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令和5年10月11日付 事務総長定例会見記録

令和5年10月11日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

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ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。デジタル分野におけるアドボカシー機能の強化のための情報提供の集中受付期間の実施について(令和5年10月11日公表資料)pdfダウンロード(601 KB)

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。開発途上国に対する独占禁止法及び競争政策に関する集団技術研修の開催について(令和5年10月11日公表資料)pdfダウンロード(75 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年10月11日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方の見直しについて

 本日は、私から3点申し上げます。
 1点目は、いわゆるグリーンガイドラインの改定についてです。2点目が、デジタル分野におけるアドボカシー機能の強化のための情報提供の集中受付期間の実施についてです。それから、3点目が、開発途上国を対象とした集団技術研修についてです。
 まず1点目のいわゆるグリーンガイドラインの改定についてでございます。事業者や事業者団体によるカーボンニュートラルの実現に向けた取組を後押しすることを目的としまして、公正取引委員会は、本年3月、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」、いわゆるグリーンガイドラインを公表いたしました。
 ガイドラインの公表以降、約半年が経過しましたが、その間、公正取引委員会においては、事業者や事業者団体等への考え方の周知、説明を実施するとともに、具体的な取組に関する相談を受けてまいりました。
 実際に、既に様々な産業分野の事業者や事業者団体の皆様から共同の取組等に関する相談を受けておりまして、グリーン社会の実現に向けた取組については、公正取引委員会として、積極的かつ柔軟な対応を進めているところです。
 また、本年6月には、いわゆる骨太の方針や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」が閣議決定されておりまして、ガイドラインについて、更なる明確化を行うことが、政府全体の方針に明記されております。
 この点につきましては、ガイドライン自体においても継続的に見直しを行うことを表明しておりますところ、具体的な相談事例や事業者等の皆様との対話を通じまして、グリーン社会の実現に向けた共同廃棄、共同調達等の取組について、公正取引委員会が市場の実態を踏まえた対応を採る点に関する考え方の更なる明確化を進めていきたいと考えております。
 ガイドラインの改定について、現時点で具体的な時期や内容は決まっておりませんが、早ければ来春にも改定を行うというような、これまでの各種ガイドラインの改定では行ったことのないようなスピーディーな対応も視野に、グリーン社会の実現に向けた事業者等の取組を一層後押ししてまいりたいと考えています。

デジタル分野におけるアドボカシー機能の強化のための情報提供の集中受付期間の実施について

 続きまして、2点目ですけれども、公正取引委員会は、デジタル分野における競争上の問題に対処するため、実態調査を実施し、新たなルールの整備に関する提言や、デジタル・プラットフォーム事業者の取引慣行に関する問題点の指摘を行うなど、公正な競争環境の整備を図ってまいりました。
 本年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」におきましては、デジタル分野について、「新たな実態調査を進め、アドボカシー機能を発揮する」こととされています。引き続き、効果的に実態調査を実施していくためには、関係事業者や消費者等の皆様の声を聴くことが重要であると考えております。また、昨年6月に公表した「デジタル化等社会経済の変化に対応した競争政策の積極的な推進に向けて―アドボカシーとエンフォースメントの連携・強化―」においても、実態調査の対象とする分野の選定に当たりましては、関係各所からのヒアリング等を含め積極的に情報収集を行うとともに、過去に実態調査を実施した分野についても、アドボカシー機能の実効性を高めるため、必要に応じ、その後の状況をフォローアップすることとしていたところです。
 先月末に公表いたしました「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査」についても、調査に先立って実施した関係事業者等に対するヒアリングを通じて、公正取引委員会が過去に実施した実態調査において指摘した課題の実質的な改善が進んでいないことがうかがわれたことを契機に、課題の解決に向けて、より実効性のある提言を行うことを目的として調査を実施いたしました。
 今般、これまでに実態調査を実施した分野のほか、実態調査を実施したことのない分野も含めまして、デジタル分野における市場の実態やデジタル・プラットフォーム事業者との取引状況等について、その実情を最もよく知っているのは実際に取引をされている事業者やサービスを利用する消費者の皆様であることから、幅広く情報を受け付けるため、「情報提供の集中受付期間」を実施いたします。例えば、「突然の規約変更で取引条件が大幅に悪化した」、「他社サービスへの切替えが困難だ」といった問題を感じることなどがございましたら、公正取引委員会への情報提供をお願いいたします。
 集中受付期間は本日、令和5年10月11日から11月10日までとなっております。
 今後、お寄せいただいた情報も踏まえながら、新たな実態調査の実施を含め、一層効果的にデジタル分野における競争環境の整備を図っていきたいと考えています。

