[発言事項]
事務総長会見記録(令和2年3月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
公正取引委員会主催イベントの中止等について(新型コロナウイルス感染症に伴う対応)
本日,私からは,まず,公正取引委員会が主催しますイベントの中止などについてと,新型コロナウイルス感染症に伴う対応についてお話し申し上げます。
国内における最近の新型コロナウイルスの感染の発生状況を踏まえまして,感染拡大防止という観点から,3月13日に開催を予定しておりました競争政策研究センター第3回大阪シンポジウムを延期といたしました。また,2月末から3月中旬にかけて予定されておりました令和元年度下請法応用講習会,そして,消費税の転嫁拒否等の行為に関する事業者向け説明会と相談会,これらをそれぞれ中止することといたしました。
そのほかのイベント等につきましても,情勢の推移や関係各機関からの情報提供等も踏まえながら,状況に応じて中止・延期を行うといった対応を検討していきたいと考えております。
また,新型コロナウイルス感染症の発生に伴いまして,製造業のサプライチェーンへの悪影響など,取引上の影響もみられております。このような状況を踏まえまして,公正取引委員会のホームページにおきまして,新型コロナウイルス感染症に関するお知らせといたしまして,改めて相談窓口,そして,以前より公表している緊急時における取組に係る想定事例集などを周知いたしました。
もし取引の中で生じた問題や疑問点につきまして,独占禁止法や下請法などとの関係で気になることがございましたら,相談窓口として担当部署の連絡先が記載されておりますので,御相談いただき,また,緊急時における取組に係る想定事例集等も御参照いただきますようお願いいたします。
さらに,公正取引委員会におきましては,新型コロナウイルス感染症の職員の感染防止のため,2月26日以降,混雑時の出勤を避けることを目的としまして,本局と地方事務所・支所の職員の半数を目途としまして,フレックスタイム制などを利用した時差出勤とテレワークの取組を実施しております。引き続き,政府の方針等を踏まえまして,これらの取組を進めることで,職員の感染防止などにも努めていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
質疑応答
(問) 昨日ですね,地方銀行の経営統合や合併についてですね,独占禁止法の適用除外とする特例法案が閣議決定されましたが,これについての受け止めをお伺いしたいのが1点と,もう1点なんですが,地銀の経営統合をめぐってはですね,過去に長崎県の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループとですね,十八銀行の経営統合をめぐって公正取引委員会の審査が2年以上かかったという経緯がありました。
この統合をめぐっては,地域での融資シェアを下げることで統合にこぎつけたという経緯があったかと思いますが,今年の4月で間もなく統合から1年となるのを前に,現状その地域での競争環境についてはどう御覧になっておりますでしょうか。
(事務総長) まず,最初の特例法ですね,独占禁止法の特例法案,これが3月3日閣議決定されたわけでございます。この特例法案は,人口減少などの厳しい経営環境のもとでも,地域における乗合バス事業者と地域銀行によるサービスが維持されるよう,一定の要件を満たす場合には,これらの事業者による合併等について独占禁止法の適用を除外するものという内容と承知しております。
この法案が成立した場合には,地域における基盤的サービスの利用者の利益が確保されますよう,公正取引委員会に協議するという仕組みがございますので,そうした中で主務大臣から協議を受けるなどした場合には,適切に判断していきたいと考えております。
それから,もう一つの点につきましては,個別の案件でございますし,それから企業結合審査を行い,その結果,一定の取組をすることで問題なしと判断した,その取組については,そのとおり行われていると思いますので,現状,どうかということを調査しているわけでございませんので,明確には申し上げられませんが,この企業結合自体については,もう公正取引委員会の審査は終了しておりますが,何らかの問題なり,もし違反行為があるのであれば,それは対応していくことになるかとは思っております。
(問) 先週,楽天に対して送料無料化を停止するように申立てをされましたけど,その後,楽天は予定どおりやる方針を示しています。この状況について,どのように受け止められているのか,また,申立てがどのように執行されていくのか,教えていただければ助かります。
(事務総長) 先週,公正取引委員会から緊急停止命令の申立てを行ったわけでございます。これについては申立てを行いましたので,後は裁判所におきまして,非訟事件ということになるようでございますが,その手続に沿って行われていくということになります。一般的には裁判所のほうで審問などが行われ,公正取引委員会も含む当事者の意見を聞いた上で,裁判所で判断をされるということでございますので,その手続にのっとって公正取引委員会としても対応していきたいと考えております。
(問) 楽天の反応についてはどのように。
(事務総長) はい,そうですね,楽天がプレスリリースの中で,「本施策に関しましては法令上は問題はないと考えております」というようなプレスリリースをしているということは承知しているわけでございますけれども,公正取引委員会としては,2月28日,既に公表しておりますが,その中で書いているとおりでございまして,楽天による「共通の送料込みライン」導入というのは独占禁止法の規定に違反する疑いがあると考えておりますし,また,排除措置命令を待っていては侵害された公正かつ自由な競争秩序が回復し難い状況に陥ることになると考えておりまして,「共通の送料込みライン」の実施を一時停止することについて,緊急の必要があると,公正取引委員会としては,引き続き考えているところでございます。
(問) その緊急停止命令についての手続的なことの質問なんですけれども,もしも裁判所が公正取引委員会の申立てを認める命令を出したとして,楽天のほうが不服の場合は,すぐにこれは控訴できるんですか。そして,その間は出された命令にもし従わずに,この施策をとった場合は罰金が科される,どういうことになるかちょっと教えてください。
(事務総長) 私もこの手続の専門家というわけじゃございませんが,命令に不服がある場合には,申し立てられたほうですね,被申立人は東京高等裁判所に即時抗告というのを行うことができるということが非訟事件手続法に定められておりますので,そういうことも含めて当事者が考えていくということだと思います。
(問) その間は,出された命令に対して従わないといけないわけですね。
(事務総長) 裁判所の決定ですので,決定に不服で抗告すれば,それをまたその上で判断するということになるんじゃないかなと思っております。
(問) 停止されるとか,そういうあれではない。
(事務総長) 地裁のほうで,例えば,一定の判断が下って,そこで確定すればそのとおりになるわけですけれども,争うということになると,争った上で,その次の判断を待つということになると思います。
ただ,普通の訴訟と違って,緊急停止命令ですので,通常の裁判よりは早く結論が裁判所で出されるというのが通常と考えております。
以上