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令和5年10月4日付 事務総長定例会見記録

令和5年10月4日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。インボイス制度の実施に関連した公正取引委員会の取組pdfダウンロード(576 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。下請取引適正化推進月間の実施について(令和5年10月4日公表資料)pdfダウンロード(416 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年10月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

インボイス制度の実施に関連した公正取引委員会の取組について

 本日は、二つのテーマについてお話しします。
 一つ目のテーマは、インボイス制度の実施に関連した公正取引委員会の取組について、二つ目は令和5年度下請取引適正化推進月間についてです。
 まず一つ目ですが、お手元の資料の1ページ目にございますように、公正取引委員会は、令和4年1月、関係省庁と共同で策定しました「インボイスQ&A」の中で、インボイス制度の実施に際し、独占禁止法又は下請法上問題となり得る行為についての考え方を明らかにしまして、関係省庁や関係団体とも連携して、その周知・広報に取り組んでまいりました。
 独占禁止法又は下請法上の考え方の周知・広報につきましては、1ページ目にございますように、公正取引委員会ウェブサイトに特設サイトを設置する、国税当局と連名で「インボイスQ&A」の解説動画を公開する、国税当局が行う説明会や税理士関係団体の講習会に当委員会の職員を講師として派遣する、中小企業関連団体のウェブサイトや広報誌に「インボイスQ&A」や公正取引委員会の相談窓口の案内を掲載する、といった取組を実施しております。特に今月1日には、インボイス制度の開始を機に、解説動画のリニューアルを行っておりまして、直近の注意事例に関する考え方を盛り込むなどの更新を行っております。
 また、3ページ目にございますように、発注事業者、免税事業者などから、独占禁止法や下請法の考え方に関する相談を受け付けておりまして、先月末時点で約3,000件の相談に対応してまいりました。
 さらに、5ページ目にございますように、公正取引委員会が実施する各種書面調査では、インボイス関連の設問を追加し、問題となり得る行為についての情報収集を進めております。
 また、6ページ目にございますように、独占禁止法上の優越的地位の濫用につながるおそれのある事案に対しては、先月末時点で36件の注意を行いました。また、6ページ目にございますように、独占禁止法上の優越的地位の濫用につながるおそれのある事案に対しては、先月末時点で36件の注意を行いました。
 最後に7ページ目でございますけれども、公正取引委員会としては、関係事業者における取引環境を整備する観点から、引き続き、「インボイスQ&A」の積極的な周知・広報などを通じて、違反行為の未然防止を図るとともに、独占禁止法や下請法に違反する行為には厳正に対処してまいります。

