ホーム >報道発表・広報活動 >事務総長定例会見 >令和5年 >10月から12月 >

令和5年11月8日付 事務総長定例会見記録

令和5年11月8日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針についてpdfダウンロード(344 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年11月8日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針について

 本日私からは、価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針についてお話しいたします。
 公正取引委員会では、取引の公正化をより一層推進する観点から、適正な価格転嫁が可能となる取引環境を整備するため、令和4年の緊急調査に続き、令和5年5月から特別調査を実施しておりまして、令和5年内を目途に調査結果を取りまとめ、公表する予定です。
 また、昨年「企業名公表」の取組について、事務総長定例記者会見等の場で御説明し、緊急調査の結果の公表と併せ、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置き等が認められた事業者名を公表したところですが、今年実施した特別調査の結果に基づく事業者名の公表につきましては、デュープロセスに配慮する観点から、次の方針の下で、進めていくことといたしましたので御説明いたします。
 まず、昨年の緊急調査における「企業名公表」と変更がない部分についてです。お手元の資料の下のボックスの独占禁止法Q&Aにお示ししている、協議を経ない取引価格の据置き等が確認された場合に、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、独占禁止法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表すること、また、当該事業者名の公表は、独占禁止法に違反すること又はそのおそれを認定するものではないことは、昨年と同様です。
 次に、Q&Aに該当する行為の有無を確認する個別調査につきましては、緊急調査後の状況等を踏まえて、次のいずれかに該当する事業者を重点的に対象とすることとしました。
 まず第一に、昨年の調査でも問題が指摘されており、一年経った今年の調査でも、なお問題が指摘されている事業者でございます。具体的には、昨年の緊急調査において、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者、又は注意喚起文書の送付を受けた発注者であること、かつ、今年の特別調査の結果、受注者から多く名前が挙がった発注者であることでございます。
 第二に、一回の調査で特に多くの指摘がある事業者でございます。具体的には、今年の特別調査の結果、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から特に多く名前が挙がった発注者でございます。これら二種類の事業者につきましては、個別調査を実施する必要性が高い、という趣旨でございます。
 また、個別調査の実施に当たりましては、個別調査の結果として事業者名の公表があり得る旨を予告すること、さらに、独占禁止法第40条の規定に基づく報告命令等を行うことがあることも明らかにしております。
 今後、この方針の下で個別調査を実施し、上記に該当する事業者があれば、その事業者名を公表してまいります。
 なお、引き続き、独占禁止法や下請法に違反する事案については、厳正に対処してまいります。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 事業者名の公表の方針について発表された背景には、去年12月の事業者名の公表の後、事業者や弁護士からの反響が大きかったからなのかなと推察するのですが、今回この方針を発表された背景をより詳細に御説明いただけますか。
 また、「多く」とか「特に多く」という記載について、大体どれくらいの数を想定しているのか御説明いただけますか。
(事務総長) 今回の方針の公表につきましては、今年5月から、11万名を超える事業者を対象にして特別調査を実施しておりまして、コストに占める労務費の割合が高い業種に対して重点的に調査票を送付してまいりました。また、本年8月、受注者からの回答を踏まえまして、必要があれば追加で調査票を発送するということを行ってきております。調査結果の取りまとめにつきましては、年内を目途に公表する予定ですが、事業者に対して個別調査を実施するに当たりましては、本方針を示した方が適切であると判断しまして、今般、本方針を公表することとしました。
 本方針につきましては、昨年の経緯を踏まえますと、経済界の方からも、適正な価格転嫁の実現に向けた取組を進めるに当たっては、明瞭な基準を設けて運用の透明性や公平性を確保することで、事業者にとっても納得感のあるものにしてほしいといった指摘をいただいており、こういった指摘も踏まえた対応とさせていただいております。
 また、方針の中に「多く」、あるいは「特に多く」といった文言が出てきておりますが、何社かという具体的な数字については、お答えを差し控えさせていただきます。具体的な数字が出てまいりますと、その数字未満であれば協議を経ない取引価格の据置きを行っても問題ないといった誤解を与えるおそれもあるためでございます。ただし、個別調査の対象となる事業者に対しては、なぜこの個別調査を受けることになったのかが分かるように、具体的な数字を挙げて説明したいと思っております。
(問) 個別調査というのは、昨年の緊急調査の後には行われなかった調査なのでしょうか。
