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令和5年4月5日付 事務総長定例会見記録

令和5年4月5日付 事務総長定例会見記録

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[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年4月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

デジタル庁情報システム調達改革検討会最終報告書について

 本日は、公正取引委員会によるアドボカシーの重要な柱の一つとして実施している実態調査について、2点お話しさせていただきます。
 まず、公正取引委員会が過去に公表した実態調査報告書を踏まえた関係省庁による取組の状況としまして、「デジタル庁情報システム調達改革検討会最終報告書」がございますので、これについてお話しします。
 デジタル庁は、専門家・有識者で構成する「デジタル庁情報システム調達改革検討会」の最終報告書を3月に公表しました。検討会では、公正取引委員会が昨年2月に公表しました「官公庁における情報システム調達に関する実態調査報告書」の中で提示した情報システム調達に関する課題及び提言等から検討論点を導き出し、情報システム調達の在り方が検討されました。具体的には、公正取引委員会の報告書では、ベンダーロックインが回避されることなどによって、多様なベンダーが参入しやすい環境を整備することが重要であるとの認識の下、競争政策上の考え方を明らかにするとともに、デジタル庁等の関係府省庁に対する提言を行ったところですけれども、これを踏まえて、デジタル庁の最終報告書において、海外事例や中小・スタートアップ企業等へのアンケート等も参考に、具体的な施策の方向性が示されております。
 例えば、公正取引委員会の報告書におきましては、情報システムの疎結合化は、様々な事業規模のベンダーの新規参入の促進につながるものであって、競争政策上望ましいという内容を明らかにしたことに対し、デジタル庁の最終報告書では、疎結合化やオープンな技術の採用に成功した優良事例について、成功事例集を作成し、共有することなどの具体的な推進方策を示しております。また、公正取引委員会の報告書では、官公庁の情報システム調達における競争性を一層高める観点から、官公庁が様々なベンダーとマッチングできるような環境を整備することが競争政策上望ましいことを指摘したところ、デジタル庁の最終報告書では、まずは令和5年度にデジタル庁において、様々なベンダーとマッチングできる仕組みを整備するために必要となるカタログサイトの構築実証を行い、更なる検証を進めることなどが示されております。
 公正取引委員会としましては、実態調査等を通じたアドボカシー活動に積極的に取り組んできたところでありますけれども、官公庁における情報システム調達の実態を把握するために実施した実態調査が、関係省庁との連携によるデジタル社会の実現に向けた、競争環境の整備のための具体的な取組につながったという点で、有意義な成果が上げられたものと受け止めております。引き続き、社会経済情勢等を踏まえて、公正かつ自由な競争の一層の促進が求められる分野について重点的に実態調査を実施することで、効果的なアドボカシー活動による競争環境の整備に取り組んでいきたいと考えております。

