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令和4年7月1日付 新旧事務総長就退任記者会見

令和4年7月1日付 新旧事務総長就退任記者会見

[発言事項]

新旧事務総長就退任記者会見記録(令和4年7月1日(金曜)13時30分~於審判廷)

新旧事務総長就退任挨拶

(菅久前事務総長)
 本日、公正取引委員会事務総長を退任いたしました。2020年1月に就任以来、約2年半にわたりまして、定例の会見でありますとか、その他様々な機会で皆様方には大変お世話になりました。深く感謝申し上げます。
 思い起こしますと、約2年半前、今考えていること、今意識していることということで、この場で二つのことを申し上げました。第1は、所管法令を厳正・的確に執行して運用するということ。それから第2は、広く意見を聞いて分かりやすく説明するということです。
 第1の点につきましては、これは私がということではなくて、事務総局の職員皆さんの努力によってということでございますけれども、独占禁止法等の所管法令の厳正かつ的確な運用によりまして、違反行為を排除して競争を回復するというエンフォースメントの面だけではなくて、このところ、取引慣行の改善や規制制度の見直しを提言することなどによって、競争環境を整備する対応を促すなどの取組でありますアドボカシーにつきましても、公正取引委員会に対する期待が高まっておりまして、様々な分野で順調に成果を上げてきているところかと思っております。
 第2の点につきましては、むしろ皆様方に成績評価をしてもらわないといけないことですけれども、一つだけ申し上げますと、対外的だけではなくて、事務総局内部のコミュニケーションをより深めていくための取組をしたいということは考えていたのですけれども、新型コロナウイルス感染症対策の時期がずっと続いたということもありまして、それを十分に果たせなかったのは残念な点ではあります。
 公正取引委員会は、引き続き小林新事務総長の下で、組織一丸となって様々な課題に取り組んでいくこととなります。今後とも、皆様方からの御理解、御支援をよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

(小林新事務総長)
 本日付けで事務総長を拝命しました、小林でございます。よろしくお願いします。2年半にわたって事務総長を務められ、ベテランになられた菅久さんの後ということですけれども、私は、皆さんとコミュニケーションを取っていくのが新米なものですから、どうぞお手柔らかにお願いしたいと思います。
 事務総長が代わって何か抱負を聞かれるのかなと思っているんですけれども、私は、今、菅久前事務総長が申し上げたようなエンフォースメントをしっかりやっていくとか、分かりやすい発信をしていくということは当然のこととしまして、公正取引委員会の施策、政策、そういったものは基本的に委員会が、きちんと判断していくものですから、事務総局のトップが代わっても、公正取引委員会が大きく変わるということはないと思っています。ただ、せっかくこういうポストに就きましたので、事務総局の職員に向けて、お願いしたいなと思っていることをここで申し上げるならば、外部の関係者とのコミュニケーションを強化していきたいと思っています。
 これまでも、十分やってきているつもりではありますけれども、外部の関係者というのは、例えば、記者の皆さんとか、政策に関わる他省庁、国会の議員の方々といったステークホルダーだけではなくて、審査事件や企業結合審査等で相手になります関係人や当事会社といった、直接公正取引委員会と対峙する相手とも、十分に意思疎通を図って意見交換をして、我々の考え方を理解してもらいたい、あるいは相手方が思っている意見を十分に聞いて、それぞれよく理解し合った上でいろんなことを判断していきたいと思っています。
 そのほかにも、例えば、公正取引委員会に何らかの相談に来たいという事業者の方や事業者団体の方がいらっしゃると思うんですけれども、公正取引委員会はとっつきにくいというか、怖い役所だと思われているという世の中の受け止めがあると思いますので、そういった方々に親切に対応していく。公正取引委員会は、相談しやすいところだということを、現場で相手の方に感じていただけるような対応をしてほしいと思っています。
 さらには、事業者の方が、取引先から受けている行為等が独占禁止法違反なのではないかという申告をするという場合にも、公正取引委員会に、あまり抵抗なく申告しやすい雰囲気で対応するということを職員には求めていきたいと思っております。これまでもやってきたつもりではございますけれども、これから一層強化できるといいなというのが私個人の今の思いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答

(問) 菅久前事務総長にお伺いしますが、公取委に入られてからの間、公取委に求められるものや役割が、時代の流れとともに変わってきた部分に関して、何かお思いのことやお考えがあれば聞かせていただきたい。
 また、私は、社会部の記者ですので、特に印象に残っている事件があれば教えてください。
(菅久前事務総長) ありがとうございます。長く生きていると、昔話をしたがるという傾向があって、なるべくそれを意識的にしないようにすることもあるんですけれども、私は、公正取引委員会に入局したのが1983年ですが、1980年代というのは、やはりまだ独占禁止法の強化改正があった後ではありますが、世間の競争政策、独占禁止法、公正取引委員会に対する理解というのはそんなに高くなかった時期かと思います。したがいまして、いろいろと活動する、事件審査をするときにも、世間から十分に理解を得られていたかというと、なかなか難しい中で諸先輩方が頑張っていたという時期かと思います。
 大きく変わったのは、やはり1990年代からだと思っておりまして、1990年代以降は、違反事件に対して公正取引委員会が措置を採る、特にエンフォースメントと言っていますが、その分野ではほぼタブーはない、どの分野でも公正取引委員会は入っていけるというふうになってきたと、いろんな意見はあるとは思いますが、基本的には思っております。さらに、特にこのところアドボカシーと言われている部分については、公正取引委員会は昔からやっていたと私は思っているんですが、昔はむしろ公正取引委員会がやっていることが評価されないことも多かったような気がしますが、最近はむしろ、これを積極的にやっていくべきということを政府全体としても言われているということで、この全体として、私は40年弱ということでございますが、この間に、公正取引委員会、競争政策を取り巻く環境というのも非常に大きく変わったなと思っております。
 私が、今でいう審査局の現場にいた期間がそんなに長くないものですから、事件としても自分が実際やったものとして記憶があるものは限られているんですけれども、第三審査長というのをやっておりましたときに、ステンレス鋼板事件というのがありました。当時としては鉄鋼業界のカルテル事件というのを取り上げるというのは非常に大きな事件でございましたので、それが勧告審決で終わったというのは、私にとって非常に記憶に残っている事件かと思っております。

