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令和4年10月5日付 事務総長定例会見記録

令和4年10月5日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和4年10月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

新潟市における「一日公正取引委員会」の開催について

 本日は、私から2点、お話をさせていただきます。
 1点目は、公正取引委員会が全国各地で開催する一日公正取引委員会の取組についてです。
 公正取引委員会では、事務所等を置いている都市以外の地域にお住まいの方々にも、公正取引委員会の活動を身近に感じていただけるよう、一日公正取引委員会という名称で出張事務所を開設して、独占禁止法や下請法等のPR活動、それから事業者や消費者の方々からの相談を受け付けるなどの取組を行っています。
 今年度につきましては、最初に鳥取市で10月13日に開催し、それ以降、10月20日に福島県郡山市、11月2日に新潟市での開催予定となっており、このほかにも、北海道旭川市、富山県高岡市、和歌山市、高知市、長崎市の全国8都市で一日公正取引委員会を開催してまいります。
 一日公正取引委員会の具体的な内容につきましては、お手元に配布しています、新潟市における一日公正取引委員会の資料に沿って御説明します。新潟市の一日公正取引委員会では、私が出張させていただきまして、講師となって「独占禁止法講演会」を行います。また、下請法の基礎知識を習得していただくための「下請法基礎講習会」、地方公共団体等の発注担当者向けの「入札談合等関与行為防止法研修会」を行うとともに、「相談コーナー」を設けて終日相談を受け付けます。
 さらに、消費者の方々を対象に独占禁止法や公正取引委員会の活動を分かりやすく説明する「消費者セミナー」でありますとか、新潟明訓中学校において独占禁止法教室を実施する予定でございます。
 なお、今回、新潟市での一日公正取引委員会の開催は、新潟県下での初開催ということになっておりまして、新潟県と新潟市から御後援をいただくとともに、新潟商工会議所などの経済団体の御協力を得て開催いたします。
 独占禁止法講演会、下請法基礎講習会、消費者セミナーはどなたでも参加できますので、多くの方々に御参加いただければと思っております。これらの講演会等に参加を希望される場合には、公正取引委員会のホームページか、もしくはお手元の添付資料に記載しているQRコードからアクセスしていただいてお申し込みいただければと思います。
 公正取引委員会としましては、競争政策や公正取引委員会の活動に対する国民の皆様方における理解が深まり、身近なものとして感じていただけるよう、今後とも一日公正取引委員会の取組を行ってまいりたいと考えております。
 以上が1点目です。

