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令和2年9月2日付 事務総長定例会見記録

令和2年9月2日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和2年9月2日(水曜)13時30分~於審判廷)

 8月は会見ありませんでしたので,久しぶりの定例会見ということになります。今日からまた引き続きよろしくお願いいたします。

コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について

 本日,私からはまず,「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」についてお話しいたします。
 公正取引委員会では,違反行為の未然防止の観点から,様々な分野の取引実態について調査を行ってきております。コンビニエンスストアにつきましては,平成以降,平成13年,平成23年と2回の実態調査を実施しておりますが,平成23年に実施した前回調査から一定期間が経過しておりまして,また,昨今,24時間営業をはじめとして,これまでのコンビニエンスストア本部と加盟店との在り方を見直すような動きが生じているということから,今般,初めて,我が国に所在する大手コンビニエンスストアチェーンの全ての加盟店舗,約5万7千店を対象とする大規模な調査を実施いたしました。
 今回の実態調査を通じまして,「予想売上げ又は予想収益の額に関する説明」,「仕入数量の強制」,「年中無休・24時間営業」,そして「ドミナント出店」等,今なお多くの取り組むべき課題が存在することが明らかになりました。こうした問題点につきまして,調査報告書では留意点や独占禁止法上の考え方を示しております。詳細につきましては,本日午後3時に担当の企業取引課から御説明申し上げます。
 この調査結果を踏まえまして,コンビニエンスストア本部に対しては,仕入数量の強制をはじめとした独占禁止法上の問題となり得る点等を指摘した上で,直ちに自主的に点検,改善をするとともに,点検結果と改善内容について公正取引委員会に報告するよう要請いたしました。また,一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会に対しましては,会員各社に対して本報告書の内容を周知するよう要請いたしました。
 公正取引委員会といたしましては,今後,本報告書の内容につきまして,様々な機会を活用いたしまして,広く周知していくとともに,独占禁止法上の考え方を明確化し,問題行為を未然に防止するという観点から,フランチャイズ・ガイドラインの改正を行います。また,独占禁止法に違反する行為に対しては,引き続き厳正に対処してまいります。

独占禁止法改正法の施行に伴い整備する関係政令等について

 次に,独占禁止法改正法の施行に伴い整備する関係政令等についてお話しいたします。
 令和元年6月に成立しました改正独占禁止法につきましては,これまで施行に向けた準備を進めてまいりました。そして,関係政令・規則等について意見募集手続で頂きました御意見等を踏まえまして,8月28日に成案を公表し,本日公布されました。調査協力減算制度の導入や課徴金の算定方法の見直し等の改正法の施行に向けました下位法令等の準備,これにつきましては,これをもって措置済みということになります。
 28日に公表し,本日公布されました関係政令等のポイントといたしましては,第1に改正法の施行期日は本年12月25日であるということ,第2に課徴金の算定基礎や算定方法の具体的な内容が規定されているということ,第3に課徴金の調査協力減算制度の具体的な内容が規定されているということの3つを挙げることができるかと思っております。
 新制度の内容につきましては,公正取引委員会のウェブサイトに特設ページを設けまして,課徴金減免制度に関するQ&Aや判別手続に関する動画等を掲載しております。
 今後,新制度の内容につきまして,引き続きその周知を図りまして,新制度が円滑に機能するよう取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) コンビニの実態調査についてなんですが,2点お願いします。1点目が,今回,仕入数量の強制の問題になると想定される回答が約半数見受けられたことが独占禁止法上,どのような意味をもたらすのか,その法令違反の可能性等も踏まえて事務総長としての受け止めをお聞かせいただきたいのと,もう1点が,コンビニの本部側に,どのような自主点検と報告というのを期待しているのか,そのあたりについての御所見をお願いします。
(事務総長) 本件,実態調査でございますので,コンビニの本部のその具体的な行為,それが違反かどうかということを直接評価したというものではないわけでございますけれども,この調査の中でアンケート調査を行いました結果,今,御指摘のように約半数の加盟店が意に反して仕入れている商品があると回答している,いわゆる「仕入数量の強制等」のほか,「予想売上げ又は予想収益の額に関する説明」ですとか,「見切り販売の制限」ですとか,「年中無休・24時間営業」,また,「ドミナント出店」,こうした問題について加盟店から声が寄せられたということでございます。そのため,報告書におきまして,留意点でありますとか,独占禁止法上の考え方というのを取りまとめて,今回公表したということでございます。
 各本部に対しましては,この報告書以外に各本部ごとのアンケート結果を伝えまして,問題となり得る点というのを指摘しまして,各本部においてそれぞれ問題は違うということもあるかと思いますので,それぞれ自主的に直ちに点検,改善をしていただいて,その結果を報告するよう要請したということでございます。
 更に今回の調査結果,これを踏まえて,現行のフランチャイズ・ガイドラインに書いていない点,例えば「年中無休・24時間営業」ですとか,「ドミナント出店」等について考え方を追加する方向で検討したいと考えています。
 この報告書を公表し,独占禁止法上の考え方を明らかにするとともに,ガイドラインの改正ということを,ちょっと先になりますが行いつつ,また,本部自ら自主的な点検をしていただくことでコンビニエンスストアを巡る取引環境というものが改善に向かうということを今強く期待しているところでございます。
 もちろん先ほど冒頭に申しましたとおり,自主的に改善を進めていただくということが一番いいわけでございますけれども,もしこの実態報告書で示したような考え方に基づきまして,独占禁止法に違反する可能性のある行為というものに接した場合には,これまでと同様,適切に調査をして,厳正に対処したいと考えております。