下請取引適正化推進月間の実施について

 続きまして、令和5年度下請取引適正化推進月間についてでございます。
 公正取引委員会では、従来、中小事業者に不当に不利益を与える行為に対しまして、独占禁止法・下請法を積極的に適用し、それらの法律に違反する行為に厳正に対処しております。また、そのような行為の未然防止のため、下請法や優越的地位の濫用規制に係る普及啓発活動を積極的に行っているところでございます。
 その普及啓発活動の一環としまして、本日は、お手元にお配りしております「下請取引適正化推進月間」について、お話しさせていただきます。
 公正取引委員会は、中小企業庁と共同して、昭和56年以降、毎年11月を「下請取引適正化推進月間」といたしまして、この期間内に、下請法の普及・啓発に係る取組を集中的に行っております。
 推進月間では、事業者の方々に下請法の内容を理解していただくため、下請法に関する考え方等を分かりやすく示した動画を公開しております。
 また、都道府県や商工会議所、商工会等の各種団体に対しまして、ポスターの掲示や機関紙等への掲載による推進月間の広報等の協力を依頼することとしております。
 そのほか推進月間を一層効果的にPRすることを目的といたしまして、本年度は、「発注者からの積極的な価格協議」をテーマにキャンペーン標語の一般公募を行いました。その結果、「『見直そう』その一言で 救われる」をキャンペーン標語として決定いたしました。
 適正な価格転嫁が実現するよう、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくことが重要となる中で、事業者の皆様におかれては、下請取引のルールを正しく理解していただき、下請取引の一層の適正化が図られることを期待しております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) インボイス制度に関して、注意事例が36件ということですが、7月末時点では18件であり、倍近くになっています。この数字をどう受け止められているか教えてください。また、今後しばらくこのような増加傾向が続いていくと見られているのかと、今後も注意事例の件数は定期的に公表をされるのか、どういった形で公表されるのかを教えてください。
(事務総長) まず、7月末の時点で18件であった注意件数が36件と倍増しているという点でございますけれども、インボイス制度の導入時期が近づいてきたということで、様々な問題意識を持って見る方が増えてきているのかと思います。それから、このインボイス制度の実施に関連して独占禁止法や下請法上の問題があり得るということが、我々の普及啓発の努力や、様々な報道でも触れられておりますので、皆様方にその意識がかなり伝わっているのかと考えております。そういった要因からの情報提供等もあり、そういった観点から件数が最近増えてきているのかと思っております。今後の動向は分かりませんけれども、いずれにしても注意深く見ていきたいと考えております。
 また、この件数でございますけれども、様々な閣僚会議などの節目におきまして数字をお示ししてきておりますので、今後もそのような方針でお示ししていきたいと考えております。
(問) インボイスの関連ですが、36件の注意事例のうち、今回追加された分については、どういった内容が多かったのかというところを教えてください。それから、注意は制度の理解が足りないことによる、いわゆる過失のようなものが多かったのか、それとも故意的に行っているようなものも見受けられたのかを教えてください。
(事務総長) 内容としては、経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対して、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合に、取引価格から消費税相当額を引き下げると文書で伝えるなど一方的に通知していたような事案になるかと思います。
 それから、それがどういう動機や経緯であったのかというところまではなかなか分かりかねますので、確たることは申し上げられません。
(問) 引き続きインボイス制度関連でお尋ねします。6ページには、注意した事業者の業種として、全部で16事業者が挙げられていますが、これは36件のうちの一部なのか、それとも16事業者で36件なのか、どちらでしょうか。
(事務総長) 一部でございます。
(問) この取引の相手方はいずれも免税事業者という理解でよろしいでしょうか。
(事務方) 御理解のとおりです。
(問) 相談件数が、先月末時点で約3,000件あるということですが、このうち免税事業者からの相談の割合がどのくらいなのか分かりますでしょうか。
(事務方) 相談の相手方から、免税事業者かどうかといったプロフィールを細かく聞いたりはしていないのではっきりとは言えませんが、立場が受注者か発注者かということで言うと、3ページのグラフにある件数のトータルで言えば、やはり受注者側からの相談の方が多いということが現時点では言えるかと思います。
(問) 割合としては何対何ぐらいでしょうか。
(事務方) 現時点においてはということになりますが、約2対1ぐらいかと思います。ただ、相談の相手方に、あなたはどういう人なんですかということを詳しく確認したりすると、非常に敷居が高い相談になってしまうこともあり、そういうことは聞いておりませんので、把握できている範囲ではということになります。
(問) 仮にですが、課税事業者で受注側であっても相談してくるということはあるのでしょうか。
(事務方) どういう相談がされるか直ちに言えないのですが、課税事業者だからといって電話を切るという対応にはなりません。
(問) 近年、優越的地位の濫用や下請法の運用について強化がなされてきていますけれども、独占禁止法や下請法を運用する中で、このインボイス制度の導入というのは結構大きなチャレンジだと感じているのですか。
(事務総長) インボイス制度導入については、競争政策の観点からどう見るのかというお話ではなく、税制が変革していく中での動きと思っております。そして、それに伴って起こり得る独占禁止法や下請法上の問題について、かなり関心をお持ちの方が結構いらっしゃるという状況の下での私どもが対応しているものです。
(問) これまで相談件数が増えていることもあり、インボイス制度導入をきっかけに下請けいじめとか、中小企業いじめというのが起こり得る土壌がすごくあると思うのですが、公正取引委員会としては、これに対する執行の重要性についてどれほど危機感を持っているのですか。
(事務総長) 先ほど申し上げましたように、御指摘の点は税制の変革に伴って起こっている問題であり、大きな社会現象などとどれくらい同じように見ることができるのかとは思います。ただ、本件は税制の問題ですので、全ての事業者に関連する問題であり、その中でも特に免税事業者にとっての問題かと思っております。いずれにしても、取引環境の適正な整備という観点から起こり得る競争政策上の問題については、私どももしっかりと対応していく必要があると思っております。
(問) 現状でも、価格転嫁において優越的地位の濫用のおそれのある行為が起こり得るということで近年努力をしていますけれども、このインボイスの導入に関する問題についても続けて努力をされていく方針ということですか。
(事務総長) インボイスに限らずですけれども、様々な局面において独占禁止法や下請法上の問題がありましたら、それについて厳正に対処していく必要があると考えております。

以上

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