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令和4年1月12日付 事務総長定例会見記録

令和4年1月12日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和4年1月12日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

令和4年度予算案における公正取引委員会の予算及び機構・定員について

 本年もよろしくお願いいたします。
 本日,私からは2つのことについてお話しいたします。まず,昨年12月24日に,令和4年度予算の政府案が閣議決定されましたので,この予算案における公正取引委員会の予算と機構・定員について,配布資料に基づきまして御説明いたします。
 公正取引委員会の令和4年度当初予算案は,デジタル庁一括計上分を含めまして,108億4600万円です。
 また,令和3年度第一次補正予算では,下請取引の監督体制強化に係る経費など約3億円を計上しておりまして,令和4年度当初予算案に,この令和3年度第一次補正予算を加えますと,111億4900万円となります。
 次に,令和4年度予算案のうち,新たな施策に係る経費について,重点施策別にいくつか御紹介いたします。
 まず,厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用につきましては,デジタル・フォレンジックの拡充経費として約4900万円を計上しています。
 また,中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化につきましては,規定経費を見直しつつ,下請取引公正化とフリーランスとして安心して働くことができる環境整備経費としまして約1億400万円を計上しております。
 さらに,競争環境の整備につきましては,デジタル分野に精通した専門人材の採用やデジタル分野の実態把握・検討経費としまして,約2400万円を計上しております。
 このほか,経済分析能力のある人材,具体的には海外の大学に留学していて,経済学の博士号等を取得する見込みのある日本人学生の採用を目的とした海外リクルート活動経費を計上しています。
 なお,令和4年度予算案は,令和3年度当初予算額と比較しまして約6億円の減となっておりますけれども,その要因としましては,昨年3月に失効しました消費税転嫁対策特別措置法に係る予算のうち,大規模書面調査に係る経費が前年度限りとなったことに伴います予算の減が大宗を占めておりまして,お手元の資料にあります,1から4の重点施策に係る経費はいずれも増額となっています。
 公正取引委員会としては,ただ今御紹介しました新規施策を含め,各施策を進めるために必要な予算は十分確保できているものと考えております。
 次に,機構につきましては,官房総務課企画官(経済分析担当)の新設が盛り込まれますとともに,定員につきましては27名の増員が盛り込まれています。
 公正取引委員会といたしましては,令和4年度においても,引き続き,積極的かつ的確な競争政策の運営に努めてまいります。

「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」について

 続きまして,令和3年12月27日に,公正取引委員会を含む関係省庁において取りまとめられました「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」についてお話しいたします。
 このパッケージは,中小企業等が労務費,原材料費,エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるよう,毎年1月から3月までを「転嫁対策に向けた集中取組期間」と定めまして,「価格転嫁円滑化スキーム」を設置するなど,政府横断的な転嫁対策の枠組みを設けて,政府を挙げて,強力に取組を進めていこうとするものです。
 公正取引委員会にありましては,関係省庁とも密接に連携しながら,「買いたたき」などの不当なしわ寄せ防止に向け,独占禁止法と下請法の「エンフォーサー」として,執行強化の取組を進めていくことが期待されています。
 具体的には,1月から3月までの集中取組期間につきましては,下請事業者向けの情報提供フォームを設置し,また,下請法上の「買いたたき」の解釈の明確化を図ります。そして,来年度における独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査の実施に向けまして,関係省庁とも連携して対象業種の選定を行うとともに,必要な体制強化としまして,「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を2月中旬に設置いたします。さらには,下請法の事件調査として「買いたたき」に関する集中調査を実施するとともに,今週14日から発送を開始いたします物流事業者に対する書面調査において,「買いたたき」に関する質問を行い,情報収集に関する取組強化を進めることとしています。
 また,本パッケージの中身を着実に実施に移すべく,「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」に反映させることを予定しています。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 転嫁施策パッケージについて,体制強化で言及されている「優越的地位濫用未然防止対策調査室」とは,どのような業務を行う部署になるのでしょうか。また,今後の検討課題として,優越的地位の濫用のガイドラインの改正が盛り込まれましたが,どのような問題意識が背景にあるのか,今一度お考えをお聞かせください。
(事務総長) 最初の,優越的地位濫用未然防止対策調査室につきましては,転嫁施策パッケージで示されました独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査,それからスタートアップへの調査,そのほか,これまでも行っております荷主と物流事業者への調査,そうした独占禁止法上の優越的地位の濫用の未然防止に関する調査業務を担っていくということを考えております。
 次に,優越的地位濫用ガイドラインの改正については,今回のパッケージの最後のところに載っておりますが,今,具体的に何を改正するかというのを想定しているわけではないんですけれども,これから,少なくともこの6月までの半年間でいろんな取組を進めていきますので,その中でいろいろな事例が出てくると思います。そうしたものの調査を実施しながら並行して検討し,その結果,どういうところを改正する必要があるか,そういったことが出てくるでしょうから,それを見つけ出しながら並行して検討を進めていくということを考えております。