開発途上国に対する独占禁止法及び競争政策に関する集団技術研修の開催について

 最後3点目でございますが、「開発途上国を対象とした集団技術研修」についてでございます。
 公正取引委員会は、以前から競争法・競争政策の技術支援に力を入れておりまして、その取組の一つとして、国際協力機構(JICA)の協力の下、開発途上国を対象に、競争法・競争政策に関する集団技術研修を行っております。
 集団技術研修は、開発途上国の競争当局等の職員を対象に、日本の独占禁止法とその運用に関する知識を習得する機会を広く提供しまして、開発途上国における競争法の運用の強化に資することを目的としています。
 本研修につきましては、1994年度、つまり平成6年度以降、ほぼ毎年度実施してきておりまして、これまでに67か国・318名に対して計28回の研修を開催した実績を有します。公正取引委員会が実施する技術支援は、これまで地理的に近い東アジアを中心に実施してまいりましたが、本研修の枠組みを活用することで、アフリカや東欧といった広範な国々を対象とした支援を行うことが可能となっています。
 本研修は、基本的に、参加国からのニーズも踏まえつつその内容が決められますが、カルテルや企業結合といった競争法の基本的な内容に加えて、デジタル経済やサステナビリティといった現代的な内容も含んでいることを特徴としております。開発途上国からの参加者が、公正取引委員会の職員や学識者から、我が国競争法に関する幅広い知識や経験を、効率的・効果的に学ぶことができる内容となっております。
 公正取引委員会といたしましては、開発途上国における競争政策が持続的かつ自立的に発展していくことができるよう、今後も継続して技術支援を実施していきたいと考えています。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) まず、グリーンガイドラインについて、様々な意見交換の結果を踏まえて、共同廃棄、共同調達の取組等について明確化するということですが、もう少し具体的にどのような声が上がってきていて、どのような点が改定されるのかを教えていただけますか。今のガイドラインはいろいろな想定例をずらっと並べて公正取引委員会の考え方を示したという形ですが、またそういう形になるのか、あるいは分野別になるとかでしょうか。この半年間のうちにどのような新しい意見が集まっていて、ガイドラインにどう反映させるのかということをもう少し具体的に教えてください。
(事務総長) 先刻も申し上げましたようにガイドライン公表以降、半年が経過しており、この間、事業者や事業者団体の方々への考え方の説明やヒアリングを続けてきております。また、様々な産業分野の方々からも御相談を受けておりますけれども、一般的に申し上げまして、グリーンの取組に関する相談内容としては、いわゆる共同の取組に係るものが多いと考えております。これに限られませんけれども、設備の共同廃棄といった共同の取組につきましては、更なる考え方の明確化を求める声がございます。こういった声も踏まえまして、独占禁止法上問題とならない場合としてどのような場合があるのか、ということを追加的にきめ細やかに考え方を示すことを検討しております。また、その他の点につきましても、改定すべき点がないかどうかを検討している状況でございます。
(問) それは、例えばガイドラインの具体例をもっと足すということですか。それとも今出ているものをもっと詳しく、明確化するということですか。イメージが湧かないのでもう少し教えてください。
(事務総長) 今後検討する内容になりますけれども、一つあり得るのは、現在一つしか想定例がないものにつきまして、状況が変わってくるとどうなるのか、そういう意味でのきめ細やかな考え方を示すことが考えられると思います。
(問) あともう一つ、デジタル分野における情報提供の集中受付期間について、こちらは、消費者の皆様の声を聴くことは重要ということですが、消費者に呼びかけることは珍しいのかなという印象を受けました。どういった理由で消費者の声が必要だという考え方に至ったのかを教えてください。