高速道路における電気自動車(EV)充電サービスに関する実態調査の開始について

 続いて、これにも少し関係しているんですけれども、新規の実態調査としまして、高速道路における電気自動車、いわゆるEVの充電サービスに関する実態調査を開始することにつきまして、お話しさせていただきます。
 まず、背景と調査内容でございます。
 我が国は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すこととしており、令和4年6月に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2022」においては、2035年までに新車販売でいわゆる電動車、これには電気自動車だけでなく、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車を含んでおりますけれども、新車販売でいわゆる電動車100%とする目標等に向けて、充電インフラの整備等による集中的な導入を図ることとされています。
 この政府目標を踏まえると、EV充電サービスは、これから急速な成長が見込まれる市場であり、かつ、関連する規制を含めて市場環境も大きく変化することが予想されることから、公正取引委員会としましては、迅速かつ的確な競争実態の把握に基づきまして、競争環境整備のための提言を積極的に行っていくことが重要と考えております。
 特に、EV普及の観点からは、まずは、高速道路を利用するような長距離移動における、充電に対する不安を払拭することが重要だと考えられます。したがって、今回の実態調査では、高速道路におけるEV充電サービスに関する競争実態について、ヒアリング等によって明らかにしたいと考えています。
 調査の結果にもよりますが、仮に、EV充電サービスに関連する取引において問題点があれば指摘もしますし、それに対する独占禁止法上及び競争政策上の考え方を示すとともに提言を行うこともあろうかと思います。これにより、充電インフラ整備における新規参入の活発化やイノベーションの促進を通じて、公正かつ自由な競争を促進し、競争政策の観点からもグリーン社会の実現を後押しすることを目指します。
 今後、EV充電サービス市場の現状等を幅広く把握するため、関係する事業者の方々に対して、ヒアリング等を行いたいと考えております。関係する事業者の方々におかれましては、この調査の趣旨を御理解いただきまして、是非御協力くださいますようお願いいたします。
 本件の担当は経済取引局調整課です。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) EV充電サービスに関する実態調査について、関係する事業者として、どういった事業者がいるとお考えなのかという点と、どのような点が独占禁止法上の問題となり得るのかのポイントについて教えてください。
(事務総長) まず一つ目のどのような事業者を対象に調査を行うかについてですが、まずEV充電サービスを行っている事業者のほか、高速道路におけるEV充電サービスを対象としますので、高速道路の管理者等も対象として調査を行いたいと考えております。
 二つ目の御質問につきましては、まずその実態を把握するというところから始めたいと思っていますので、現時点で具体的に独占禁止法上の問題があると考えているわけではございません。今後、EVに限らず電動車の普及に伴いまして、高速道路、更には一般道路もそうかもしれませんけれども、EV充電サービス市場やそれに関連する市場が伸びていくと考えられます。これから大きく伸びていくことが予想される市場において、競争を阻害するようなことが起きていると、その影響が残ってしまうということもありますので、どういった実態があるのかを今のうちから見ていこうということでございます。
(問) EV充電サービスの実態調査のことで2点お伺いしたいんですけれども、一つ目は調査期間がどのくらいかということです。それから、一般的に、高速道路の管理者とEV充電サービス事業者を比べると、高速道路の管理者の方が優越的な地位にあるということがいえるのかどうかをお願いします。
(事務総長) まず、一つ目の調査期間でございますけれども、これから調査を開始するところでございまして、いつまでにというのは決まっていません。EV充電サービスの市場全体ではなく、高速道路の市場に限定して調査をするということもありますし、また、最近、大幅にEV充電設備の整備が進んでいるという話も聞くところでございますので、長期間掛けてしっかり調査するというよりは、なるべく短期間で一定の結果を取りまとめて報告したいと考えています。
 それから二つ目の高速道路の管理者とEV充電サービス事業者の関係に関する御質問ですが、今後、関係者それぞれからヒアリング等をしてみないと実態は分からないわけですが、もちろん、限られた空間に充電設備を設置していくということですので、御指摘のような優越した地位にあるのかどうかといったことも含めて実態を把握していくことを考えています。
(問) EV充電サービスに関する実態調査について、もし何か問題があれば、取りまとめと同時に指摘等を行う可能性があるのかという点と、その場合、個社名を出して調査結果を公表する可能性があるのかどうかを教えてください。
(事務総長) 実態調査でございますので、違反認定のように個社名を出すということはまだ何も決まったものはございません。もちろん、実態を把握するところから始めますが、その実態を踏まえて競争政策上又は独占禁止法上の懸念や問題、あるいはこうした方がいいのではないかという提言があれば、積極的に出させていただくということになると思います。今回は高速道路におけるEV充電サービスでの新規参入やその新規参入者間の競争が公正かつ自由に行われるようにという観点から提言をしていくということになるのではないかと思っています。いずれにしても、実態調査でございますので、特定の者が違反行為をしている疑いがあるとか、そういった懸念があるといったことで調査を開始するものではございません。
(問) 先週、新聞発表が行われた電力カルテルでは課徴金額が約1010億円という過去最高額でしたが、これについて、課徴金納付命令を受けた各会社が取消訴訟を提起する方針を示したりしていますが、これに対する受止めと、公正取引委員会としてどう対応するかというところをお願いします。
(事務総長) 排除措置命令及び課徴金納付命令に対して不服がある場合に、東京地方裁判所において争うというのは、当然ながら事業者側の権利でございますので、事業者が、公正取引委員会の処分の全体あるいは一部に対して異議があるということであれば、提訴を受けた後の訴訟において、公正取引委員会の主張が認められるよう対応していくということかと思います。
(問) 私も電力カルテルのことでお伺いしたいんですけれども、新聞発表文において、独占禁止法違反の認定以外に、公正取引委員会から電力・ガス取引監視等委員会に対する情報提供が何点か行われています。そんなによくある話ではないのかなと思うんですが、あえてこういった対応をされた背景や、公正取引委員会としての問題意識を改めて教えていただけないでしょうか。
(事務総長) 個別事件の公表時にお話があったかもしれませんけれども、今回の電力・取引監視等委員会に対する情報提供につきましては、電力市場の監視や政策立案に役立てる観点から、私どもが事件審査において把握した情報を電力・取引監視等委員会と共有することを目的としたものでございまして、何らかの調査を求めるといった類いのものではありません。これまでも電力関係については、個別事件は別として、電力取引に関するガイドラインを共同して作成したりしておりますので、引き続き電力・ガス取引監視等委員会とも連携しつつ、電力市場における公正な競争環境の整備に努めてまいりたいと思っていますので、そういういった面での情報提供を行ったというものでございます。
(問) 何か具体的な問題意識があるから情報提供をしたのかなと思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
(事務総長) 事件を審査する中で、新聞発表文で触れたことが見受けられましたので、そういったことは、電力・ガス取引監視等委員会の方でも既に把握されているかもしれませんけれども、審査によって得た情報を共有するという観点から、情報提供を行ったものでございます。

以上

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