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令和5年9月27日付 事務総長定例会見記録

令和5年9月27日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。公正取引委員会における令和5年度の政策評価結果の公表について(令和5年9月7日公表資料)pdfダウンロード(1,882 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。排除措置命令における再発防止策に関する効果検証報告書(概要)(令和5年6月28日公表資料)pdfダウンロード(357 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年9月27日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

公正取引委員会における令和5年度の政策評価結果及びEBPMの取組について

 本日は、令和5年度の政策評価結果と、公正取引委員会におけるEBPMの取組についてお話しいたします。
 公正取引委員会は、「企業結合の迅速かつ的確な審査」及び「独占禁止法違反行為への厳正な対処」の二つの施策について、「行政機関が行う政策評価に関する法律」に基づき政策評価を実施し、9月7日に評価書を公表いたしました。お手元にお配りしております「公正取引委員会における令和5年度の政策評価結果の公表について」の5ページに、「公正取引委員会の政策の体系(政策目標及び主要な施策等)」があります。今回は「1 独占禁止法違反行為に対する措置等」の網掛けをしている二つの施策について評価を行いました。評価の対象期間は令和元年度から令和4年度までの4年間となっております。
 このうち「企業結合の迅速かつ的確な審査」では、活動指標である「平均審査日数」を見ますと、令和2年度に増加しているものの、それ以降は横ばいであり、令和4年度には僅かながら減少、つまり平均的な審査期間が短縮しております。また、公正取引委員会のウェブサイトに掲載された「企業結合事例集へのアクセス件数」を成果指標としていますが、年度によってばらつきがあるものの、おおむね堅調に推移しております。
 次に「独占禁止法違反行為への厳正な対処」ですが、近年では国民生活に影響の大きい案件や、社会的ニーズに対応した多様な分野の案件で措置等を行っております。こうした措置の成果という観点から、各事件の市場規模等を根拠として「排除措置命令等によって保護された消費者利益額」を推計したところ、あくまで概算の推計ということにはなりますが、評価対象期間4年間の措置を通じて保護された消費者利益額の合計は約1兆円となりました。また、不当廉売行為に対しては、おおむね2か月程度の平均処理期間で事件を処理し、迅速な対処を行っております。こうした点を踏まえ、以上の二つの施策について、いずれも、公正かつ自由な競争を維持・促進する上で有効な取組であったと評価いたしました。この評価結果につきましては、各方面から広く意見を求めることにしておりまして、意見の提出期限は10月6日となっております。
 次に、公正取引委員会におけるEBPMの取組についてお話しいたます。EBPM、英語ではEvidence-Based Policy Makingと言われているものです。これは証拠に基づく政策立案を指し、政府全体でこれを推進していますが、公正取引委員会においても法執行やアドボカシーの各施策にてEBPMを実施しております。公正取引委員会のウェブサイトの中には、「EBPMに関する取組」というページがございまして、ここにこれまでの取組を四つほど掲載しております。直近では、お手元に配布しましたとおり、排除措置命令における再発防止策に関して効果検証を実施し、本年6月28日に報告書を公表しました。この報告書では、アンケート調査等による事後検証を通じて、例えば、中小企業においても、大企業が行っているような再発防止策が常に実行できないわけではないことなど、より効果的な再発防止策の検討につながる示唆を得ております。こうした効果検証によって政策の効果や課題を正確に把握し、改善につなげていくEBPMの取組を、今後も継続して取り組んで行きたいと考えております。
 公正取引委員会といたしましては、引き続き、政策評価やEBPMの取組を適切に実施し、それらの結果を踏まえた質の高い施策の実現を心掛けてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 先週公表されたニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書についてお伺いします。その後、ヤフーが配信契約の見直しを検討するといった趣旨の表明をされましたが、これに対する受止めについて教えてください。また、報道機関側からは、こうしたヤフーの動きが、他のIT企業にも広がってくれないかと期待する声もあるようですが、その辺りも含めてお願いいたします。
(事務総長) ヤフー株式会社は、9月25日に、公正取引委員会が公表いたしました本報告書における指摘を受けまして、今後、ニュースコンテンツの提供を受けているニュースメディア事業者の意見としっかり向き合いながら、必要なデータの充実と開示、あるいは実績に応じた契約内容の見直し等、ニュースメディア事業者との更なる健全な関係の構築に取り組む旨を表明したと承知しております。
 本報告書においても指摘をいたしましたように、ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者の間における取引等の公正性・透明性を高め、公正な競争環境の確保を図るためには、本調査を通じて把握しました実態を踏まえますと、両者の十分な相互理解の下で当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められることを期待しているところです。ヤフーの声明は、自主的な改善に向けて、ニュースメディア事業者との関係構築を含め、前向きな方針を示したものと受け止めております。
 公正取引委員会といたしましては、本報告書で明らかにしました考え方等を踏まえつつ、当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう、引き続き、関係事業者とコミュニケーションを取りながら関係事業者における取組の進捗を注視していきたいと思っております。
(問) 先ほどの質問の関連でお伺いしますが、デジタルプラットフォームの規制という観点で、今、内閣官房の方ではモバイルエコシステムの規制について話し合われているかと思います。このような新しい規制に対して、公正取引委員会はどのように関わっていかれるのかを改めて教えてください。
(事務総長) 現在、内閣官房の方で議論がなされていることと承知しております。今後どういった動きになっていくのかということでございますけれども、独占禁止法を補完するような法律でございますので、公正取引委員会も議論には積極的に参画をしていきたいと考えております。
(問) 米国の競争当局の動きについて伺います。FTCが26日に、17州と共同でアマゾン・ドット・コムを反トラスト法違反の疑いで提訴しました。報道によると、アマゾンがインターネット通販で優越的な地位を利用し、アマゾンに依存する事業者に高額な手数料を課したりしていることなどが問題視されていると言われていますが、公正取引委員会は、今回の提訴について、どのように受け止められているかお聞かせください。
(事務総長) 米国連邦取引委員会、いわゆるFTC及び17州は、アマゾンに出店している事業者が、他のオンライン小売サービスにおいて、アマゾン上よりも商品を安く販売した場合に、アマゾン上の検索結果において当該事業者の商品をユーザーに発見されにくい位置に表示するといった行為等に関して、反トラスト法に違反した疑いがあるということで提訴したと承知しております。
 この件自体につきましては、他国における個別の事案でございますので、コメントは差し控えたいと思います。
 一方で、公正取引委員会では、オンラインモール分野の実態調査報告書を2019年10月に公表しておりまして、その報告書では、デジタルプラットフォーム事業者による競合事業者を排除し得るような行為、あるいは取引先の事業活動を制限し得る行為等について、独占禁止法上の考え方を整理しております。
 また、当該実態調査における提言も踏まえて整備されました特定デジタルプラットフォーム取引透明化法におきましても、オンラインモールは規制対象分野とされておりまして、オンラインモール上の検索順位に係る情報開示義務が課されております。
 公正取引委員会といたしましては、米国を含む諸外国の動向も踏まえながら、引き続き、我が国のオンラインモール分野の状況を注視するとともに、特定デジタルプラットフォーム取引透明化法を運用する経済産業省とも連携しつつ、オンラインモールにおける競争上の問題に対処していきたいと考えております。

以上

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