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令和5年12月20日付 事務総長定例会見記録

令和5年12月20日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

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[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和5年12月20日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

金型の無償保管要請問題に関する公正取引委員会の取組について

 本日は、金型等の無償保管要請問題に関しまして、12月15日までに金型の関係事業者団体に対して要請を行ったことについてお話しいたします。
 公正取引委員会及び中小企業庁は、お手元の資料にありますように、これまで様々な取組を行ってきております。
 金型等の無償保管要請問題につきましては、令和元年に中小企業庁等を事務局として設置されました「型取引の適正化推進協議会」の報告書におきまして、「国内の生産活動の縮小を背景として、我が国の金型の出荷額は、減少傾向となり、こうした中、型の廃棄、保管費用の負担等の課題が顕在化してきている。」とされるように、金型の出荷額の減少とともに、問題が顕在化してきたものです。
 このような実態も踏まえまして、金型等の無償保管要請に係る個別の下請法違反行為に対する厳正な対処に努めてきたところでございまして、型の無償保管要請に係る初の勧告事例として令和5年3月16日に岡野バルブ製造に対する件の勧告・公表を行い、続いて令和5年11月30日にサンケン電気に対する件の勧告・公表を行うに至ったものでございます。
 これら勧告事例につきましては、あらためて、金型等の無償保管要請が下請法上問題となることや、どのような場合に問題となるかについて、一つの具体的な事例として示した点で下請法違反の未然防止に資するものと考えております。
 また、中小企業庁との連名で、金型の関係事業者団体に対しまして、会員への勧告事例の周知等を内容とする要請を行いました。
 この要請は、勧告事例をきっかけとしまして、広く関係する業界において、この問題への更なる理解を進め、下請法を始めとする法令遵守への意識を高めていただくことで、問題の解消につながることを期待して行ったものでございます。
 公正取引委員会といたしましては、今後とも、下請法等の厳正な執行に努めるとともに、金型等の無償保管要請問題の解消に一層取り組んでいきたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) まず今回のテーマである金型の無償保管要請問題について伺います。配布資料を見ると、2004年から継続していろいろな取組がなされているところ、勧告・公表された個別案件としては最近出されたものが初めてということです。全体としてはある程度周知されて改善されてきている部分もあると見ていらっしゃるのか、それとも、まだまだ問題としては深刻なままで課題があると考えていらっしゃるのか、課題があるとすればどういうことがあるのか、その辺りのお考えを教えてください。
(事務総長) この問題については、従前から継続して取組を行っておりまして、問題の趣旨や下請法上問題となり得る点につきましては、下請取引適正化推進講習会テキストや違反事例の公表により一定の周知が行われてきていると思いますが、なかなか現場では問題が解消されていない実態もあり、そういった実態を踏まえまして更なる取組を継続して続けてきたところでございます。今年になりまして、この無償保管要請に関する勧告を行うことにより、より一層その周知がなされ、無償保管要請が問題であるといった認識が広まることで問題解消に資するものになると思っております。
(問) 先日、九州電力とその子会社が、電力カルテルにおける処分の取消しを求める訴訟を起こして、その第一回口頭弁論が12月14日に開かれました。九州電力は、調査段階でリニエンシーを申請していて、その課徴金額には、調査開始後としては最大の30パーセントの減免率が適用されています。他方で、その後の会見や訴状等では、九州電力は公正取引委員会の認定に対して、カルテルの合意自体がそもそも存在しておらず、その合意を裏づける事実や証拠もないと主張していまして、改めてリニエンシー制度をどのように理解したらいいのかをお伺いしたいと思います。
 法律上は、リニエンシーの申請事業者が違反行為の存在を認めることまでは必要とされていないと理解しており、更に言うと、調査開始後であれば限られた期間でリニエンシーの申請をするかどうか決めないといけないですし、企業側にもその段階で事情が変わることは十分あり得ることだと思います。ただ一方で公正取引委員会のホームページにあるリニエンシー制度の説明では、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度とあります。リニエンシー制度の運用や実務において、調査段階で申請事業者が違反行為の認識や、それを申告する必要はないのでしょうか。また、リニエンシーの申請事業者に違反行為の認識や申告が全くなかったとしても、公正取引委員会の調査に協力すれば課徴金の減免を受けることができるのかどうか、一般論で構いませんので、制度の理解のために改めて教えてください。
(事務総長) 一般論として申し上げれば、課徴金減免制度を利用したということを理由として、公正取引委員会の違反認定を訴訟で争うことが禁じられているものではございませんが、いずれにしましても、そのような訴訟がありましたら、その訴訟において当委員会の主張が認められるように適切に対処してまいりたいと考えております。
(問) では、運用上は違反行為の認識や、それを申告する必要までは求められていないという理解でよろしいのでしょうか。
(事務総長) 恐らく課徴金減免制度を利用する前提としては、自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を自主的に報告した場合に課徴金が減免されるという当方の説明に基づいて、その御認識で減免申請をされるのだと思います。
(問) リニエンシー制度を利用したとしても、例えば合意の範囲で争うとか、算定された課徴金額の一部の取消しを求めるという形で争うというのは想像できるのですが、リニエンシーの申請事業者がカルテルの違反行為の前提となる合意そのものが無いということを争った事例は過去にあったのでしょうか。
(事務総長) 確認ができました平成27年以降の事件では、御指摘のような違反行為の存在自体を争った事案は存在しません。
(問) 今回の訴訟が初めてのケースになるという理解でよろしいでしょうか。
(事務総長) 確認ができた平成27年以降の事件では、御理解のとおりです。
(問) 平成27年以降というのは、審判制度がなくなってからという意味でしょうか。
(事務総長) 減免申請を行った事業者名が公表されている最も古い事例というのが平成27年ということでございます。
(問) 昨日、損保大手4社に対してカルテルの疑いがあるということで立入検査が行われました。この事前調整については、損保大手4社もその存在自体は認めているものでありますが、こういった形で保険業界で事前調整が行われていたことに対してどのように感じていらっしゃるのかをお伺いします。
(事務総長) それについては個別案件に関わることでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
(問) 立入検査というよりは、金融庁の報告徴求の流れや、これまでの数年にわたるカルテルがどうなっていたかといった大きな意味合いでもいいのですが。
(事務総長) 今後、事案の実態を解明していくことになろうかと思いますので、現時点ではお答えは差し控えさせていただきます。

以上

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