というのは,現在,これから進めようとしているところでございますので,今,申し上げたような参入障壁をより高くするような行為というものは,いろんな角度から見ていきたいというふうに思います。
以上