[配布資料]
第222回独占禁止懇話会の議事概要の公表について(令和4年12月15日公表資料)(PDF)
[発言事項]
事務総長会見記録(令和4年12月21日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
第222回独占禁止懇話会の議事概要の公表について
本日は、本年11月8日に開催しました第222回独占禁止懇話会の概要についてお話しいたします。
独占禁止懇話会は、我が国経済の変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するため、公正取引委員会が国民各層の意見を広く聴取するとともに、独占禁止法の運用について国民各層の理解を深めることを目的として、昭和43年11月以降開催しているものです。
独占禁止懇話会には会員がいらっしゃるわけですが、会員の任期は3年となっており、第17期の会員の任期が本年8月末で終了しましたので、新たに第18期の会員が選任されました。今回、約13年にわたって会長を務められた伊藤元重東京大学名誉教授が会長兼会員を退任され、新たに柳川範之東京大学大学院経済学研究科教授が会長として選任されたほか、柳川会長のほかに3名の新会員が選任されております。11月8日に開催した第222回独占禁止懇話会は、現在の第18期会員による初めての会合でございました。
今回の独占禁止懇話会では、五つのテーマについて、会員の方々から御意見等を頂きました。12月15日に公表しましたお手元の議事概要の中から、各テーマにおける主な御意見等を御紹介いたします。
一つ目のテーマの「最近におけるデジタル分野の企業結合審査への対応及び令和3年度における主要な企業結合事例について」でございますけれども、配布資料別紙の1頁の二つ目の○にございますように、企業結合を行います当事会社の内部文書が実際の企業結合審査でどの程度役に立っているのかといった点についての御質問がございまして、その企業結合を行う、当該業種に最も詳しい当事会社の内部文書を確認することによって参考となる情報が得られる場合は多く、非常に役に立っている旨を担当の方から御説明しております。
二つ目のテーマの「クラウドサービス分野の取引実態に関する報告書について」でございますけれども、3頁の最後の○ですが、データのスキルを持った人材は賃金が高い海外企業に行ってしまう状況にありまして、日本企業が自社育成できるよう、関係府省に対してデータ人材の育成やリスキリングといった観点で背中を押すような提言をしていただけると有り難いといった御意見を頂きました。
三つ目のテーマの「クレジットカードの取引に関する実態調査について」でございますけれども、5頁の上の方の○ですが、キャッシュレス決済の増加に伴ってクレジットカードの利用も増えており、加盟店が負担する手数料が間接的に消費者にも影響しているため、このような調査を通じて競争が活発になるのは重要であるといった御意見を頂きました。
四つ目のテーマの「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について」では、多重下請構造がソフトウェア業以外の業種にも存在しており、公正取引委員会が今後、これらも点検をしていくという方向性について、大変心強く思っているといった御意見を頂きました。
五つ目のテーマの「適正な価格転嫁の実現に向けた取組」では、価格転嫁に便乗した不当な値上げについても十分に注視してほしいといった御意見を頂きました。
公正取引委員会としましては、今回頂いた御意見等も踏まえ、今後とも、競争政策を有効かつ適切に推進してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 今回は、今年最後の事務総長定例会見かと思うんですけれども、この1年を振り返ってどのようなことをお思いになるか、特にコロナもありまして、エンフォースメントがちょっと例年よりも少なかったということもあるかと思うんですけれども。そして、来年に向けて、何かありましたら教えてください。
(事務総長) 今年最後の定例会見でございますので、今年のまとめのようなものを申し上げますと、エンフォースメントにつきましては、着手から少し時間が掛かったかもしれませんけれども、中部地区における医事業務の入札談合事件や、広島におけるコンピュータ機器の入札談合事件がありました。つい最近では、溶接式の管継手のカルテル事件も既に措置が出ております。また、先般報道がありましたように、電力のカルテル事件について一定の審査が進んでいるといったこともございます。このほか、御案内のとおり、犯則調査事件も新たに始まっております。そういった面で、一時期、新型コロナウイルス感染症の関係もあって、緊急事態宣言が出ている間などは、新規の立入検査も控えるなどしておりましたけれども、比較的、平常に戻りつつあるかなと思っております。
エンフォースメントともう1本の柱でございますアドボカシーにつきましても、いくつかの実態調査報告書を公表したほか、今年の後半には、グリーン社会の実現に向けた事業者の活動に関するガイドラインを検討する検討会を開催しました。また、ニュースコンテンツ配信分野の実態調査や電力分野に関する実態調査を開始するという旨を公表するなど、競争政策の進展に向けた提言等、アドボカシーの活動も着実に行ってきていると思います。
さらに、最近円安が少し修正されつつありますけれども、エネルギーコスト、原材料費、労務費の上昇に伴う円滑な価格転嫁に関して行っております転嫁円滑化施策パッケージに基づく各種取組についても着実に、かなり力を入れて実施してきたと考えております。
そのような中で、先日も公表いたしましたけれども、年度途中に緊急増員として50人の増員が認められるなど、公正取引委員会への期待がますます高まっていると感じておりまして、違反行為への厳正な執行、それから経済社会の変化に応じた競争政策の推進に、年が変わっても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
以上