「企業名公表」の取組について

 次に、昨日4日に開催された「新しい資本主義実現会議」における公正取引委員会委員長の提出資料に記載されております「企業名公表」の取組について御説明します。
 中小企業等が労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分を適切に転嫁できるようにし、賃金引上げの環境を整備するため、政府全体として「転嫁円滑化施策パッケージ」を推進しています。公正取引委員会では、適切な価格転嫁の実現に向け優越的地位の濫用に関する緊急調査を進めてきました。その流れを受けまして、適正な価格転嫁の実現を一層図る必要があるという政府一体的な認識の下、公正取引委員会において緊急調査等の結果を踏まえ、独占禁止法に基づき、転嫁拒否行為が確認できた事業者の企業名を公表することにより、違反行為の未然防止を図るとともに、適正な価格転嫁を強力に推進することとしました。
 転嫁拒否行為に対する懸念は、全業種においてみられますところ、独占禁止法又は下請法違反事件として法違反を個別に認定していく取組のみによっては、転嫁拒否行為が問題であるというメッセージを浸透させるには限界があります。このため、法違反又は法違反の疑いを認定しないまでも、その一歩手前の行為が確認できた場合に企業名公表を行うとともに、違反行為の未然防止、更にはコンプライアンス意識の醸成を図るとともに、転嫁拒否行為の抑止を図るというものであります。
 具体的には、今回の企業名公表は、緊急調査等の結果、一つ目の内容としまして、労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと、又は、二つ目の内容としまして、労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことに該当する転嫁拒否行為を行っている事業者に関して、その中でも多数の取引の相手方に対して行っている事案、あるいは過去に繰り返し行っている事案につきまして、独占禁止法第43条の規定に基づいて企業名を公表するというものです。
 緊急調査につきましては、今後、令和4年末を目途に、調査結果を取りまとめて公表する予定でありますので、今回の企業名公表についても、この際に合わせて公表を実施することを予定しています。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 企業名の公表についてですけれども、これは今回、価格転嫁についての調査結果を踏まえてということかと思いますが、これまで公正取引委員会の執行でいうと排除措置命令、警告、注意とかいうのがあったかと思うんですが、それ以外に今回と同じような企業名を公表するという事例はあったのですか。
(事務総長) 企業名の公表というのは、これまでほとんどの事案では排除措置命令、警告、あるいは下請法の勧告といった法的な措置などを行った場合に、公正取引委員会はその行政の透明性を確保する観点から、この企業にこういう命令を行いました、警告を行いました、勧告を行いましたということを公表してきております。
 それに対しまして、今回の価格転嫁のための緊急調査につきましては、独占禁止法上の優越的地位の濫用の観点から調査を行っているものでありますけれども、個別企業の違反の有無を明らかにするという調査ではなくて、強いて言えば、実態調査に近いような内容でございまして、実際、部局としても審査局で行っているわけでなくて、取引部で行っております。
 ただ、そういった実態調査の結果を踏まえて、企業名を公表した例が過去に全くなかったかというと、そういうことではなくて、だいぶ昔なのですけれども、平成元年にコンピューターシステムに関する安値入札という調査を行いまして、その中で特定の企業が著しく低い対価で地方公共団体におけるシステムの入札に応じていたという事例が認められたということで、企業名を公表して厳重注意を行いましたということを公表しているケースがあることはあるのですけれども、通常は、実態調査で個社名を出すということは行っておりませんので、その意味では、更にこの価格転嫁対策の重要性に鑑みて、一歩踏み込んだ対応をしていくものと御理解いただければと思います。
(問) 今日の議題ではないんですけれども、今週月曜日に政府がITの規制、デジタルプラットフォーム取引透明化法に、ネットの広告、デジタル広告を追加して、大手3社を指定しました。改めてというところも大きいと思うのですけれども、日本らしいやり方というか、日本の法律に則って、ITの規制もするけれども、新しい産業の育成もしていくということだと思うんですが、この辺りの所感を改めて伺えたらと思います。
(事務総長) デジタル分野、特にデジタルプラットフォームが関係する分野においては、ネットワーク効果でありますとか、そういったことを利用して寡占化が進みやすいという性質がございますので、このような取引の中で独占禁止法違反があれば、厳正に対処していかなければいけないということでありますけれども、その一方で、今、御質問の中にありましたように、イノベーションを規制によって潰してしまわないようにする観点も含めて、デジタルプラットフォーム取引透明化法というのは、一種の官民の共同規制という考え方でつくられております。特定の事業分野、あるいはそれに基づいて事業者を指定して、そのデジタルプラットフォーム事業者に、年に1回、様々な報告を求めて、それを政府の方でレビューするというような仕組みとともに、いろいろないくつかの義務付けがされているというものです。
 御指摘のデジタル広告につきましては、10月3日にデジタル広告分野において、デジタルプラットフォーム取引透明化法の規制対象となります「特定デジタルプラットフォーム提供者」として、グーグル、メタ、ヤフーの3社が指定されたものでございますが、このデジタル広告分野のルール整備につきましては、公正取引委員会は令和3年2月になりますけれども、デジタル広告分野における実態調査報告書を公表しておりまして、この内閣官房を中心とする政府全体の議論に貢献してきたと考えております。
 今後も、引き続き独占禁止法を補完するような役割を持っているデジタルプラットフォーム取引透明化法の運用に関しましては、関係省庁としっかり連携していきたいと考えておりまして、更に今回の指定も含めまして、デジタル広告市場における取引の透明性や公正性が一層確保されることを期待するものであります。
(問) 先ほど緊急調査のことで、既に説明があったかもしれないのですけれど、この独占禁止法に基づく企業名の公表というのは、下請法に基づく勧告とか、あと警告とかいう枠組みの処分ではないけれど、厳重注意という処分に該当するのですか。
(事務総長) 下請法の勧告というのは、法律にこの場合には勧告すると書いてあって、それに則った法律上の措置でありますが、それに対しまして、今回の企業名の公表というのは、第一に、違反行為の認定を行っているものではありません。転嫁拒否行為という、コストが上昇しているにもかかわらず、その取引価格を据え置くといったような、一種の外形と言いましょうか、そういった行為が行われている転嫁拒否行為については丁寧に確認をいたしますけれども、それをもって直ちに独占禁止法や下請法に違反するというわけではありませんので、その意味では、違反の認定はしていないんですけれども、ただ、転嫁対策を一層進めて、中小事業者の賃金上昇の環境整備につなげるという観点から、政府全体として転嫁対策を進めておりますので、そういった観点で違反行為の未然防止、あるいはコンプライアンス意識の醸成でありますとか、これらを含めた転嫁拒否行為の未然防止、あるいは抑止を図るというような観点で、踏み込んだ内容として企業名を公表するものでありますので、その意味では、処分性があるものではなく、事実の公表といった性格を持つものと理解しております。

以上

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