ホーム >報道発表・広報活動 >事務総長定例会見 >令和5年 >7月から9月 >

令和5年7月12日付 事務総長定例会見記録

令和5年7月12日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。G7エンフォーサーズ及びポリシーメイカーズサミットの開催について(令和5年7月12日公表資料)pdfダウンロード(89 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。令和4年度の「独占禁止法に関する相談事例集」について(令和5年6月30日公表資料)pdfダウンロード(379 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年7月12日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

G7エンフォーサーズ及びポリシーメイカーズサミットの開催について

 本日、私からは二点、お話しさせていただきます。
 まず一点目ですけれども、東京で開催いたします、G7エンフォーサーズ及びポリシーメイカーズサミットについて御紹介いたします。
 公正取引委員会は、2023年11月8日(水)、東京におきまして、デジタル分野について競争的な市場と効果的な競争法執行を促進するための国際的な努力が円滑になされるようにするため、内閣官房デジタル市場競争本部事務局と連携いたしまして、競争当局と政策立案者による「G7エンフォーサーズ及びポリシーメイカーズサミット」を開催いたします。
 また、本会合の翌日、本年11月9日に、公正取引委員会競争政策研究センターは、本会合のサイドイベントといたしましてシンポジウム「変化する社会経済におけるG7競争当局の役割」を開催いたします。
 公正取引委員会といたしましては、これらの会合の成功に向け、引き続きG7関係国等と連携し、準備に取り組んでまいります。