(問) お二人に一つずつ質問があります。まず菅久前事務総長からですけれども、在任期間は、様々な実態調査とか審査事件もやられてきたと思いますが、ほとんど期間がコロナ禍とかぶった2年半だったんじゃないかなと思います。そこの難しさとかお考えについて一言いただけると助かります。
(菅久前事務総長) ありがとうございます。私は、2020年1月に就任して、その直後から新型コロナウイルス感染症対策の時期になりましたので、私自身もそうですが、公正取引委員会全体としてもいろいろと行動制約がある中で、大変なところはあったと思います。ただ、そういう中でも様々な分野の実態調査を行い、成果を出してきたと思いますし、審査事件については、行動制約の影響をより大きく受けたところはありました。私の2年半の業務で一番中心だったのは、週に1回の定例会見でございましたが、定例会見で法的措置の件数が減少しているということを指摘され、責められたというのは一番大変だったという気もいたします。けれども、それについては、今年度から急速に回復していくと思いますので、是非御期待いただければと思います。

(問) 小林新事務総長に1問なんですけれども、委員長が先般の会見でもエンフォーストメントとアドボカシーの連携の強化というお話をされていたと思うんですが、この点について、先ほどおっしゃられていた外部の方とのコミュニケーションを強化していきたいというところに、もしかしたらつながるのかもしれないんですけども、この点についてのお考えをお聞かせください。
(小林新事務総長) ありがとうございます。私は、昨日までは、経済取引局長をしておりまして、アドボカシーのことをやっていましたが、その1年前は審査局長として、まさにエンフォーストメントをやっていました。エンフォーストメント、アドボカシー、そして今に至るというようなポストをたまたま通ってきたものですから、審査局にいたときにはアドボカシーでいろいろと考え方が示されていて、これをどういうふうに審査に応用していったらいいんだろうかということを考えながら、審査をするということをやっていましたし、経済取引局に行きましてからは、自分がやっているアドボカシーというのが、今度は審査にどう使えるんだろうかということを意識してやっていました。委員長も車の両輪と申していたと思いますけれども、それは比較的以前から、公正取引委員会は、単なる審査機関ではなくて、アドボカシーもやる、両面を持った組織だという自己認識はあったものですから、それをこの間の委員会のステートメントで言語化していただいたと思っておりますので、ステートメントに沿って、アドボカシーとエンフォーストメントをしっかり動かしていくということを心掛けていきたいと思っております。その過程では、先程申しましたような外部への分かりやすい発信を含めた、外部の方との円滑なコミュニケーションというのが一助になるのではないかと考えております。

(問) 菅久前事務総長、お世話になりました。ありがとうございました。一言ずつで結構なんですが、御在任中に海外の競争当局の在り方、特に米国を含め、いろいろ変わったところがあるのかなと思うんですが、この2年間を振り返って、公正取引委員会の世界の競争コミュニティーにおける役割がどう変わったのか、聞かせていただきたい。あと、小林新事務総長に対して、新しい事務総長ということで、世界の競争法をやっている方々に対してのメッセージがあればお願いします。
(菅久前事務総長) ありがとうございます。私のいた2年半で何か大きく変わったかというと、あまり大きく変わったという印象があるわけではないんですけれども、特にデジタルの分野については、G7のその枠組みでのエンフォーサーズ・サミットが開かれたように、世界各国の競争当局が同じ問題について、同じ問題意識で取り組むということがこの2年間行われてきたと思います。
 その中で、公正取引委員会は、ちょっと身びいきがあるといけないんですけれども、客観的に見てもと私は思っているんですが、実態調査にしろ、事件審査にしろ、それなりに先行していろいろとやって成果を上げ、それが他の競争当局とのマルチやバイの会談でも評価するような発言を各国の競争当局から受けておりますので、そういう意味でリードとまでは言えないと思いますけれども、反競争的行為に対する対処ということでは、アメリカやヨーロッパその他の競争当局と肩を並べてこれまで取り組んでこられたのではないかと思っていますし、これからもそういう活動を続けていけるだけの能力のある人材も若手を含めいっぱいいますので、そういう活動が続いていくものと大いに期待しております。
(小林新事務総長) 私からは、今のお話の世界の競争当局へのメッセージということでございますけれども、私個人はあまり国際部門の経験がなくて、それほど得意ではないんですけれども、今、菅久前事務総長が申し上げましたように、あまり話題になっていないですが、先進的な取組をしている部分も公正取引委員会にはあると思っておりまして、他の競争当局に後れを取らないどころか、中には進んでいる部分もあるというふうに自負しております。
 各国の競争当局との連携につきましては、委員長を始め、公正取引委員会の中で、積極的にやっていこうという機運が大変高いものですから、個別の執行やその政策面においても、各国の競争当局とよく連携しながら、仕事を進めていきたいと思っています。世界の中である程度、JFTC、公正取引委員会の存在感というのを示すことができるような取組をしていきたいと考えております。

以上

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