[配布資料]
事務総長会見記録(令和4年5月11日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)
国際競争ネットワーク(ICN)年次総会について
本日、私からは、国際競争ネットワーク(ICN)の年次総会について御紹介いたします。
第21回ICN年次総会が、5月4日(水)から6日(金)までの日程で、ドイツのベルリンで開催されました。この年次総会には、競争当局関係者のほか、民間の弁護士等も合わせて約80か国・地域から約400名がリアルで参加し、また、1600名以上の者がライブ配信を視聴したと聞いております。公正取引委員会からは、青木委員や国際課の職員等が参加いたしました。
ICNは、競争法執行の手続面と実体面の収れんを促進することを目的として、2001年に、日本を含む14の国と地域の16の競争当局によって設立されました。2022年4月時点では、130の国と地域から140の競争当局が加盟しておりまして、競争法分野における最大の国際組織となっています。また、ICNでは、年次総会を起点として次の年次総会までの約1年間をいわゆる「ICN Year」と捉え、この間を一つの区切りとし、カルテルや単独行為、企業結合等の分野ごとに置かれた作業部会におきまして、加盟当局等が様々なプロジェクトに取り組んでいます。
年次総会は、加盟当局のトップなどが参加し、最近の競争法・競争政策上の重要な課題について議論が行われ、国際的な共通認識を醸成していくことが期待され、実際にもその成果を上げてきた会合です。
今回の年次総会では、青木委員が、企業結合作業部会の全体会合でスピーカーを務めました。この会合では、「企業結合規制における課題:禁止決定と効率的な問題解消措置」をテーマとして、モデレーターが提示する論点や質問に4人のスピーカーが答える形式で活発な議論が行われました。青木委員は、日本における企業結合審査事例を踏まえつつ、公正取引委員会の考え方などを説明いたしました。このほかにも、アドボカシー作業部会の分科会におきまして、公正取引委員会の職員がスピーカーとして出席いたしました。
公正取引委員会といたしましては、執行活動に関わる国際標準の形成や競争当局間の協力関係の強化、国際的プレゼンスの向上等の観点から、引き続き、ICNの活動に積極的に貢献していきたいと考えております。
私からは以上でございます。
質疑応答
(問) まず、1つなんですけれども、先ほど御紹介がありましたICNのミーティングですが、青木委員が全体会合で、日本の公正取引委員会の「経済分析チーム」が「経済分析室」になったということを機に、過去の企業結合審査事例もいろいろ勉強したり見直すことがこれからもっとできるのではないかというような発言をされたかと思うんですけれども、公正取引委員会としましては、過去の審査事例を研究する意義であったり、これからどのようにそのようなことに取り組まれるお考えか、お聞かせください。
(事務総長) 今回の全体会合で、青木委員からは、日本の企業結合審査事例など、これまでも事後検証を行っておりますので、その紹介等を行ったと聞いております。企業結合審査事例の事後検証というのは、何と言いますか、その時の判断、又はその時の問題解消措置が実際にどういう効果があったかということを調べ、確認し、今後に生かす上で、とても重要ですので、事後検証をできる事案、できない事案、つまり、データがあるか、ないかといったいろいろな問題がありますけれども、これからも、いろいろとやっていきたいと考えておりますので、適切な事案を見つけて、今後も事後検証を行っていきたいと思います。
(問) 先日、「クラウドサービスに関する意見交換会」の議事要旨が公開されたかと思うんですけれども、こちらの方で、大きな事業者がかなり大きなシェアを持っているということで、スイッチングの難しさであったり、ベンダーロックインやデータの囲い込み、新規参入障壁の高さなどが議論に上がったかと思うんですけれども、その中で、公正取引委員会が競争環境を促進するためにどのような取組ができるかというようなこともいろいろ話されたかと思うのですが、まず、こちらの議論がこれからどういう形でディベロップしてレポートになるのかということが1つと、あと、公正取引委員会が今の段階で競争促進のためにどのような事業や事業者に関しての働きかけを考えているかということを、ちょっと教えてください。
(事務総長) 御指摘いただいた「クラウドサービスに関する意見交換会」の議事要旨について、私も拝見いたしまして、有識者の方々から、有益な様々な御意見を頂いたと考えております。
クラウドサービスについては、まだ実態調査を継続中でございまして、いろんな調査をやってきて、それに加えて、この3月30日に有識者との意見交換会を開いたということでございまして、これまでの調査結果、それから、この意見交換会での議論、こうしたことも参考にしながら、今後、最終的には報告書を取りまとめたいと考えておりまして、現在、その報告書の取りまとめの作業も進めているところです。公表時期がいつになるかは、まだ申し上げられる段階にはないんですけれども、可能な限り速やかに公表したいと考えております。今、私の方から評価を何か言えるだけの材料が無いものですから、もうしばらくお待ちいただいて、一定の時期に、報告書を取りまとめられましたら、それを公表し、またその時に、より詳しく御説明申し上げたいと考えております。
以上