[配布資料]
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和5年1月25日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
競争政策研究センター第21回国際シンポジウムについて
本日は、競争政策研究センターが2月17日(金)に開催いたします第21回国際シンポジウムについて御紹介いたします。
競争政策研究センターでは、競争政策に関する交流拠点としての機能を果たすために、その時々の競争政策における重要な課題や関心を集めているトピックをテーマとして、有識者を招き、定期的にシンポジウムを開催しているところでございます。
今回のシンポジウムのテーマは「メタバースと独占禁止法・競争政策」でございます。メタバースにつきましては、統一的な定義は定まっていないものの、概ねこれから申し上げる四つの特徴を有するサービスであると考えられます。特徴の一つ目は、仮想空間内におけるサービスであること、二つ目に、ユーザーが自らのアバターを用いること、三つ目に、様々なコンテンツ等を制作・消費できること、四つ目に、現実世界と同様に他のユーザーと交流できることでございます。このようなメタバースにつきまして、最近様々な場面で見聞きする機会が増えておりまして、今後その発展が予想されます。一方で、デジタル市場における革新的なサービスであるために、様々な法律上の論点に関する検討が必要とされておりまして、関係省庁における議論も進められております。
競争法及び競争政策の側面におきましても、最近は、メタバースに関連する分野における海外競争当局の執行活動が見られるようになってきました。メタバースが私たちの生活に大きな影響を与える可能性に鑑みまして、日本においても「メタバースと独占禁止法・競争政策」について議論を行うことは重要であると考えまして、今回のテーマとして選定しております。
本シンポジウムでは、メタバースの実態等を踏まえ、メタバースと独占禁止法・競争政策がどのように関係してくるのかを探り、競争上の問題が生じる可能性について広く理解していただくことを目的として、米国からもスピーカーをお招きし、有識者による講演やパネルディスカッションを行います。独占禁止法や競争政策の知見の有無にかかわらず、メタバースに関心をお持ちの方やメタバースに関するビジネスに携わっている方に、有益な内容をお届けできればと考えております。
本シンポジウムは、会場のイイノホールとオンラインを併用して開催いたします。競争政策研究センターのウェブサイトにおきまして、2月10日(金)17時00分まで参加申込みを受け付けておりますので、奮って御参加いただきたいと思っております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) このシンポジウムに参加することになっている、ルナトーンのヒョン・バロ先生と、ニューヨーク大学のダニエル・フランシス先生は、どのような方なのか教えてください。
(事務方) 事務方からお答えいたします。まず、ルナトーンのヒョン・バロ先生は、経済産業省から委託を受けて、2021年7月に「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめたチームの一員でございました。こちらの報告書は、仮想空間、メタバース等について調査したものであるところ、このような経験からヒョン先生はメタバースに非常にお詳しい方ということで、今回お越しいただくことにいたしました。
ダニエル・フランシス先生に関しましては、現在、ニューヨーク大学法学部のアシスタントプロフェッサーでございますが、その前は、米国連邦取引委員会の反トラスト部門において、シニアカウンセルやデジタル市場担当を御担当され、最終的には、副局長まで務めた経験をお持ちの方です。メタバースがデジタル・プラットフォームの一形態といえる可能性があるということで、今回お呼びしてございます。
(問) 今回のシンポジウムに関連して、一般的なところで構わないんですけれども、メタバースですとか仮想空間上でどういった行為や内容が競争政策上、問題があるのではないかと言われているのかということをお願いします。あと、海外競争当局における執行活動も見られつつあるということなのですが、例えば、Metaをめぐっての事例などがあれば御教授ください。
(事務総長) 2点目に御質問がございました海外競争当局における執行活動については、今、お話がございましたように、米国連邦取引委員会が、昨年7月、Metaによるバーチャルリアリティー専用のフィットネスアプリ開発会社の買収について、その買収を差し止める訴訟を提起したということが一つ挙げられるかと思います。
最初に御質問がありましたメタバースに関する競争政策上、あるいは独占禁止法上の問題点ということですけれども、まだ具体的に問題が現実化しているものではないのかなと思っています。そういった意味では、今回のシンポジウムは、メタバース市場に関する理解を深めていくことを目的として行うものでございます。
他方でメタバースは、現状を見ると、デジタル・プラットフォームとしての性質を有している可能性もあるかなと思いますし、また、オンラインモールのような機能を有している可能性がございます。そうしますと、デジタル・プラットフォームに関する、あるいはオンラインモールに関する様々な競争政策上の課題や独占禁止法上の問題というものが同様に当てはまってくる可能性がございます。したがいまして、今後、メタバース市場における事業活動がどうなっていくかを見極めながら、そこで類似の問題が起きないかどうか、関心を持って見ているというところでございます。
以上