令和4年度の「独占禁止法に関する相談事例集」について

 続いて、二点目ですけれども、去る6月30日に公表いたしました、令和4年度の「独占禁止法に関する相談事例集」についてお話しいたします。
 公正取引委員会は、事業者や事業者団体が新たな取組を実施しようとする際、当該行為が独占禁止法上問題になるかどうかにつきまして、事前の相談に応じております。そして、これら事業者・事業者団体から寄せられた相談の中から相談者以外にも参考になると考えられる主要な事例を選んで、相談事例集として取りまとめ、毎年公表しており、本年は6月30日に公表しております。この令和4年度の相談事例集には9件の事例を収録しています。
 具体的な収録事例について紹介いたしますと、例えば、一つ目は、事業者の活動に関する相談として、スーパーマーケット業を営む4社が、物流の2024年問題の解消に向けて、卸売業者に対する商品の発注におきまして、納品期限に係る商慣習を見直すこと等を共同で宣言する取組について、独占禁止法上問題ないとしたものです。
 二つ目としましては、事業者団体の活動に関する相談として、協同組合が、インボイス制度に関連しまして、組合員が仕入先である免税取引先に対して消費税相当額を負担しないことを決定する行為につきまして、独占禁止法上問題となるおそれがあるとしたものです。
 それから、三つ目としまして、同じく事業者団体の活動に関する相談として、事業者団体による会員事業者の従業員等の労働環境改善に向けた行動指針の作成につきまして、独占禁止法上問題ないとしたものです。
 公正取引委員会のウェブサイト上では、令和4年度分を含めまして、過去に公表した相談事例集に収録されている300件以上の事例を閲覧できるようになっておりまして、各事例をキーワードや行為類型等で検索することも可能です。各事例につきまして、独占禁止法上の考え方を記載しておりますので、事業者や事業者団体の皆様が相談事例集を参考にしていただくことにより、独占禁止法に関する理解が一層深まり、独占禁止法違反行為の未然防止が図られることを期待しております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 冒頭に御発言があったG7サミットの関係で何点かお尋ねします。まずこの競争当局によるG7サミットはどのくらいの頻度で開かれているのでしょうか。それから、今回、日本が議長国ということですが、日本が議長国となるのは何年ぶりのことなのでしょうか。また、各国からは、どのレベルの方が参加されるのかということと、日本の公正取引委員会と内閣官房からは、どなたが参加されるのか教えてください。
(事務総長) まず、開催の頻度についての御質問ですけれども、現在年に1回開催ということになっております。第1回会合が2021年にイギリスで開催されておりまして、第2回会合が2022年にドイツで開催されております。今回第3回目になり、日本で開催されるのは初めてのことになります。各国の参加者についての御質問でございますが、現在関係当局と調整中でございますけれども、競争当局に関しましては、基本的に各競争当局のトップの方々に招待状を出しております。例えば、昨年のドイツのベルリンで開催されました前回の会議におきましては、G7の競争当局のトップの方々が出席しておりまして、公正取引委員会からは古谷委員長と当時経済取引局長であった私が出席しております。
 恐らく今年も、公正取引委員会からは古谷委員長の参加ということになると思います。それから、日本のポリシーメイカーの関係ですけれども、こちらにつきましては、内閣官房のデジタル市場競争本部の事務局の方から、しかるべき方が出席されるということになります。
(問) 今回、デジタル分野が議論の対象となっておりますが、デジタル分野の中でも具体的にどういうテーマについて議論される見通しになっているのかをお尋ねします。それから、今回、デジタル市場競争本部も参加されますが、デジタル市場分野の規制は、欧州のデジタル市場法が5月に施行されるなど、欧州の方が日本に比べて先行している部分があり、一方で日本も新法の検討をされている状況ですが、日本として各国の取組を学びたいなど、どういう形で臨んでいきたいのかという部分もあわせて教えていただきたいと思います。
(事務総長) 例えば、過去2回の会合のうち、一昨年にイギリスで開催した際には、大規模なデジタルプラットフォーム、アプリストア、オンラインマーケットプレイス、デジタル広告、モバイルエコシステム、クラウドコンピューティング、アルゴリズムなどに関連する問題を含む、デジタル分野に関する様々な問題について議論を行っております。また、昨年ドイツで開催した際には、世界における法改正の状況や、競争法と他の法律・政策との交差点における法執行、それから、デジタル分野における法執行といった議題について議論が行われております。
 今回どういう議題にするかは、現在、G7の各当局の意見も踏まえながら設定していく予定になっておりまして、現在検討中です。また、EUのデジタル市場法との関係についての御質問ですが、昨年もデジタルマーケットアクトにつきまして議論の対象になっておりますので、執行の部分や法整備、制度整備といった部分について議論が行われると思います。
(問) G7サミットについて、今回、日本で開催されるということで意気込みをお伺いします。普段、日本の公正取引委員会のカウンターパートとなっている各国の規制当局との国際連携の意義を含めて、どのようなサミットにしていきたいか教えてください。
(事務総長) 本年は、我が国がG7の議長国を務めておりますので、G7エンフォーサーズ及びポリシーメイカーズサミットにおきましても、日本の公正取引委員会が内閣官房デジタル市場競争本部事務局とも連携をいたしまして開催するということでございます。過去2回の会合でも、デジタル分野について、執行の部分や新しい規制、それから法整備といったことについて議論がなされてきておりますので、この現状を踏まえて、本年度もそういったテーマが取り上げられるのかなと考えております。日本といたしましては、議長国でございますので、会合の開催に向けまして、会合の開催、成果物の作成などにおきまして、G7関係各国等を主導しながら、準備に取り組んでいきたいと考えています。
