[配布資料]
公正取引委員会における令和3年度の政策評価結果について(令和3年8月31日公表資料)(PDF)
事務総長会見記録(令和3年9月15日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)
公正取引委員会における令和3年度の政策評価結果について
本日,私からは,8月31日に公表いたしました令和3年度の政策評価結果についてお話しいたします。
公正取引委員会では,「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づきまして,公正取引委員会の行う施策について,毎年度,政策評価を実施しています。
令和3年度は「独占禁止法ガイドラインの普及・啓発及び事業活動の相談・指導」と「取引慣行等の実態把握・改善のための提言」,そして,「海外の競争当局等との連携の推進」の3つの施策の政策評価を実施いたしました。
「独占禁止法ガイドラインの普及・啓発及び事業活動の相談・指導」につきましては,相談事例集が掲載されたウェブサイトへのアクセス件数はおおむね高い水準を維持しておりまして,講師派遣を行った講習会等については,一定数の開催があり,参加者の理解度は非常に高くなっています。以上のことから,本施策は相当程度進展したと考えています。
「取引慣行等の実態把握・改善のための提言」につきましては,ウェブサイトに掲載された報告書へのアクセス件数は増加傾向にありまして,また,事業者や事業者団体等に対する報告書の送付等の実施件数等も令和2年度は増加しています。以上のことから,本施策は相当程度進展したと考えています。
「海外の競争当局等との連携の推進」につきましては,測定指標の実績値を踏まえますと,開発途上国等に対する技術支援は相当程度有効に機能し,これらの国の競争当局の体制強化に貢献したものと考えております。また,海外に対する我が国の競争政策の周知や海外の競争当局との定期協議,多国間における検討への参加等を通じて,我が国の競争法・競争政策への理解・関心は高まり,公正取引委員会の国際的なプレゼンスの向上が一定程度実現したものと考えられます。さらに,これらの取組は,海外の競争当局等との緊密な連携にも寄与したものとも考えています。以上のことから,本施策は相当程度進展したと考えています。
最後に,独占禁止法ガイドラインに係る講師派遣や開発途上国等に対する技術研修の実施等におきましては,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で,従来のような対面での活動については制約を受けた面はありましたけれども,オンラインを活用することなどによりまして,各施策を相当程度進展させることができたと考えています。
公正取引委員会といたしましては,引き続き,政策評価を適切に実施いたしまして,この結果を踏まえ,効率的で質の高い施策を実現していくよう心掛けてまいります。
私から以上でございます。
質疑応答
(問) ちょっと先ほどの御説明とは関係の無い話なんですけれども,アップルに関するアメリカの地裁の判決についてなんですが,公正取引委員会がアップルのアプリストアについての調査の打切りを発表した後,アメリカの連邦地裁の方で,アプリ配信について,独占とは認めていないものの,その課金のルールの見直しを命じました。これは,ゲームも含めて,アップストアで提供されているアプリ全てに関わり,全米での命令ということになるかと思うんですが,公正取引委員会がリーダーアプリのアウトリンクを受容するように条件を引き出したのに対して,今回の裁判所の命令は,より広く,ただアメリカでということなんですが,判決に対する所感について,お答えできる範囲で結構ですので,教えてください。
(事務総長) 今,お話がありましたとおり,先日,アメリカ・カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所ですけれども,エピック・ゲームズがアップル・インクに対して,昨年提起した訴訟について判決があったということでありまして,これはアメリカの地方裁判所の判決ですので,この判決に対して,あまりどうのこうのと言う立場ではないかもしれないんですけれども,御指摘のように,いわゆるアプリ上で利用者を外部の課金システムに誘導することを禁止する条項が,カリフォルニア州の不正競争防止法違反に当たるということで,その差止めを命じたというものと理解しております。
公正取引委員会は,9月2日に被疑事件の処理について公表いたしましたけれども,そこでは,音楽配信事業など5つの事業のリーダーアプリにおいて,そのアウトリンクを許容する旨のアップルからの改善措置の申出があって,この改善措置が実際に採られるということを確認した上で審査を終了するということを発表したわけです。ですので,アプリ全体においてアウトリンクを禁止する行為が反競争的であるとして改善を求めたというのが,アメリカの地裁の判決でございますので,これは公正取引委員会が9月2日に公表した処理方針と基本的に方向性は一致していると考えております。
ただ,この判決につきましては,まだ報道を見る限りでございますが,エピック・ゲームズも更に争うというようなことを言っているようでございまして,確定しておりませんので,公正取引委員会としては,引き続き注視していきたいと思いますし,また,公正取引委員会の事件処理としては,9月2日に公表したように,アップルが申し出た改善措置をきちんと採るということを,これから見極めていきたいと考えております。
(問) そうすると,エピック・ゲームズが控訴して,アップルも控訴するのかどうか,近々,1カ月以内でしょうか,決めるようですけれども,他方,公正取引委員会の方も,アップルが来年の初めですか,リーダーズアプリについてのガイドラインを改定するのをちゃんと見極める,それまでの時間があるわけですが,もう既にリーダーアプリについての合意ができている以上,ゲームを含めた他のアプリについての外部課金の可能性について何か指摘をして,日本でもこれができるようにということを求めることは,これまでの審査の過程から難しいことなんですか。
(事務総長) 9月2日に公表した際も,担当官の方から説明があったかと思いますけれども,この件は,そもそも音楽配信事業等について着目して,そこで競争上の懸念があったということから,それに対する改善措置が採られるということで公表したということです。ですから,音楽配信事業等以外の分野については何ら判断を示していないということでございます。
ただ,このアウトリンクに絡む基本的な考え方というものについては,実態調査報告書等ではっきり示しておりますが,具体的な行為について審査をしているか,していないか,また,何か言えるかということは,ちょっと申し訳ございません,個別案件的なことになりますので,お答えは控えさせていただければと思います。
以上