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令和5年6月7日付 事務総長定例会見記録

令和5年6月7日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の調査票の発送開始及び積極的な情報提供のお願いについて(令和5年5月30日公表資料)pdfダウンロード(74 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。令和5年度における重点立入業種の選定について(令和5年5月30日公表資料)pdfダウンロード(170 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。令和4年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について(令和5年6月1日公表資料)pdfダウンロード(136 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年6月7日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の調査票の発送開始及び積極的な情報提供のお願いについて

 本日は、3点お話しいたします。
 最初は、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の調査票の発送開始、そして積極的な情報提供のお願いについてでございます。
 公正取引委員会は、昨年12月に公表した緊急調査の結果等を踏まえ、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関して、コスト上昇分の価格転嫁が行われているか、特に労務費の上昇に係る価格転嫁の取組状況や、注意喚起文書送付後の取組状況等を把握するための更なる調査として「特別調査」を本年5月30日に開始しました。
 この特別調査では、令和4年6月1日から令和5年5月31日までの1年間を調査対象期間としまして、昨年の緊急調査において注意喚起文書を送付した事業者4,030名を含めた11万名を超える事業者に対し、5月30日付けで調査票を発送しました。
 また、労務費の転嫁に関する対応の強化の一環として、コスト構造において労務費の占める割合が高い業種、例えば道路貨物運送業、情報サービス業、といった業種に対しまして、重点的に調査票を発送しております。
 あわせて、昨年の緊急調査において多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置き等が認められたため事業者名を公表した13名についても個別調査を実施いたします。
 今回の特別調査は、調査票が届いていない事業者であっても、公正取引委員会のウェブサイト上の特設ページから回答することができますので、特に労務費の上昇分の転嫁に関する情報など、是非、事業者の皆様から幅広く御回答をお寄せいただきたいと考えております。
 今後は、書面調査等の結果を踏まえまして、追加で書面調査を実施するとともに、協議を経ない取引価格の据置き等が疑われる事案については、立入調査を実施いたします。そして、問題につながるおそれのある行為が認められた事案については、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付するなど必要な対応を採るとともに、令和5年内を目途に調査結果を取りまとめる予定としております。

令和5年度における重点立入業種の選定について

 次に、2点目でございますけれども、「令和5年度における重点立入業種の選定」についてです。
 公正取引委員会は、適正な価格転嫁の実現に向けて、独占禁止法の執行強化、下請法の執行強化等、独占禁止法及び下請法の考え方の周知徹底の三つを柱とする「令和5年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を3月1日に公表し、取引の公正化の更なる推進を図っていくこととしています。
 この三つの柱のうち、「下請法の執行強化等」に関する部分ですけれども、令和4年度における下請法上の「買いたたき」の処理状況等を踏まえまして、令和5年度における重点立入業種としまして5業種、具体的には情報サービス業、道路貨物運送業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業及び輸送用機械器具製造業の5業種を選定しました。これは令和4年度の4業種に1業種追加するものとなります。
 今後、これらの5業種について重点的な立入調査を実施することとし、立入調査を通じて、親事業者と下請事業者との間で協議を経ない取引価格の据置き等が認められた事案については、下請法上の勧告あるいは指導を迅速かつ積極的に実施してまいります。
 公正取引委員会は、引き続き、令和5年アクションプランに記載した具体的な取組事項について、着実に実施してまいります。

令和4年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について

 最後、3点目でございますけれども、荷主と物流事業者との取引に関する調査結果についてお話しいたします。
 公正取引委員会では、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行ってきておりまして、令和4年9月に開始した調査の結果を6月1日に取りまとめて公表いたしました。
 本件調査で公正取引委員会は、荷主3万名、物流事業者4万名を対象とした書面調査を実施し、さらに、100名を超える荷主に対して立入調査も実施しました。これらの調査結果を踏まえまして、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主777名に対し、注意喚起文書を送付いたしました。
 また、通関手続において荷主が物流事業者に関税や消費税の立替払をさせた事例を昨年度に公表しましたが、今年度も同様の事例を把握したため、問題につながるおそれのある事例として掲載しました。
 その一方で、昨年度の立替払をさせた事例などの公表資料を把握した荷主が、自ら立替払をさせるのを取りやめた事例ですとか、昨年度の公表資料を把握した物流事業者が、荷主に立替払の見直しの申入れをして取りやめてもらった事例が認められましたので、このような改善の取組が一層加速することを期待しまして、ベスト・プラクティスとして紹介をさせていただきました。荷主と物流事業者の双方が、この公表資料を活用して、取引慣行の改善に取り組んでくださることを期待しています。
 さらに、主に審査部門が担当している「令和4年度における独占禁止法違反事件の処理状況について」も6月1日に公表させていただいておりますが、「優越的地位濫用事件タスクフォース」が取り組んだ物流取引に関する事案について、この公表資料の中でも紹介しております。
 公正取引委員会としては、今回の調査結果について、関係省庁・関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に関する取組を進めるとともに、荷主と物流事業者との取引の状況を把握するため、今後も引き続き、荷主と物流事業者との取引に関する調査を実施してまいります。さらに、優越的地位の濫用に当たり得る具体的な事案に接した場合には、引き続き、積極的かつ厳正に対処してまいります。
 以上、3点でございます。