(問) 一点確認なのですが、4月にG7デジタル・技術大臣会合があり、そのときの成果物の一つとして、秋頃にデジタル競争サミットを開こうという合意があったと思いますが、それが11月にある今回の会合という認識で合っていますでしょうか。
(事務総長) 今回、サミットを開催することとなった経緯についてでございますけれども、今御指摘があったとおり、本サミットにつきましては、本年4月30日に開催されましたG7デジタル・技術大臣会合における閣僚宣言においても触れられており、「我々は、競争的な市場と効果的な競争法執行を促進するための国際的な努力が円滑になされるようにするため、競争当局と政策立案者によるデジタル競争に関するサミットを2023年の秋に開催することを予定している。」とされておりまして、こういったものも受けて開催されるものです。
(問) 今回のサミットでは、G7の競争当局のトップの方に招待状を書いておられるということですが、G7以外の国に招待状を送っているとか、参加の見込みが決まっているということがありましたら教えてください。
(事務総長) G7の7か国以外には、昨年度も参加しています主要なプレーヤーとしてEUがございます。また、これはまだ決まってないかもしれませんけれども、OECDの事務局の方からも参加が見込まれるかもしれません。
(問) サミットについて二点質問があります。まず一点目は、このサミットを開催する意義について、今、プラットフォームがかなり巨大になってきていて、1国だけでは対応できないといった、いろいろな背景があるのかなと思いますが、G7で話し合う意義について、もう一度お願いします。
(事務総長) デジタル市場につきましては、グローバルな市場になっており、また、非常に大きなプレーヤーは、多様な国で事業展開されていますので、それぞれの競争当局が直面する課題には共通したものがございます。こういった共通の課題につきまして、それぞれの経験に基づく取組や、あるいは体制整備の問題について、一緒に話をしていくことが非常に意義のあることだと考えております。また、そういうことにより、情報交換も含めまして国際協力につながっていくと考えております。
(問) もう一点ですが、議論された後、その成果物としてはどういうものを想定されているのか教えてください。
(事務総長) これまでのサミットの開催に当たりましては、G7等の競争当局が共同で、「デジタル市場における競争を促進するための各当局の取組の要約」という文書を作っておりまして、昨年のドイツでのサミットにおきまして、これが改定されています。このような形でデジタル市場における競争上の問題に対処するための各競争当局の活動を概観し、互いに知見を共有していくということになっております。
(問) インボイス制度に関しての質問ですが、インボイス制度の開始が近づいてきて、どのような行為が独占禁止法上、下請法上問題になるか、事業者の方々の関心が高まっているのかなと思います。改めて、どういったケースが違反となり得るかについての周知広報活動を、どういった形で更に行っていくのか教えてください。
 これに関連して、公正取引委員会は、インボイス制度に絡んで、約10社に対し注意を行ったという公表をされていますが、この後、この件数が増えているかどうか教えていただけますでしょうか。あわせて、インボイス制度をめぐって、違反のおそれがある行為に対する措置を、今後更に強化していくのかどうかを含めて、今後のエンフォースメントの方針についてお考えがあれば聞かせてください。
(事務総長) インボイス制度の導入に当たりましては、大変関心が高い話題かと考えておりますけれども、これまで、公正取引委員会といたしましては、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」を関係省庁との連名で公表しております。このQ&Aの中で、独占禁止法・下請法上問題となり得る行為についての考え方を明記しております。
 また、このQ&Aは、俗にインボイスQ&Aと呼んでおりますけれども、まず一つは、公正取引委員会のウェブサイトに「インボイス制度関連コーナー」を設置しており、こちらにインボイスQ&Aやインボイス制度に関する相談窓口の一覧表などを掲載しております。また、本日の相談事例集の事例も含めまして、インボイス制度の実施に関連した相談事例を集約して、そこに掲載しております。
 それから、関係機関との連携も行っておりまして、商工会議所や中小企業団体中央会のウェブサイトなどに、このインボイスQ&Aの案内を掲載するなどしております。このほか、東京国税局と共同でインボイス制度に係る説明動画を作成し、公正取引委員会のYouTubeチャンネルに掲載しております。また、国税庁主催の説明会あるいは日本税理士会連合会主催の研修会などに、公正取引委員会の職員を派遣するという取組も行っており、引き続き、こういった取組に力を入れて周知を図っていきたいと考えております。
 また、独占禁止法違反につながるおそれがある注意事例を5月に公表しております。その時点から見まして、注意件数としては増加しているというのが現在の状況でございます。それから、先ほど申しました周知広報を行っていくとともに、引き続き、独占禁止法・下請法違反行為には厳正に対処してまいりたいと考えております。
(問) 注意件数として、現時点で何件ぐらいになっているかを教えていただけますか。
(事務総長) 年度途中でございますので、逐一その件数を出すのはどうかなと考えております。約10件に比べて、現在のところ注意件数としては増加しているということです。
(問) 増加の幅としては、例えば倍だったり、3倍だったりするのでしょうか。
(事務総長) 倍ほどは行っていないという状況です。
(問) 今回、この相談事例集の中で挙げられた2件は、この注意事例の約10件とは別で、問題ありとしたものは注意や警告をされているのでしょうか。
(事務総長) 相談事例集に掲載している相談事例は、ある行為をする前に、これが独占禁止法上問題になるかどうかを、事前に御相談いただいているものでございます。他方、注意の対象になっている事例というのは、過去の行為に対して注意を行ったものですから、全く別のものです。

以上

ページトップへ