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令和3年7月28日付 事務総長定例会見記録

令和3年7月28日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和3年7月28日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

第218回 独占禁止懇話会の議事概要について

 本日,私からは2点お話しいたします。まず,本年6月24日に開催いたしました第218回独占禁止懇話会の概要についてです。
 独占禁止懇話会は,我が国経済の著しい変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するため,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見を交換し,併せて競争政策の一層の理解を求めることを目的として,昭和43年11月以来開催しているものです。
 今回の開催に当たりましては,新型コロナウイルスの感染拡大防止を図る観点から,会員の皆様にはオンラインで御参加いただきました。
 今回の独占禁止懇話会では,4つのテーマについて会員の方々から御意見等を頂きました。7月21日に公表いたしましたお手元の議事概要の中から,各テーマでの主な御意見等を御紹介いたします。
 1つ目のテーマの「デジタル・プラットフォーム事業者の取引慣行等に関する実態調査(デジタル広告分野)について」では,デジタル広告については共同規制の枠組みで対応するという方向になってきているが,規制の実効性をどのように高めていくのかが重要になってくるとの御意見を頂きました。
 2つ目のテーマの「デジタル市場における競争政策に関する研究会 研究会報告書『アルゴリズム/AIと競争政策』について」では,海外における先進的な施策や議論についての質問がありまして,これに対して,オランダの競争当局による研究やアメリカにおけるアルゴリズムを利用したカルテルの事例を御紹介いたしました。
 3つ目のテーマの「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」では,携帯電話会社が販売代理店の評価制度の見直しを進めることで販売代理店の手数料収入が減って経営が苦しくなり,その結果,地域の高齢世代にとっては利便性が失われるという懸念があるのではないかとの御指摘を頂きました。
 4つ目のテーマの「公正取引委員会における経済分析の活用について」では,公正取引委員会の経済分析チームにおける任期付きエコノミストの体制を強化することのほか,任期付きエコノミストになることが次のキャリアパスにつながるような仕組みも必要ではないかとの御指摘を頂きました。
 公正取引委員会といたしましては,今回頂いた御意見等を踏まえまして,引き続き競争政策を有効かつ適切に推進してまいります。

デジタルスペシャルアドバイザー制度について

 次に,最近,公正取引委員会が委嘱いたしました「デジタルスペシャルアドバイザー」についてお話しいたします。
 専門性が高く変化の激しいデジタル分野において効果的に競争政策を推進するためには,外部専門家との積極的な連携等を通じて最先端の知見を実務に反映させることが重要となっています。
 これまでも,公正取引委員会は,デジタル市場における競争政策に関する研究会や,個別のヒアリングを通じて専門家の方々との連携に務めてまいりましたが,今後は,より密接に連携していきたいと考えています。
 そこで,今般,専門家の方々が有する最前線の知見を実態調査等の取組に反映させることや,重要分野の市場動向等を的確かつ継続的に把握することを目的として,配布資料で御紹介しておりますデジタル分野の専門家の方々を,「デジタルスペシャルアドバイザー」として委嘱することといたしました。デジタルスペシャルアドバイザーの皆様からは,デジタル市場に関連するそれぞれの御専門分野についての知見を公正取引委員会に提供していただき,それらを競争政策の運営にしっかりと生かしていきたいと考えております。
 具体的には,デジタル分野に関する実態調査・研究会などの各種の取組において,それぞれのテーマに関連する知見を有するアドバイザーにも参画していただき,例えば,調査票の作成やアンケート結果の分析等を行う際に都度助言いただく,また,公正取引委員会の職員がアドバイザーの方々から定期的にお話を伺い,それぞれの専門分野に関して,例えば,主要な市場動向や技術動向,その市場参加者への影響などについて御意見をいただくなどといった一連の協力を進めてまいります。
 公正取引委員会としましては,このデジタルスペシャルアドバイザーの取組などによって,デジタル分野の最先端の知見を実務に反映させ,効果的に競争政策を推進していきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) アドバイザー制度に任期はあるのでしょうか。また,今後,人員は拡大するのでしょうか。
(事務総長) 任期は委嘱した日の属する年度の末日ということで,今月委嘱いたしましたので,まずは今年度末までということですが,再任ということは別に制限されておりませんので,再任ということももちろんあり得るということでございます。
 それから,もちろん今,配布資料にあります4名の方にお願いしているわけですけれども,今後,必要に応じて,他の分野の専門家の方々に,同様にアドバイザーとしてお願いするということは,可能性としてはあると考えていますが,今,そういう予定があるわけではございません。

