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令和3年4月7日付 事務総長定例会見記録

令和3年4月7日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和3年4月7日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

下請代金の支払手段について

 本日は,3月31日に公表いたしました「下請代金の支払手段について」を御紹介いたします。
 公正取引委員会は,中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法等の一層の運用強化に向けた取組を進めておりまして,その取組の一環として,平成28年12月に,中小企業庁との連名で,下請代金の支払の適正化に関する要請を行いました。
 今般,下請代金の支払の更なる適正化を図るため,「下請代金の支払手段について」という要請文を関係事業者団体に発出し,親事業者に対し,下請代金の支払の更なる適正化に努めるよう要請いたしました。
 要請の具体的な内容といたしましては,1点目として,下請代金をできる限り現金で支払うこと,2点目として,下請代金を手形等により支払う場合には,手形等の現金化に係る割引料等のコストを下請事業者に負担させることがないよう,当該コスト等を示して,下請代金の額を十分協議すること,3点目として,手形等のサイトを60日以内とすること,以上の3点について,おおむね3年以内を目途として可能な限り速やかに実施することを要請いたしました。
 また,3点目の手形等のサイトに関しましては,これまで,繊維業は90日,その他の業種は120日を超える手形について,下請法が規制する割引困難な手形に該当するおそれがあるとして指導してきたところであります。今般の要請に伴いまして,今後,おおむね3年以内を目途に,この期間を60日に短縮することを前提として,見直しの検討を行うこととしておりますので,親事業者におかれましては,可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内としていただきたいと考えております。
 本件の担当課は,取引部の企業取引課です。この件の詳細については担当課にお問い合わせください。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) この下請の支払に関して,現状について教えていただきたいんですけども,手形で払うと割引がどういう状況になっているのか,どれほど手形で払われる人が,不利益というか,影響を受けるのか。あと,平均でどれぐらいの期間で手形って現金化できるものなのか,ちょっと概要が分かるような御説明をいただけますでしょうか。
(事務方) 担当の方からお答えさせていただきます。
 手形の場合は,満期日というものを決めた上で手形を振り出すわけでして,満期日までずっと持っていれば,額面どおりの金額を現金として手に入れることができるわけなんです。ただ,満期日より前に,下請事業者のほうで資金繰りが厳しくてすぐに現金が欲しいという時に,金融機関に持って行って割引ということをすると,満期日より前に現金が入手できます。ただし,その場合,割引料と言って割引に掛かるコストがありまして,その事業者の信用ですとか,その手形の期間とかによってまちまちではあるんですけれども,一般的には,2,3%ぐらいの割引料が掛かってくるということでありまして,割り引く場合にはその2,3%ぐらいのコストが下請事業者にとって負担になるということなので,そういったコスト負担を生じさせないようにということも含めて,今回,要請したということです。

(問) あと,期間についてはどうなんでしょうか。というのは,90日とか,120日って,何か普通の商習慣から比べるととっても長い感じがするんですが。
(事務総長) 90日,120日は,だいぶ前から,そういう実態だったということで,それを超えるものは割引困難手形ということで指導してきたところです。今までも,なるべく短くするようにと言ってきたのですが,90日,120日に張り付いているところが多い状態が続いています。ですので,今回,更に取組を強化して,60日以内を目指していこう,3年を目途に目指していこうということを,更に力を入れて,やろうとしているということです。

(問) トヨタといすゞの業務提携の件で質問です。今回の提携で,商用車市場での国内シェアが8割に至り,下請事業者との関係でも変化が生じる可能性もあります。この点に関する見解などがあればお願いします。
(事務総長) 御指摘の業務提携について,詳細を承知しているわけではなく,かつ個々の案件ということになりますので,この件についてのコメントは難しいのですけれども,独占禁止法の基本的考え方で言いますと,業務提携ですので,企業結合ではないですから,届出とかはなく,法律的には不当な取引制限の観点から問題になるかどうか判断するということになるわけです。業務提携の場合,企業結合に似ているところがありますので,例えば,事前相談が相談指導室なんかにあった場合には,企業結合ガイドラインの考え方に基づいて判断をしているということにはなりますけれども,ただ,この件についての何かコメントというのは,申し訳ございませんが,控えたいと存じます。

(問) 下請支払を巡る現状認識と問題意識があれば,改めて教えてください。また,今後の対応方針を伺えれば幸いです。
(事務総長) 今回の下請代金の支払手段についての通達を出したことに関連してというご質問かと思いますけれども,平成28年に「下請代金の支払手段について」という要請をしているわけですけれども,その前から手形の期間短縮ということをずっと取り組んできております。平成28年に出したのですが,その後,中小企業庁が調査したところ,なかなか短くなっていないということで,検討会,また関係省庁の連絡会議ですとか,ワーキンググループで議論をした結果,更に取組を強化しようということで,今回,改めて新しい要請をしたということです。ですので,まずはこの要請を広く認識していただいて,3年を目途に対応するということなのですけども,先ほど申しました割引困難手形に該当するおそれという考え方についても見直しを検討する,つまり3年を目途に60日以内に短縮することを前提として見直しを検討するということでございますので,親事業者の方々には,できるだけ早く,短くしていっていただきたいですし,その様子を見ながら,対応していくということになろうかと思います。

(問) 下請代金の支払はほとんどが手形で支払われているんですか。現状として現金と手形との割合みたいなものが分かったら教えてください。
(事務方) すいません,ちょっと手元に数字がなくて,直ちにお答えすることは難しいんですけれども,中企庁の検討会の資料を見て,手形の利用状況に関して簡単に御説明させていただきますと,約30年前の1990年に,手形の残高が約107兆円ということでピークを迎えて以降,減少傾向にありまして,足元では25兆円まで減少しているということです。手形による支払自体は,この30年ぐらいで減少傾向にあるということが言えるかと思います。

(問) ただ,25兆円残高っていうことは,まだ結構,手形での支払,決済は行われてると理解していいんですかね。
(事務方) はい,それなりに残っているということだと思います。

以上

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