質疑応答

(問) テーマとは違って恐縮ですが、先日総務省で携帯電話の端末割引の上限について見直し案が示されましたけれども、こちらについて改めて公正取引委員会の見解をお聞かせいただけたらと思います。
(事務総長) 5月30日に総務省が開催しました「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」についての御質問と思いますけれども、こちらの場におきまして、総務省から示された検討の方向性として、値引きの上限額を全体で2万円から4万円に見直すことなどについて、ワーキンググループの構成員から様々な意見があったことは承知しています。これについては、総務省において、今夏の取りまとめに向けて、引き続き、いろいろな議論が行われていくものと理解しております。
 一方、公正取引委員会では、令和5年2月に公表しました「携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査」において、端末の販売価格に関する独占禁止法の不当廉売の要件としまして、通信と端末がセットで販売されている場合であっても、通信料収入と別個に携帯電話端末のコスト割れを判断する旨の考え方を示したところでございます。そのため、通信料収入を除いた実質的な端末価格が、法律用語でいうところの「供給に要する費用を著しく下回る対価」となっていて、かつ「他の事業者の事業活動を困難にするおそれがある」場合には、その割引額が、電気通信事業法上の値引き上限額の割引だったとしても、端末そのもので見たときに「供給に要する費用を著しく下回る対価」、例えば原価割れ販売などがあった場合には独占禁止法上問題となるということは、先般の緊急実態調査において考え方を示したところでございます。
 今後、独占禁止法、電気通信事業法それぞれの規律を通じて、通信サービス市場と端末販売市場それぞれにおける公正な競争環境が一層確保されるよう、今のところは総務省における見直しの検討が進むことを期待しております。
(問) 先日、政府の方で新しい資本主義の実行計画改訂版案が示されたと思うんですけれども、こちらの中でフリーランスの取引適正化のために、公正取引委員会とともに、発注者側の団体に取引適正化を働きかけるための枠組みを創設するというようなことが書かれていたんですけれども、今分かる範囲で、どのような枠組みをどのような団体宛に創設するのかを教えてください。
(事務総長) 新しい資本主義実現会議において現在検討中の案の中に、そのような記載がございますけれども、現時点でこういう団体、こういう枠組みというものが決まっているわけではありません。法律が今国会で可決、成立したところでございますので、これから施行のための準備、あるいは執行体制などを整えていく必要がありますけども、これとともに、御質問のような枠組みを今後具体化していきたいと思いますが、現時点で決まったものがあるわけではございません。
(問) 今の段階で大まかにどのようなものを思い描いているかといった点や、例えば今年度内なのかといったスケジュール感を教えてください。
(事務総長) 現時点において、具体的に、いつまでに、あるいはどのようなものなのかというのはまだ決まっておりません。今後決まったものがありましたら、お知らせできるものはお知らせしてまいりたいと思います。
(問) 先月末に、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合に合意しました。トラック業界の構造としては、今、いすゞ自動車を含めて3社あると思いますけれども、この経営統合が実現したら、それが2社になって、かなり高シェアになるのではないかと言われています。企業結合審査にも関わってくることになると思いますが、公正取引委員会で独占禁止法上議論すべき点など、何か受け止めがあれば教えてください。
(事務総長) 御質問については、当事会社の方から、4社の連名により、グループの統合を行うという公表があったことは承知しております。場合によっては、企業結合審査のための届出の対象となる可能性もあり得ると思いますが、いずれにせよ、何かアプリオリに、あるいは予断を持って、こういう点が問題ということではなく、企業結合審査において、しっかりと将来の競争を実質的に制限するものにならないかどうかを審査していくということかと思います。

以上

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