[配布資料]
令和元年度における消費税転嫁対策の取組と今後の取組について(概要)(令和2年6月24日公表)
令和元年度における消費税転嫁対策の取組と今後の取組について(本文)(令和2年6月24日公表)
[発言事項]
事務総長会見記録(令和2年6月24日(水曜)13時30分~於審判廷)
令和元年度における消費税転嫁対策の取組について
本日,私からはまず,令和元年度における消費税転嫁対策の取組と今後の取組についてお話しいたします。
公正取引委員会では,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な法執行と転嫁拒否行為の未然防止の観点から,消費税転嫁対策にこれまで取り組んでまいりました。お手元の資料のうち,横長の概要資料に沿いまして主な点を御紹介いたします。
1ページ目をまず御覧ください。令和元年度は令和元年10月1日に消費税率10%への引上げが行われましたけれども,引上げ前におきましては,2つ目の囲みにありますとおり,消費税率引上げに向けて,転嫁拒否行為の未然防止の観点から,消費税転嫁対策特別措置法の説明会を開催し,また,集中的に広報を行うなど各種の取組を行ってまいりました。
また,1つ目の囲みの「書面調査」の項目にありますとおり,転嫁拒否行為に対する牽制効果も狙いまして,5月に大規模小売事業者や大企業等の買手側の約8万名の事業者に対する書面調査,そして,中小企業や小規模事業者等の売手側の約30万名に対する書面調査を実施いたしました。
引上げ後におきまして,同じく「書面調査」の項目にありますとおり,消費税率10%への引上げに係る転嫁拒否行為が行われてないかどうかを把握するため,10月以降,中小企業・小規模事業者等約280万名,個人事業者約340万名の計約620万名に対する悉皆的な書面調査を実施いたしました。
公正取引委員会では,書面調査に対する回答等から得られた情報を元に調査を行って転嫁拒否行為が認められた場合には措置を採っておりますけれども,1つ目の囲みの「措置件数」の項目にありますとおり,令和元年度は6件の勧告と743件の指導を行いました。
資料の上の右側の「(参考)」のところですけれども,消費税率8%への引上げ後の半年間と消費税率10%への引上げ後の半年間の措置件数を比較しております。御覧のとおり,8%引上げ時は勧告が10件あったのに対しまして,今回の10%引上げ時は1件にとどまっております。このように,これまでのところ,重大な転嫁拒否事案につきましては,8%引上げ時よりも大幅に少なくなっていると思っております。
2ページ目を御覧ください。措置件数の業種別内訳と措置件数の行為類型別内訳をグラフ化しております。業種別内訳を御覧いただきますと,製造業,建設業,小売業の順に多くなっているということであります。また,行為類型別内訳としましては,買いたたきが72%と圧倒的に多く,減額がそれに続いているということであります。
3ページ目を御覧ください。令和元年度に行いました6件の勧告のうち,大東建託パートナーズに対する勧告では,同社による原状回復額が30億円を超えておりまして,過去最大となっております。このほか12月には,消費税率10%への引上げに際して行われました転嫁拒否行為に対する初めての勧告となりますカルチャーに対する勧告を行っております。
最後に,消費税率引上げ後の今後の取組についてでありますけれども,公正取引委員会は,令和2年度におきまして消費税率10%への引上げに係る転嫁拒否行為に関する情報を収集するため,本年5月以降,大規模小売業者や大企業等の買手側の約8万名の事業者に対する書面調査を実施しますとともに,中小企業庁と共同で約280万名の中小企業・小規模事業者等,それと約340万名の個人事業者に対する悉皆的な書面調査を行っております。
公正取引委員会としましては,引き続き,事業者からの相談に丁寧に対応いたしますとともに,転嫁拒否行為に対しましては,消費税転嫁対策特別措置法に基づきまして,迅速かつ厳正に対処していきたいと考えております。
私からは以上でございます。
質疑応答
(問) 本日,経済産業委員会で話が出た案件なんですけれども,大手広告代理店の電通さんが,下請などの企業を通じて,他社の国が委託する事業に対しての入札に対する圧力をかけたというような報道が出てまして,それに対して,今日,野党議員の方が申告を出して,それで審査局長が受理されました。これに対する今後の御対応と,個別の案件なので何かとコメントしづらいとは思うんですけども,一般論として,こういった事案が独占禁止法上あるいは下請法上,どのような問題があるのかという点についてコメントいただければと思います。
(事務総長) 本日午前中,今,御指摘のとおり,衆議院の経済産業委員会で,議員の質問の中で,公正取引委員会に申告したいという発言があって,審査局長がそれについて答えたというのは,私も画面を通して見ておりました。
これまでも何度か申し上げたことではございますが,独占禁止法の45条という規定がございまして,「何人も,法律の規定に違反する事実があると思料するときは,公正取引委員会に対し,その事実を報告し,適当な措置をとるべきことを求めることができる」とされておりまして,この規定に基づいて審査局長も答えたということであります。同じく45条2項に,「違反する疑いについての報告がなされたときには,公正取引委員会は,事件について必要な調査をしなければならない」ということが規定されておりまして,この規定に沿って,今後,適切に処理していくというふうに考えております。
この件について,いろいろと報道があることはもちろん承知はしているんですけれども,必ずしも御指摘の件については,詳細な事実関係が明らかではございませんので,独占禁止法の優越的地位の濫用でありますとか下請法とか,そういう点も含めて報道されておりますけれども,この今の段階でですね,独占禁止法上問題になり得るかどうか,下請法の問題となり得るのかということを一般論でありましても,ちょっと申し上げるのは難しい状況でございますので,個別の案件でもあるということもあり,コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
繰り返しになりますが,独占禁止法45条の規定に従って,報告があれば,それに対して必要な調査をし,それに基づいて措置をとるか,とらないか,さらに続けて調査をするか,しないか決めていくということかと考えています。
(問) 今の質問に関連しまして,今,45条2項を読み上げていただきましたが,公正取引委員会は必要な調査を行わないといけないということですので,公正取引委員会が報告を受け取られたということは,調査自体はしなければならないということになるわけですか。
(事務総長) 法律の規定にあるとおり,これに限らず様々な情報提供,申告と言っておりますが,年間1000件以上頂いております。それらについては,全て必要な調査を行っているということですが,情報の確度や内容によって様々でございますが,最終的に措置をとらないという結論になったり,これ以上は調査できないという結論になるものももちろんあるわけでございます。そういうのも含めて,必要な調査はした上で判断するということになろうかと考えております。
(問) 情報の内容の大小があるにせよ,調査は一応やらなきゃいけないということですね。分かりました。
(事務総長)そうです。情報を受け取ったのに,それを放置するということは決してありません,ということでございます。
以上