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令和4年9月21日付 事務総長定例会見記録

令和4年9月21日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和4年9月21日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

企業結合審査の事後検証の実施について

 本日は、企業結合審査の事後検証の実施についてお話しします。
 企業結合審査の事後検証とは、過去の企業結合審査の手法が適切だったのか、また、統合によって市場にどのような影響が生じたのか、などを事後的に検証することであります。そして、検証の結果を将来のより良い政策立案やより効果的な執行につなげていくものでありまして、これらの取組は、EBPMといわれている合理的根拠に基づく政策立案、このEBPMの推進の観点からも望ましいと考えられます。
 なお、当然のことでありますけれども、事後検証によって、過去の企業結合審査の結果や判断が覆ることはありません。
 このような取組は、欧米を中心とした海外当局においては積極的に行われているところでありますけれども、公正取引委員会としましても企業結合審査の手法の更なる確立など、企業結合審査の改善に向けた事後検証の取組を進めていくことが重要であると考えており、これを定期的・継続的に実施してまいりたいと考えております。
 このような考え方の下、今般、公正取引委員会は、新潟県内の地方銀行同士が統合した、第四銀行、第四と書いて「だいし」と読むんですけれども、第四銀行と北越銀行の統合案件について事後検証を実施する予定です。この統合案件は、公正取引委員会が企業結合審査を行った結果、平成29年12月に、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断し、問題ないということで審査を終えた事例です。
 本件の担当課は経済取引局の企業結合課でございます。詳細については、企業結合課にお問い合わせいただきたいと思います。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) この事後検証の詳細について教えていただきたいのですけれども、まずはなぜこの第四銀行と北越銀行の案件が選ばれたのかということと、実施主体はどこなのか、外部委託なのか、内部なのかということ。それから、いつごろに結果の公表を予定していらっしゃるのか。また、特に注目点はどんなところか、教えてください。
(事務総長) 企業結合審査を終了した案件は多々あるわけですけれども、この中から、今回は、事後検証の実現可能性といいますか、例えばデータがどれだけ保存されているかといったフィージビリティでありますとか、あるいは、企業結合審査後の市場の状況というのは何年かしてから判断することになるわけですので、統合から十分な時間が経過しているかなどを総合的に考慮して選定したものであります。
 そして、この企業結合審査の事後検証につきましては、公正取引委員会自身が、主体といいますか、企業結合課の方で積極的に行っていこうと考えております。ただ、いつ、これが終了するかは、正にこれから始めるものですから、また、これまではCPRC、競争政策研究センターの方では取組を行ってきましたけれども、公正取引委員会自身が定期的・継続的な事後検証を行っていくのは、本件を嚆矢とするものですので、具体的にいつ、この事後検証が終了するかは、今はまだ何も決まったものはありません。
 また、注目点ということですけれども、淡々と事後検証を行って、市場の状況はどうなったのか、その当時に想定したとおりの取引環境が実現されているのかといったことをみていくということでして、何かピンポイントにこの点を調べようということではなく、幅広く、事後検証してまいりたいと考えております。
(問) 定期的に、継続的にということなのですが、例えば、1年間に何件とか見通しはあるんですか。
(事務総長) 正に1件目ですし、いくつも並行して行うというのも、リソースの関係もありますので、着実に進めてまいりたいというのが現状の考えです。
(問) 今回のこの事後検証を行うことによる、狙いといいますか、意義の部分について、より良い政策立案やより効果的な執行につなげていくというお話でしたが、例えば、市場環境への影響や今後、企業結合を考えている企業への影響といった部分で何かを期待されていることはありますか。
(事務総長) 本件で特に何かあるわけではないのですけれども、事後検証を行うことで、例えば、何か新しい知見が得られれば、ガイドラインの記載をより充実していこうとか、あるいは、更なる企業結合審査の手法の精緻化といったことは考えられると思います。市場環境の変化は、企業結合によって生じるものもあれば、外的な経済要因によって生じるものもあるでしょうから、そのあたりも加味しながら、必要に応じて経済分析も交えながら行っていくことになると思うんですけれども、特にその中で統合による影響を検証していきたいということで進めるものです。
(問) これまで競争政策研究センターの方でも同様の検証が行われていたというお話でしたが、今回、公正取引委員会で実施していくことになった理由というのはどういったところなんでしょうか。
(事務総長) これまでも、CPRCにおいては、共同研究やディスカッションペーパーという形で事後検証を実施してきておりまして、これは必ずしも組織としての考え方というよりは、執筆者個人の責任によって発表されるものですので、公正取引委員会としての見解を示すものではなかったのですけれども、冒頭申しましたように、海外当局でも、こういった事後検証を行って、政策や執行に生かしていくというやり方は、国際的な競争当局のスタンダードといってもいいかと思いますので、そういったことを公正取引委員会が行っていくことも意味のある取組だろうということで、今回このような形で行うことを決め、またこういう取組をしていることを知っていただくために、本日、発言させていただきました。

以上

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