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令和2年11月11日付 事務総長定例会見記録

令和2年11月11日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和2年11月11日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

独占禁止懇話会第216回会合議事概要について

 本日,私からは,10月5日に開催しました第216回独占禁止懇話会の概要についてお話しいたします。
 独占禁止懇話会は,我が国経済の著しい変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するため,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見を交換し,併せて競争政策の一層の理解を求めることを目的として,昭和43年11月以降開催してきているものでございます。
 今回の開催に当たりましては,新型コロナウイルス感染拡大防止を図る観点から,3密を避けるため,会員の皆様にはオンラインで御参加いただきました。
 今回の独占禁止懇話会では,3つのテーマについて,会員の方々から御意見等を頂きました。
 会員の方々から頂いた御意見等の内容につきましては,10月30日金曜日に公表いたしました,お手元の議事概要を御覧いただければと思いますけれども,各テーマでの主な御意見を御紹介いたします。
 一つ目のテーマの「令和元年度における独占禁止法違反事件の処理状況」では,消費者の生活に密接に関連する事例など,迅速かつ効果的な事件処理について評価を頂くとともに,事案ごとに的確な事件処理手続を選択することが重要である旨の御意見を頂きました。
 二つ目のテーマであります,「令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」では,新型コロナウイルス感染症の影響下における事業者の経営状況を踏まえつつ,支払遅延,減額,買いたたきなどの行為に対して,引き続き厳正な対応を期待する旨の御意見を頂きました。
 三つ目のテーマであります,「令和元年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事案」では,検討対象分野の把握,経済分析の手法,データの価値評価など,デジタル分野における企業結合審査の課題について御意見を頂きました。
 公正取引委員会といたしましては,今回頂いた,こうした御意見等を踏まえまして,今後とも競争政策を有効かつ適切に推進してまいります。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 海外の動きについて,2つ質問があります。1点目は米大統領選についてです。バイデン候補の当選が確実になった中で,米国ではGAFAと呼ばれる巨大IT企業への規制の動きが進んでいます。今回の大統領選等の結果が,米国の競争政策にどのような影響があると見ているか,若しくは無いと見ているのか,現段階でのお考えをお聞かせください。
(事務総長) 公式なコメントをするだけの材料を今は持ち合わせていないので,多少,個人的な意見になるかもしれませんが,アメリカについては,政権によって反トラスト政策がいろいろ変わるということをよく言われますけれども,これまで長い目で結果的に見ていると,右から左という動きをするわけではなくて,競争制限行為には対処するという基本線は変わっていないと私は理解しておりますので,何か大きく変わるということはないのではないかなというふうに私は思っております。
 新しい政権に完全に代わっているわけではありませんし,来年になって以降,例えば司法省ですとか,そういうところから,いろいろコメントなり,意見が出てくるかと思いますので,そういうものを慎重に見ていきたいと思います。
 一応,年の功で,長年の経験で言いますと,先ほど申したように,がらっと変わるということは,少なくとも競争法,競争政策の分野では,私はないのではないかなと思っております。

(問) 2点目の質問です。欧州委員会がアマゾンに対して,オンライン市場に出品する小売業者の販売データを自社の商品販売に使うのはEU競争法に違反するのではないかという暫定的な見解を示しました。これについての受止めと今後注視していくのかなどの対応についてお聞かせください。
(事務総長) 御指摘のEU,欧州委員会の発表ですね,それがあったということはこちらも承知しております。アメリカ,ヨーロッパ,いろいろなところでデジタル・プラットフォームをめぐっては,様々な調査なり報告書が出たりしております。そういうものは,公正取引委員会としても,気持ちとしては全て把握して,日本でどうするかということにも生かしていこうと思っていますので,欧州委員会の発表についても,出たばかりではございますが,担当課のほうで,今しっかりと勉強しているところというふうに聞いております。
 それから,いわゆる第一報で見ますと,マーケットプレイスの出品者の非公表データの不当な利用というような点が指摘されているようでございますが,これについては,デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査報告書ですね,令和元年10月に出した,この中でも指摘をしておりますので,基本的な考え方というのは公正取引委員会も明らかにはしているところでございます。

(問) 本日,楽天モバイルから,NTTによるドコモの子会社化に関して,ソフトバンクやKDDIも含めた37社を代表する意見書が総務省に提出されました。ドコモの完全子会社化が,電気通信事業において市場支配力が生まれることや,競争事業者が排除されるなど,公正競争の阻害に関する強い懸念が示されました。事務総長は,発表当時の9月の会見でも,NTTのドコモ完全子会社化は結合規制として問題にはならないだろうとおっしゃっていましたが,今回の競争に関する懸念を示す意見書に関して,公取として意見をお聞かせください。
(事務総長) 今,御指摘の意見申出というのが出ているということは,今日のことでありますけれども,こちらでも情報は得ております。ただ,これは電気通信事業法の172条の規定による総務大臣に対する意見申出ということのようでございます。したがって,総務省において,今後,法令に基づいて検討するということかと思われますので,ちょっと私が今の段階で何かコメントするのは適当ではないと思いますので,コメントは差し控えたいと存じます。
 もろちん,公正取引委員会では,これまでも同じように言ってきてはおりますが,電気通信市場での公正かつ自由な競争,これを通じて,製品・サービスの価格やその多様性というのが,消費者にとってよい方向になっていくということには強い関心がありますので,引き続き注目して見ていきたいとは考えております。

以上

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