(問) 転嫁施策パッケージの件ですが,中身を拝見すると,やはり公正取引委員会が果たしている,担っている役割が相当大きく,体制面等で公正取引委員会のマンパワー的には大丈夫なのかという懸念を持っておりまして,その点どうなんでしょうかというのが1点と,また,この転嫁施策パッケージももちろんですし,他にも巨大ITへの対応ですとか,様々な実態調査を最近たくさん行われている中,全体的に公正取引委員会の果たす役割や存在感が結構増しているように思うんですけれども,そこに関して,何かお考えはありますでしょうか。
(事務総長) 今回のパッケージにつきましては,基本的には,事業所管官庁を含めた政府全体としての取組ということですので,様々な業界を所管している関係省庁それぞれの取組ということもいろいろあると思います。その中で,公正取引委員会には,政府全体の取組の下支えというか,基盤として,法執行,つまり取締りというところが期待されていると考えております。その期待に応えるべく,先ほど申しましたような様々な調査,これまでも調査して指導,勧告等してきているわけですけれども,新たな取組を打ち出して,その取締りの力を強化していこうということを考えております。
 公正取引委員会の体制強化というのは,今年度やずっと前からいろいろ言われていて,それを受けて,今回の予算案でもかなり認めていただいていると思っておりますので,この予算案が成立した暁には,新たな予算,機構に基づいて,取組を更に進めていきたいと考えておりますが,もちろん来年度,更に取組をする中で,更に必要があるということになれば,その先に向かって,更なる公正取引委員会の体制の強化というものを各方面にお願いするということもあろうかと考えております。
 デジタル分野についてもですが,一方で,スタートアップを育てようというのも政府全体の取組になっておりますように,新機軸を打ち出すためには,自由で公正な市場の中で活動することが重要だという認識が広まっているのではないかなと思っておりまして,そうなりますと,競争制限的な行為とか,そういう芽を摘むような行為を無くす,それを独占禁止法で取り締まるということの期待が高まっているんだと思います。それは公正取引委員会の仕事をしている者としてありがたいことでございまして,今回の予算案にもそういうことが反映されていると思いますので,期待に反することのないように,職員一丸となって取り組んでいきたいと考えております。

(問) 質問が大きく2つあるんですけれども,1つは,今回の転嫁施策パッケージの中にある「優越的地位濫用未然防止対策調査室」についてですが,これまで優越的地位の濫用については,確かタスクフォースがあったかなと思うんですが,それとの役割分担がどうなっているのか教えてください。
(事務総長) 優越タスクフォースは,審査局の中にございまして,個別具体的な事件として対応するというのが主であります。一方,新たに設ける対策調査室というのは,パッケージに示された優越的地位の濫用に関する緊急調査とか,それから,スタートアップの調査とか,物流事業者の調査といった,どちらかというと,入り口としては「実態調査」というものに専念して進めていこうということを考えております。
 ただ,もちろん,これらの緊急調査は,実態調査という側面があるとともに,その中に,事件につながるような情報があれば,それを活用していくという面もありますが,区別して言いますと,優越タスクフォースは個別事件を調査し対応する,対策調査室は実態調査をきちんと進めていく,というふうに分けて考えております。

(問) あと,もう一つの質問は,テーマがちょっと異って,年末に示された「スタートアップへの出資に関する指針(案)」についてなんですけれども,まず1つは,既に「スタートアップとの事業連携に関する指針」というのが昨年3月に出ているのかと思うんですが,今回のパブコメ手続は事業連携に関するものと出資に関するものの両方一緒に行われているものということでしょうか。
(事務総長) 今回,事業連携のガイドラインに出資の部分が加わりましたので,追加改正されたガイドラインということで,パブリックコメントを掛けておりますが,もちろんこれまでの部分についても意見が出てきても,それを排除するものではないと考えております。

(問) 出資に関するところなんですけれども,スタートアップへの出資というのは,M&Aとも異なるし,これまで既に取引関係があるというのとも違う場合もあるし,事業連携はこれまでも割とR&Dとかでやってきた分野かなと思うんですが,スタートアップへの出資という,ビジネスの関係からして,非常にアーリーステージ,つまり取引が始まろうとしている段階に競争法,独禁法を適用するというのは,割と新しい試みなんでしょうか。そうだとしたら,そういった分野に競争法上の,独禁法上の提言を出すということの意義というのはどういうことになるんでしょうか。
(事務総長) 出資というと,どうしても企業結合の話につながることが,独占禁止法ではこれまで多かったかもしれないんですけれども,それとは別に,今回のスタートアップについては,その出資に伴って適切でない行為がいろいろあるという指摘もあり,それを元に調査した結果,独占禁止法上問題になり得るものがあったので,それについて明らかにする,又は,それに加えて,そういうことが起きないように,経済産業省の方でモデルを作る中で,出資を伴う取引の適正化にも資するようにしようということであります。したがいまして,競争法的に斬新なことをやっているというよりは,問題となり得る行為があったので,ガイドラインとしてしっかり示そうという方が正解に近いのかなと思います。

(問) 世界的には,スタートアップに絡む問題について意識されているんでしょうか。
(事務総長) 外国の状況まではちょっと把握していないんですけれども,日本では,こういうことの指摘があったので,今回,ガイドラインでも明らかにしたということと考えています。詳しくは,担当(取引調査室)にお尋ねください。

(問) 2月中に設置する対策調査室は何人くらいの人員になりますか。公取内のどういった部署の方が所属することになるんでしょうか。
(事務総長) 対策調査室は,今のところ,10人程度と考えております。置かれる場所は企業取引課ですけれども,誰が来るかというのは,これは人事の問題なのでちょっと分かりませんが,企業取引課に10人ぐらいの規模で設置して業務を開始したいと考えています。

(問) 対策調査室は,時限ではなく継続的に設置される部署という理解でよいでしょうか。
(事務総長) 設置時点では時限と考えているわけではありません。どこまで続くかは,この問題がいつまで続いているかということによるということになろうかと思います。

以上

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