(問) この制度で今回,4人がデジタルスペシャルアドバイザーとして認定されているかと思うんですが,これは公取が公募をかけて,それに対して応募があったのか,それとも公取側として指定をしたのかをまず伺いたいのと,あと,今回選ばれた4人は,どういった理由で選ばれたのかというのを教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 公募というわけではなくて,これまでの研究会ですとか,また,これまでの過程でいろいろお話を,いろいろな専門家の方から聞いたわけですけれども,その中で,今回,配布資料の「専門分野」のところを見ていただきますと分かりますように,5G,それからAI,デジタル広告,デジタルID,プライバシーと,こういう分野の専門家の方々で,こうした分野は技術進歩の激しい分野であったり,デジタル広告は既に実態調査を行っていて,今後,フォローアップが必要でありますし,また,プライバシーとの関係というのはよく議論されますので,そうした分野の専門家の知見を得たいという必要性から,お願いをして,そして御快諾いただいたと聞いております。

(問) もう1点伺いたいんですけれども,こうした制度として認定するというのは公取委として初めてだったということでよろしかったでしょうか。
(事務総長) こうした分野について,デジタルスペシャルアドバイザーということで委嘱してお願いするというのは,今回初ということです。

(問) 改めてなんですけど,こういった形でアドバイザーなり,先日はクラウド分野の人材を募集したりということもあったと思うんですけれども,デジタル分野の知見などに関して,公正取引委員会の現状・課題というのにどんなものがあるのか,なぜこういうふうに外部人材を活用する必要があるのかというのを,改めてちょっと御説明いただければと思います。
(事務総長) 既にいろいろなところで,公正取引委員会の専門的知見の強化ということが求められていて,成長戦略実行計画等でも外部人材の活用とか,それから公正取引委員会の体制・執行の強化というようなことが言われておりまして,その中で,こういうデジタル分野の人材強化,能力強化ということをいろいろ考えております。これには,内部の職員がいろいろ知見を広げることもありますが,まさに外の人材にも協力していただいてということでありまして,もちろん内部の職員として専門家に関与していただくという課題もあるわけですけれども,まずは,今回,外部の専門家に,こういうデジタルスペシャルアドバイザーという役割をお願いして,今後,継続的に連携・強化し,競争政策に生かしていきたいということで,まず,いろいろな取組をこれまでしている,又はこれからしようとしているものの1つとして,今回始めたということで御理解いただければと思います。

(問) 今回のアドバイザー制度なんですけれども,委嘱された4人の方々は競争政策については知見のある方なんでしょうか。あと,もう1点,先ほど成長戦略にも触れられましたけれども,成長戦略で公取委の機能強化というのが盛り込まれた中で,アドバイザーの委嘱というのは,それを受けたものなんでしょうか。
(事務総長) 後者について,成長戦略実行計画等で,こういうアドバイザーの委嘱のようなことが直接書かれているわけではありませんので,そういう意味では,それを受けてということとはなかなか言い難いんですけれども,ただ,先ほど申しましたように,外部人材の活用等が言われていますので,今回のデジタルスペシャルアドバイザーの委嘱というのも,それに資するものじゃないかと考えております。
 それから,前者の,お願いする専門家の方々には,配布資料にありますとおり,それぞれ主たる専門分野でございますが,これまで,公正取引委員会の検討会や研究会に御参加いただいている方もいらっしゃいますし,それから,皆さん,それぞれの御専門分野との関係において競争政策を認識していらっしゃると聞いておりますので,競争政策・競争法の専門家ということではございませんが,競争政策に関する知見があるかないかと言えば,我々としては一定程度以上あるものだと考えていますし,担当の方からも,いろいろヒアリングした中で選ばせていただいたと理解しています。

(問) アドバイザー制度につきまして,海外競争当局でも同様の制度を導入しているケースはあるんでしょうか。
(事務方) 海外の競争当局でも,こういったアドバイザー制度があるのかという御質問でございますけれども,私どもが承知している範囲では,こういうアドバイザーという名前を付けて委嘱しているという例は承知していませんが,各国ともデジタルの専門人材をどのように活用していくかが課題になっていると認識していまして,様々な形で専門人材を活用している例は幾つか承知をしています。

以上

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