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令和5年6月21日付 事務総長定例会見記録

令和5年6月21日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。令和4年度公正取引委員会年次報告について(令和5年6月16日公表資料)pdfダウンロード(1,803 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。令和5年度「下請取引適正化推進月間」キャンペーン標語の一般公募について(令和5年6月7日公表資料)pdfダウンロード(173 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年6月21日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

令和4年度公正取引委員会年次報告について

 本日は、2点お話しいたします。
 最初に、「令和4年度公正取引委員会年次報告」についてお話しします。
 公正取引委員会は、去る6月16日に、令和4年度の公正取引委員会年次報告書を国会に提出いたしました。この年次報告書は、毎年、公正取引委員会が、独占禁止法の規定に基づき、前年度の独占禁止法の運用など、その活動状況について、国会に対して報告するものです。
 令和4年度は、「デジタル化等社会経済の変化に対応した競争政策の積極的な推進に向けて―アドボカシーとエンフォースメントの連携・強化―」と題するステートメントを公表し、所管法令の厳正かつ的確な執行、すなわち「エンフォースメント」と、取引慣行の改善や規制・制度の見直しを提言する唱導、すなわち「アドボカシー」、この二つを車の両輪として一層精力的に取り組み、デジタル化の進展など、社会経済の変化への対応を強化することを表明いたしました。年次報告書を御覧になると、公正取引委員会が、先ほど申し上げたステートメントも踏まえながら、様々な分野で、公正かつ自由な競争の促進に向けた施策に取り組んできたことがお分かりいただけるかと思います。例えば、「エンフォースメント」の観点からは、東京オリンピック・パラリンピックに関する入札談合や、電気の小売供給に関するカルテルなどの事案に厳正かつ積極的に対処しました。また「アドボカシー」の観点からは、グリーンガイドラインの策定や、クラウドサービス、モバイルOS、携帯電話端末といった様々な分野の実態調査などを通じて、独占禁止法や競争政策上の考え方を示すなど、独占禁止法違反行為の未然防止や、関係事業者による取引慣行の自主的な改善に向けた施策に取り組んでまいりました。加えて、「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」に基づき、多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置き等が認められた事業者についてその事業者名を公表したり、関係事業者団体に対し円滑な価格転嫁の実現に向けた要請文書を送付したりといった取組も実施いたしました。
 公正取引委員会としましては、引き続き、社会経済の環境変化も踏まえつつ、公正かつ自由な競争の一層の促進に向けて、様々な課題に取り組んでまいります。

