[配布資料]
無し
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和5年1月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
開発途上国を対象とした集団技術研修について
本日は、「開発途上国を対象とした集団技術研修」について、お話しいたします。
近年、国際的なカルテルや企業結合、デジタルプラットフォーム事業者による反競争的な行為への対応など、競争法執行に係る国際協力及び法適用に関する国際的な収れんを更に促進する必要性が一層高まっております。そして、これらに伴いまして、開発途上国の競争当局等から、日本の競争法制やその運用、競争環境整備のためのアドボカシー活動等について学びたいといった要望が数多く寄せられております。
こうした期待に応えるため、公正取引委員会は、以前から競争法・競争政策の技術支援に力を入れておりまして、その取組の一つとして、国際協力機構(JICA)の協力の下、開発途上国を対象に、競争法・競争政策に関する集団技術研修を行っております。
この集団技術研修は、開発途上国の競争当局等の職員を対象に、日本の独占禁止法とその運用に関する知識を習得する機会を広く提供し、開発途上国における競争法の導入や運用の強化に資することを目的としているものでございます。
集団技術研修は、コロナ禍以降昨年度までは、実施を見合わせるか、あるいはオンライン方式で実施してまいりましたけれども、今年度からは、開発途上国の競争当局の職員等が実際に日本を訪れて研修を受講する、いわゆる対面方式で実施しております。昨年の11月にはベトナム競争当局の職員等を、また、11月から12月にかけては7か国の開発途上国の競争当局の職員等を、それぞれ日本に招へいして研修を実施しました。そして、本日から1月24日(火)にかけまして、モンゴル競争当局の職員等向けの訪日研修を実施することとしております。
公正取引委員会といたしましては、開発途上国における競争政策が持続的かつ自立的に発展していくことができるよう、今後も継続して技術支援を実施していきたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 先ほど発言があったモンゴルに対しての研修なんですけれども、日本の公正取引委員会として、アジアのいろいろな国への研修を長年行ってきたと理解しているんですけれども、特に日本だからこそ、こういうことが教えられるというような点がありましたら、どうぞ教えてください。
(事務総長) アジア向けということに限らないかもしれませんけれども、開発途上国の経済成長に伴いまして、日本企業の海外進出が進展しているところでございます。進出先の国におきまして、その反競争的な行為によって、市場メカニズムが十分に機能しない場合、日本から進出した企業の新規参入や事業拡大を妨げられるおそれもございます。また、国際的に事業展開を行う企業にとって、進出先の開発途上国の競争法制や、法執行が他国と大きく異なるということになりますと、そこでの事業活動等で大きな不利益を被るリスクもあろうかと思います。
このようなことから、開発途上国における競争法導入強化、執行能力の向上といった技術支援を行うことは意味のある施策であると考えておりまして、特にアジアにおいては、日本が比較的、競争法の導入も早かったですし、執行経験もアジアの中では豊富にあるということを踏まえまして、アジアにおいて、特にこういったことに力を入れているということでございます。
(問) 名古屋市の給食の入札をめぐって、魚国総本社など七つの給食業者が談合していた疑いで公正取引委員会の立入検査を受けたようですが、今回の談合事案の悪質性と今後の処分など検討状況をお願いします。
(事務総長) 既に報道されておりますように、昨日1月17日(火)に、名古屋市が発注する公立中学校向け給食業務の入札について談合が行われた疑いがあるということで立入検査を行ったことについては、特にその報道を否定するものではございません。
ただ、現在調査中の案件でありますので、個別の内容については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。一般論として申し上げれば、これまでも公正取引委員会は、高校の制服のカルテルでありますとか、学校で使うためのコンピュータ機器の入札談合といった学校分野における公正かつ自由な競争が行われるということについては、国民生活に影響が大きいということも踏まえまして、これまでも積極的に取り組んできておりまして、今回給食業務についても、もし独占禁止法違反が認定できたとするならば、学校教育の現場に近いところで行われているという意味で、大変問題があることではないかと考えております。
以上