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令和2年5月27日付 事務総長定例会見記録

令和2年5月27日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和2年5月27日(水曜)13時30分~於審判廷)

令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組について

 本日,私からは,下請法の運用状況等について御紹介いたします。公正取引委員会では,中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法等の一層の運用強化に向けた取組を進めておりまして,その状況を本日,「令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」として公表いたしましたので,お手元の本文資料に沿って,その主な内容を御紹介いたします。
 まず,1ページでございますが,下請取引におきまして,下請事業者は,親事業者から不利益を受けましても,その立場上,公正取引委員会等に報告し難いという事情を踏まえまして,親事業者・下請事業者双方に定期的な書面調査を行いまして,下請法違反行為が生じていないかを確認しております。令和元年度は,親事業者に6万通,下請事業者に30万通,発送しております。
 次に,下請法違反事件の処理状況についてですが,4ページの棒グラフを御覧ください。令和元年度におきましては,7件の勧告と8,016件の指導の措置を採りました。この措置件数は,これまでで最多となっております。
 なお,令和元年度の勧告事件について,20ページ目以降の別紙1に概要をまとめておりますけれども,従業員派遣や支払遅延に対して初めて勧告を行ったという点,これが特徴として挙げられるかと思います。 このような取組の結果,12ページの表と13ページのグラフにもございますように,下請事業者7,469名に対して,27億7651万円相当の原状回復が行われております。
 また,公正取引委員会では,働き方改革に関連する事案や金型に関連する事案に対する下請法の積極的な運用を進めております。
 今回,24ページ目以降の別紙2のとおり,令和元年度における働き方改革に関連する下請法違反について,10の実例を示しております。親事業者におかれましては,自社内の働き方改革によって,下請事業者が残業等による対応を余儀なくされるなど,「しわ寄せ」を及ぼすことのないよう,十分注意の上,適切な対応をお願いいたします。
 また,27ページの別紙3のとおり,令和元年度における金型に関連する下請法違反の実例を4つ示しております。金型代金の支払遅延が1例,金型を下請事業者に無償で保管させるなどによる不当な経済上の利益の提供要請,これが3例です。
 また,下請法違反行為に対して措置を採るということに加えまして,その未然防止を図ることも非常に重要でありまして,資料の15ページ目以降に記載しておりますとおり,企業間取引の公正化へ向けた取組を実施しております。
 まず,下請法や優越的地位の濫用規制の普及・啓発を図る観点から,参加者の習熟度に応じた各種の講習会を開催しています。また,中小事業者からの求めに応じて公正取引委員会の職員が出向く移動相談会を開催するなど,きめ細やかな対応も行っております。
 特に,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」としまして,中小企業庁と共同で下請法の普及・啓発を集中的に行っております。昨年11月は全国62会場で,公正取引委員会の担当は26都道府県の33会場ですが,全国62会場におきまして,下請法に関する講習会を開催しましたほか,親事業者約20万名と,関係事業者団体約1,100団体に対しまして,下請法の遵守の徹底等を要請する文書を発出いたしました。
 また,企業間取引の公正化を図る必要が特に大きいと考えられます分野につきまして,実態調査等を実施しております。令和元年度は,「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査」の調査結果を昨年6月に公表いたしました。また,「荷主と物流事業者との取引に関する書面調査」を実施しまして,物流特殊指定に照らして問題となるおそれがあると認められた864名の荷主に対して,物流事業者との取引内容の検証・改善を求める文書を発出いたしました。加えて,「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査」を進めているところであります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で,下請事業者は厳しい対応を迫られている状況にあります。公正取引委員会といたしましては,本年5月13日に,中小企業庁と連名で下請法等に係るQ&Aを公表するなど,下請取引の適正化に取り組んでいるところです。
 こうした新型コロナウイルス感染症の影響を含めて,引き続き下請法違反行為に厳正に対処しますとともに,下請法違反行為の未然防止の観点から,下請法の普及・啓発を図ることなどによって,下請取引の一層の適正化に努めていきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 新型コロナの関係で,改めて状況についての所感と,あるいは見込みみたいなものを頂ければと。
(事務総長) 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で,まずは相談をいろいろ頂いていると聞いております。親事業者からも相談が来ておりますし,下請事業者からも来ていると聞いております。中小企業庁と連名で出しました,Q&Aに類するような相談がいろいろ寄せられておりまして,事前に御相談していただくのは非常にいいことでございますので,問題が起きる前に,迷ったら是非御相談いただくとともに,新型コロナの状況の中で,調査等については,対面の調査を控えたりしておりますけれども,下請事業者の方々が不当な不利益を受けている疑い等の情報を受け付けるという体制はしっかりと引き続き取っておりますので,そういう情報を寄せていただければと考えております。いずれにしても,こうした状況の中でも,下請法,独占禁止法違反のないように行うことが健全な経済にとって重要だと思いますので,そういうことを十分意識していただければと考えております。

(問) 本日,午前中の参院本会議のほうで,特定デジタルプラットフォームに関する法案が可決されまして,この中では,公正取引委員会のほうでも独禁法に違反するようなものがあれば対処されるということではありますけれども,これについての所感を頂戴できればと思います。
(事務総長) デジタル・プラットフォームについては,政府の中でずっといろいろ議論が行われてきまして,今,挙げていただきました法律案が今回,本国会に提出されたということであります。そして,本日,参議院で可決・成立したと聞いております。内容については,この法律は特定デジタルプラットフォーム提供者の透明性,それから公正性の向上を図ることが目的で,独占禁止法との関係でいいますと,そういう競争環境の整備を図るという意味で,独占禁止法違反行為の未然防止の上でも非常に意義があると考えております。
 ただ,この法律でそういう環境の整備は図るとしても,さらに,独占禁止法に違反する行為が行われれば,この法律の規定にありますように情報提供いただくなり,その他のルートでも公正取引委員会に情報が寄せられることがございますが,そうした情報を得れば,独占禁止法に基づいてしっかりと調査をし,厳正的確に対応して,適切な措置を採っていくということを引き続きやっていきたいと考えております。

以上

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