令和5年度「下請取引適正化推進月間」キャンペーン標語の一般公募について

 2点目でございますけれども、「下請取引適正化推進月間」のキャンペーン標語の一般公募についてでございます。
 公正取引委員会では、違反行為の未然防止のため、中小事業者等への不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動の拡充・強化に努めております。その普及啓発活動の一環として、公正取引委員会は、中小企業庁と共同し、毎年11月を「下請取引適正化推進月間」とし、下請法に関する普及啓発活動を集中的に実施しております。毎年、「下請取引適正化推進月間」における取組を効果的にPRすることを目的として、テーマを決めて、キャンペーン標語の一般公募を行っておりまして、本年度は、「発注者からの積極的な価格協議」をテーマにいたしました。
 既に募集を開始しており、公募期間は、6月7日から7月7日までとなりますので、皆様の御応募をお待ちしております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 今日のテーマとは関係がないんですけれども、損害保険会社大手4社による価格調整疑いの報道があり、昨日、東京海上日動火災保険が、独占禁止法に関する不適切事案があったことと、その4社の価格調整を主導したのは東京海上日動火災保険であるという公表をしました。こうした違反の疑いのある行為が行われていたことについての受止めと、今後公正取引委員会としての調査がどう進むのかについて、教えてください。
(事務総長) 報道内容や、東京海上日動火災保険自身がホームページにおきまして公表されている内容については、承知しております。これについての受止めという御質問ですが、いつ誰がどうしてどういうことなのかといった事実関係がはっきりしていませんので、現時点では確定的なことを申し上げることは控えたいと思います。また、今後の公正取引委員会の対応についての御質問もいただきましたが、個別案件のことでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
(問) 金融庁が公正取引委員会とも連携して処分を検討するという報道もありましたが、金融庁とのやり取りはあるのかといった現状について教えてください。
(事務総長) 今おっしゃられた報道についての詳細を存じ上げないんですけれども、金融庁との関係につきましては、情報交換を行っているかどうかも含めまして、個別案件のことでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
(問) 損害保険業界につきまして、今、大手4社が大きなシェアを持っていて、競争が起こりにくいという指摘は以前からあったかと思いますが、こうした損害保険業界の状況や競争の健全性についてはどのようにお考えでしょうか。
(事務総長) 損害保険会社につきましては、昔に比べますと統合が進んでいると承知しておりますけれども、大手4社のシェアが高いといった損害保険業界に特有の事情を普段から意識しているわけではございませんし、また、この業界が、特に問題が起こりやすいと考えているわけではございません。
 過去に保険会社に対して措置を採った事例としては、平成8年度に日本機械保険連盟に対する件がございます。損害保険会社が構成員となっている事業者団体である、この日本機械保険連盟に対して、独占禁止法違反行為、具体的には、機械保険等の引受けに関する保険料率について、いわゆるカルテルが行われたということで、当時の制度では勧告というものがございまして、勧告を経て勧告審決が出ております。こちらは平成8年度の事例で、かなり時間が経っており、近年においては、こういった事例は無かったと思います。
(問) 今の質問に関連して、東京海上日動火災保険の発表の中で、公正取引委員会への報告を実施すると書いてありましたが、そのような報告があったかどうかを教えてください。また、東京海上日動火災保険の発表では、実際にはクライアントにより再度入札が行われたので、調整された価格での引受けは無かったということでした。調整された価格での引受けも無く、その疑われる行為がもう終わっているということであれば、一般論として公正取引委員会のエンフォースメントとしてはどのようなことが考えられるか、教えていただけたらお願いします。
(事務総長) 1点目の御質問につきましては、そういった報告があったかどうかについて、お答えすることを差し控えさせていただきます。2点目の、調整は行ったが、その価格での引受けが無かったという点をどう見るかという御質問でございますが、具体的な事実関係を見てみないと判断ができませんので、これも軽々には申し上げられません。その上で一般論として申し上げれば、発注者が、複数の企業を対象に入札や見積り合わせといった競争的な方法を使って取引先や取引価格を決めようとする場合に、その競争に参加する者同士で取引先や取引価格を決める行為が行われれば、発注者が一民間企業だとしても原則として独占禁止法違反になります。
 ただ、今御指摘いただき、当事会社も公表しておりますけれども、その価格での実際の契約が無かったということですが、それをどう見るかは具体的な事実関係を踏まえて考えなければいけないと思います。もし、これが独占禁止法違反だとしても、例えばその後に再入札を行って、本当に競争的な形で取引価格あるいは取引相手が決まって契約したということであれば、違反行為に係る売上げが無いので、課徴金が課せられないということは想定できるかもしれませんが、取引に至らなかった価格調整行為の評価につきましては、なかなか難しく、一般論であっても違法であるとか合法であるといったことを申し上げにくいのが現状でございます。
(問) 今の質問に関連して、一般論としてカルテルを結んで、それによって不当な利益というか売上げを得たのでなければ、課徴金の対象にはならないという理解でよろしいでしょうか。東京海上日動火災保険は、調整行為による不当な保険料での引受けには至っていませんが、公正取引委員会への報告を実施して参りますと言っていて、課徴金の対象にならないはずだけれども、一応報告はしますというスタンスなので、結局はカルテルによって不当な利益を得ていないのだからいいでしょうという感じがあり、不健全な気がします。
(事務総長) 課徴金制度について御説明しますと、独占禁止法が禁止するカルテルや入札談合といった不当な取引制限につきましては、その違反行為の対象となった「当該商品又は役務」の売上げに一定の率を掛けて算定したものが課徴金になるという制度です。したがいまして、違反行為の対象となった商品又は役務に関して、売上げが無ければ課徴金が課せられないというのが独占禁止法の規定に基づく解釈となります。ただ、課徴金制度は、あくまでも違反行為を抑止するための行政上の措置とされており、これとは別に違反行為を排除する、あるいは違反行為がなくなっていることを確保するために行う排除措置命令があります。排除措置命令の対象になるかどうかは、その違反行為を認定できるかどうか、あるいは排除措置と言っているんですけれども、そういう措置を命じる必要があるかどうかという2点から判断されるものです。御質問の件につきましては、現時点では違反行為の認定をできるかどうかがはっきりしないため、確定的にはもちろん、一般論としても申し上げられませんが、その違反行為に係る売上げが無ければ、課徴金は課せられないという制度の話と絡めて御説明したということでございます。
(問) 先ほど、金融庁と情報交換しているかどうかを含めてお答えを差し控えるということでしたが、一般的にカルテルや談合の端緒をつかんだら、公正取引委員会に速やかに報告しなければいけないということになっているのでしょうか。
(事務総長) 公正取引委員会に対する報告義務が何らかの形で定められているということはありません。その関係では、例えば、地方公共団体において入札談合があったとか、そういう可能性がある場合にはなるべく公正取引委員会に報告してくださいということは、入札談合防止の研修などでお願いしております。

以上

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