(事務総長) 昨年は、緊急調査を踏まえて更に詳細な調査を行った上で企業名公表という過程を経ており、そういう意味では、今年の個別調査と同じようなプロセスを経ております。
(問) 個別調査とは、具体的には、会社に出向いてヒアリングをするものでしょうか。
(事務総長) 個別調査は、アンケート調査のような調査だけではなくて、現場に伺ってお話をいろいろ聞く、いわゆる立入調査のような形で行っているものです。
(問) 昨年の事業者名の公表の後に、割と聞いた意見としては、独占禁止法のQ&Aでは、明確に価格の交渉の場において、ということが記載されていますが、取引価格については、契約上そのまま据置きになるから、よっぽどのことがなかったら価格の交渉の場を持っていないのに、なぜ特別に設けなくてはいけないんだというものがありました。その辺りも考慮されているのでしょうか。
(事務総長) 御質問の点につきましては、いわゆる独占禁止法のQ&Aにおいて当方の考え方を明らかにさせていただいております。これは私法上の契約とは別に、独占禁止法の観点から、優越的地位の濫用として問題となるおそれがあるかどうかという観点の下で、このQ&Aの考え方をお示ししておりまして、これに基づいて、昨年も今年も調査を行ってきております。
(問) 結局、今までよりも介入の度合いが強いのではないかという事業者からの反発だったのだと思います。独占禁止法のQ&Aの「2」のように、協議を求めたのにしないというのは、確かに悪いと常識的に分かると思うのですけれども、価格の交渉の場が2社の取引の中であまり行われないのが通常になっている場合はどうなのかという反発が一部にあったようなのですが、その辺りは考慮しないのですか。
(事務総長) この価格転嫁円滑化に関する調査につきましては、コストの急激な上昇局面という現下の状況を踏まえて、適正な価格転嫁が可能となる取引環境を整備していくために必要だということで実施しているものでございます。そういった状況下において、どういった行為が独占禁止法上問題になるのかを示したものが、この独占禁止法のQ&Aでございまして、この資料の枠囲みで書いてあるような行為でございますので、これを改めてお示しして調査を行うというものです。
(問) 昨年の緊急調査に続いて、事業者名の公表をする方針ということですけれども、事業者名を公表することによって、どういった効果を狙っているのかという点を改めてお聞きします。
 それを踏まえた上で、昨年の緊急調査で事業者名を公表したことによる効果がどうだったのかという点について御説明いただけますでしょうか。
(事務総長) 先ほども申し上げましたように、価格転嫁円滑化に関する調査につきましては、コストの急激な上昇局面という現下の情勢を踏まえまして、適正な価格転嫁が可能となる取引環境を整備するために実施しているものでございます。独占禁止法又は下請法違反事件として法律違反を個別に認定していく取組のみによっては、協議を経ない取引価格の据置き等が問題であるというメッセージが浸透するにはかなりの時間がかかってしまうといった問題点がございましたので、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しし、違反行為を未然に防止する観点から、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が認められた事実のみをもって公表するというのが、昨年行った企業名公表の趣旨でありますし、今回も同じような考え方に則っております。
 それから、昨年の企業名公表についての評価でございますけれども、昨年の企業名公表をはじめとして、適正な価格転嫁の実現に向けた取組として、従来にない取組を行ってきており、特別調査の結果の取りまとめにおいては、価格転嫁の状況及びその評価についても示していきたいと考えております。
 なお、昨年の緊急調査において事業者名を公表した13名につきましては、その後の価格転嫁の取組状況のフォローアップを行っております。当該フォローアップ調査の結果については、現在特別調査の結果の取りまとめの中で公表を予定しており、その中で明らかにしていきたいと考えております。
(問) 企業名公表の件につきまして、昨年の公表の後、自分も何人かの公正取引委員会OBの方に取材した際に、事業者名の公表には謙抑的であるべきだといったかなり批判的なことが聞こえてきたのですけれども、それについてはどう捉えていますか。
(事務総長) これまで取り組んだことのないような、一歩踏み込んだ取組だったと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、コストの急激な上昇局面という現下の状況を踏まえて、適正な価格転嫁が可能となる取引環境の整備という観点から実施したものでございます。また、様々な方面から御意見を頂戴しておりますので、今年につきましては、デュープロセスに十分配慮する観点から、今般この方針をお示しし、今後実施する価格転嫁円滑化に関する調査について適用することを明らかにさせていただいたものでございます。
(問) グーグルの件でお伺いします。審査開始が公表されてしばらく経ちましたが、意見がどのぐらい集まっているかですとか、反響や反応等ありましたら教えてください。
(事務総長) 昨年公表いたしました「デジタル化等社会経済の変化に対応した競争政策の積極的な推進に向けて ―アドボカシーとエンフォースメントの連携・強化―」というステートメントに基づきまして、今般、個別事件に係る情報・意見の募集という趣旨も込めて公表させていただいたところですが、どういった意見等が集まっているかにつきましては、個別事件の調査になってまいりますので、その辺りを明らかにしていく話ではないと考えております。

以上

ページトップへ