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令和5年4月19日付 事務総長定例会見記録

令和5年4月19日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

 無し

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年4月19日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

公正取引委員会委員の就任について

 本日は、公正取引委員会委員の就任について、御報告いたします。
 4月12日付けで山本和史委員が退任され、4月13日付けで元神戸大学大学院法学研究科教授の泉水文雄氏が公正取引委員会委員に任命されました。
 泉水委員は、長年にわたり、独占禁止法を中心とした経済法学者として、独占禁止法の法規制や競争政策などに関する研究を行ってきているほか、デジタル市場競争会議の構成員に就任するなど、公正取引委員会の重点課題である競争政策とデジタル市場の分野において高度な専門知識を有しておられます。また、公正取引委員会との関係でも、平成25年から公正取引委員会の独占禁止懇話会の会員をされておられました。
 泉水委員には、このような経済法の専門的な知見を活かし、公正取引委員会による独占禁止法の厳正な法執行、競争政策の一層の推進に大きく貢献していただけるものと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 泉水委員は、先週に着任されたということですが、今、御説明いただいたこと以外に期待されることのほか、泉水委員が就任に当たって、内部でどのようなお話をされたのか、教えていただけますか。
(事務総長) 泉水委員が御就任された日に、職員向けの御挨拶を頂戴しました。その場では、長年にわたって経済法を研究してきたことのほか、公正取引委員会の各種研究会の会員として活動されたことなど、公正取引委員会や競争政策に大変関心が高く、かつ公正取引委員会とも近しい関係にあったといったことを、御挨拶の中で触れておられました。また、これまで研究対象としてきた公正取引委員会の一員となって仕事ができるということで、大変楽しみにされているという内容でございました。
 委員に対して何を期待するかとの御質問ですが、事務総局から申し上げるのは僭越でございますけれども、冒頭で申しましたような専門的な御知見や御経験を基に、公正取引委員会の更なる法執行、政策運営に的確な御意見、御指摘、御指示をいただけるのではないかと期待しております。
(問) 偶然、日銀の総裁も初めて学者の方が就任されましたが、その点では、どのような思いをお持ちですか。
(事務総長) 委員の任命は、国会の同意人事にかかるものでありまして、これは内閣総理大臣が、国会の同意を得て任命するものです。御指摘のような学者かどうかといったその方の属性について、私から申し上げることは控えたいと思いますが、泉水委員は、競争政策について専門家でいらっしゃいますので、学者かどうかにかかわらず、これまで培ってこられた専門性を生かして、委員会メンバーとして、御活動いただけるものと考えているところでございます。
(問) 公正取引委員会は、最近デジタル分野にかなり力を入れられていると思いますが、泉水委員は、デジタル市場競争会議にもいらっしゃったということで、デジタル分野に関する側面から御期待されることがあればお伺いしたいです。
(事務総長) デジタル分野については、ここ数年、公正取引委員会が大変力を入れているところでございまして、個別の審査事案、あるいは実態調査としてもモバイルOS、オンラインモール・アプリストアなどを取り上げており、いろいろと重点的に取り組んでいるところでございます。
 泉水委員におかれましては、冒頭に御紹介しましたように、そういった独占禁止法の研究者の中でも、モバイルOSに関する競争評価を行っているデジタル市場競争会議のメンバーとして、専門的な知見を生かして、いろいろと御発言されていたと承知しております。また、公正取引委員会の法執行とアドボカシーは、表裏一体の関係にありますから、泉水委員自身がお持ちの御知見、あるいはデジタル市場競争会議で得られた御知見、御経験を公正取引委員会の活動の中に、フィードバックしていただけるのではないかと期待をしています。
(問) 泉水先生が、公正取引委員会の委員になられましたが、デジタル市場競争会議のメンバーであることは変わらないんですか。
(事務総長) デジタル市場競争会議のメンバーとしての欠格条項があるわけではないと思いますが、公正取引委員会の委員に就任されて、デジタル市場競争会議の方は退任されています。
(問) それは利益の相反とか、そういうものがあるんでしょうか。
(事務総長) 両者が兼務できないかどうかを厳密に検討したわけではありませんが、公正取引委員会の委員は常勤でございますので、公正取引委員会の活動に専念していただくという観点から、専任でやっていただいているものです。
(問) それは、これまでも公正取引委員会の中では、委員の場合は専任であり、他との兼任を認めないという慣例があったからということですか。
(事務総長) 慣例というほどのことではないかもしれませんけれども、今回、委員就任に当たって、泉水委員ともお話をさせていただきまして、公正取引委員会の委員としての活動に専念するということで、デジタル市場競争会議やその他にもいろいろと学者時代に参加されていた活動等もあると思うんですけれども、そういったものは御退任いただくということとなったものです。
(問) デジタル市場競争会議の方の後任は、内閣官房の方で別途ということですか。
(事務総長) 御後任があるのかないのかを含めて、承知しておりません。
(問) 4月13日に、IPOに関するみずほ証券の行為に対して注意を行ったとして公表されましたが、注意喚起を呼びかけたところの意義と、アドボカシーとエンフォースメントの連携についても、会見の中では強調されていましたが、その辺りの重要性をどう考えていらっしゃるかの2点をお願いします。
(事務総長) 個別事案の公表時の会見で、担当の審査長が触れたと思いますけれども、IPOにつきましては、実態調査報告書の中で、こういったことは独占禁止法上問題があるのではないかと指摘したようなことが、現に行われていて、その違反を認定したものではありませんが、注意という形で処理をし、かつ、その相手方であるみずほ証券の同意を得て、公表したということです。これを一つの教訓として、このIPO分野における公開価格の設定に向けた取組が、より一層、適正なものになるということを期待したいと思います。
 アドボカシーとエンフォースメントの連携につきましては、アドボカシーで得た知識を使って、法執行を行うとか、あるいは、法執行でいろいろと問題があるのではないかという分野について実態調査を行うなど、どちらも公正取引委員会として活動しているものでありますので、連携をとっていくことで、より一層、各分野において、公正かつ自由な競争の促進につながるのではないかと考えています。
(問) IPOの件で注意を公表した意図について、改めてお願いします。
(事務総長) 本件は、独占禁止法違反を認定したものではなく、違反につながるおそれがあるため注意を行ったというものであり、それ自身は独占禁止法上すぐに問擬されるものではありません。ただ、公開価格設定プロセスにおいて、主幹事証券会社と新規公開会社との間の交渉力や、取引上の立場、取引上の優越性のような関係を背景として、一方的に公開価格が低くなるようなことが行われると、その結果、新規公開会社が上場によって得られる資金が少なくなってしまい、スタートアップの資金調達などがシュリンクしてしまいます。そのため、公開価格設定プロセスにおける取引の公正性が大事だということは、実態調査の報告書でも表明してきたところでございます。今回、違反につながるおそれのある行為が事件審査の中で見つかり、実態報告書でも考え方を示しておりますが、一つの実例といいますか、こういうことがあると問題になるかもしれないということを示したことによって、今後のIPOに向けた公開価格設定プロセスにおいて、公正な価格設定に向けた取組が進むのではないかと期待して、公表して注意喚起をしたというものでございます。

以上

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