(問) 同じくコンビニ実態調査について1点お伺いしたいんですけれども,これまで最近公表されている実態調査は,割と新しい分野も多かった中で,コンビニというのは平成以降3回目ということで,昔から本部と加盟店という構造上,問題も生じやすいという業界かと思うんですけれども,このコンビニ業界というところの特徴みたいなところを改めてお聞かせください。
(事務総長) なかなか一言で申し上げるのは難しいかもしれませんけれども,本部と加盟店との間の取引関係は,傾向としてやはり優位・劣位の関係に比較的なりやすいというところはあろうかと思います。もちろんコンビニエンスストアというビジネスモデル自体は,これは非常にプラスの面もあるものでございまして,それ自体が問題というわけでは決してないわけでございますけれども,御指摘のように,これまでもいろいろな問題が指摘されてきておりますし,また,特に今回,このところ指摘されているドミナント出店とかは地域によっていろいろ違いもあるだろうということで,今回,大規模な調査をしたということであります。
 いずれの業界におきましても,いろいろ特徴ある中でそれぞれの商売をされているかと思いますが,取引上,問題がある行為があれば,それはきっちり改善していただいて,健全に成長していくということに向かっていただきたいというのが,我々としての希望でございます。

(問) 私もコンビニの調査について1点なんですけれども,本部側に点検と報告まで求めるというのはなかなか採られない対応なのかなと思ったんですけれども,そこまで要請をされたということの理由をもう少しお聞かせいただけますか。
(事務総長) これまでも報告書を出した場合に,それについて具体的に要請をしたことはないわけではなかったかと思います。今回はコンビニエンスストアについては3回目で,それも3回目といっても前回はコンビニだけを調査にしたわけではなく,前々回は今回ほど大規模な調査ではございませんけれども,このところいろいろ指摘されている中で,今回,公正取引委員会としても大規模な調査を行った結果が出ましたので,この機会に是非しっかりと自ら点検し,改善していただきたいということで本部の方にお越しいただいて,直接要請し,改善を求めたということであります。これがいい方向に進んでいけたらなというふうに考えているということでございます。

(問) 1回目,2回目の調査でもなかなか改善が見られなかったからということでしょうか。
(事務総長) 初回と2回目はこれほどの規模の調査ではもちろんないというところもございますし,また,環境もいろいろ変わっております。特に今回は,昨今のいろいろ新たな指摘があったことも受けてやっておりますので,とにかく現状において,この調査の結果,幾つかの問題がまだありそうだということが見つかってきましたので,そういう点について,コンビニエンスストアの本部というのは皆さんしっかりした事業者だと思いますので,まずは御自身でしっかりと,いろいろ点検をしていただければということでございます。

(問) ちょっと話題が変わるんですけれども,先月の18日に楽天の出店者たちの集まりである楽天ユニオンが公正取引委員会に排除措置請求というのを出しました。内容はアフィリエイト料だったりとか,楽天ペイの導入強制だったりとかっていうものなのかと思うんですけれども,これに関して現状の進捗と今後の流れを教えていただければと思います。
(事務総長) 楽天に関する件につきましては,ずっと引き続き審査中ということでございまして,今御指摘のような報道があったことは私も承知をしておりますけれども,個別の事案,かつ審査中ということでございますので,ちょっと状況ないし見通しなどについてのコメントは控えさせていただければと存じます。

以上

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