(事務総長) 競争政策の様々な論点には、各利用者が自由に選択できるかがポイントになるところでございまして、様々な実態調査におきましても消費者アンケートを行って情報を収集しています。今般のデジタル分野におきましても、実際にその取引をされているそれぞれの方の生の声を聴くことが非常に重要と考えておりますので、事業者の方も一方でありますが、サービスを利用されている消費者の方の声を聴くことが非常に重要と考えており、今般この取組をさせていただくものです。
(問) 2点ございます。1点目がグリーンガイドラインについてで、取材をしていると法整備を求める事業者もいますが、基本的にはこのガイドラインに具体的に書き込むことで対応されていくということでよろしいのでしょうか。それから、このタイミングでの方針の発表というのは、経済対策や補正予算などが関わるなど、何らかの意味があるのでしょうか。
 あともう1点は、デジタル分野における情報の集中受付期間に関して、日頃から事業者からヒアリング等もされていると思うんですけれども、例えば集中的に人を増やすのかなど、日頃のやりとりとどう違うのかを教えていただけたらと思います。
(事務総長) まずグリーンガイドラインの御質問でございますけれども、今回行おうとしているのはガイドラインの見直しでございます。元々ガイドラインを作成したときに、ガイドラインの中に、継続的にこの考え方の見直しは、例えば市場や事業活動の変化、具体的な法執行や相談事例等を踏まえて行っていくということを書き込んでおりましたので、正にその方針に基づいて見直そうとしているということです。
 共同の取組に係るセーフハーバーや適用除外を検討しないのかという声があることは承知しておりますけれども、共同の取組に係るセーフハーバーにつきましては、グリーンの取組が今後進展するという現時点におきまして、相談事例等の蓄積が十分とはいえない中で設定するのはなかなか難しく、また適当ではないと考えております。
 それから、適用除外制度につきましては、仮に、我が国において導入されたとしても、国際的に事業活動を行う事業者につきましては、海外当局による執行がございますので、海外当局によって違法と判断されるおそれがあります。また、グリーンの取組を装ったカルテル、いわゆるグリーンウォッシュのリスクを高めてしまう可能性があり、我が国の経済の発展やイノベーションの促進にむしろマイナスの影響を与えるのではないかとも考えられます。それから、適用除外制度の在り方によっては、独占禁止法上の問題の検討作業に加えて適用除外への該当性の検討作業が追加的に必要になることも考えられますので、結果的には事業者の方々の負担を増やしてしまう可能性があると考えております。こういった観点から適当ではないと考えております。
 このグリーンガイドラインの改定のタイミングにつきましては、様々な事業者や事業者団体の方々と接して半年を経過した段階でございまして、当初はなかなか見えてこなかったところもありますが、それが徐々に見え始めてきているという実感もございます。それを踏まえまして、なるべく事業者の方々の予見可能性を高めるという観点から、早めに様々な作業を進める必要があると考えており、先ほど申し上げましたように、これまでの各種ガイドラインの改定では行ったことのないようなスピード感を持って対応しようと考えております。
 それから、情報提供の集中受付期間についての御質問でございますけれども、今年6月に閣議決定されました「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」におきまして、デジタル分野について、「新たな実態調査を進め、アドボカシー機能を発揮する」ことが求められておりますし、また、先月「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査」を公表したところ、今後、新たな実態調査の実施を含めまして、一層効果的にデジタル分野における競争環境の整備を図っていくことが必要と考えておりますので、今般、情報提供の集中受付窓口を実施することとしました。必ずしもそこに人を投入するという話ではないかもしれませんけれども、実際に情報提供窓口がございますので、それを是非御活用いただければという思いがございまして、今般発表させていただきました。

以上

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