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令和6年6月5日付 事務総長定例会見記録

令和6年6月5日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

無し

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和6年6月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の開始について

 本日は、今年度に実施いたします価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査について、お話しいたします。
 公正取引委員会は、取引の公正化を一層推進する観点から、コスト上昇分の適切な価格転嫁が可能となる取引環境を整備するため、令和4年度と令和5年度に続いて、本年5月30日から、今年度における価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査を開始いたしました。
 今回の特別調査は、令和5年度の特別調査の結果等を踏まえまして、事業者間の取引における価格転嫁の状況の把握、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の取組状況のフォローアップ、さらに、令和5年度の特別調査の結果を踏まえ事業者名公表の対象となった事業者10名に対する価格転嫁円滑化の取組に関するフォローアップ等を内容とするものです。
 この特別調査では、令和5年6月1日から令和6年5月31日までの1年間を調査対象期間としまして、令和5年度の特別調査において注意喚起の対象となった8,175名を含めた11万名を超える事業者に対し、今週の7日に調査票を発送いたします。
 また、労務費の転嫁に関する対応の強化の一環としまして、令和5年度の特別調査の結果、コストに占める労務費の割合が高い、あるいは労務費の転嫁率が低いといった、特に対応が必要な業種、例えば、道路貨物運送業、情報サービス業、ビルメンテナンス業、警備業といった業種に対しまして、重点的に調査票を発送いたします。
 今回の特別調査は、調査票が届いていない事業者であっても、公正取引委員会のウェブサイト上の特設ページから回答することができますので、特に労務費の上昇分の転嫁に関する情報など、是非、事業者の皆様方から幅広く御回答をお寄せいただきたいと考えております。
 今後は、書面調査等の結果を踏まえ、協議を経ない取引価格の据置きや、労務費指針に沿った行動をせず労務費の転嫁を妨げていることが疑われる事案などにつきましては、立入調査を実施し、問題につながるおそれのある行為が認められた場合には、具体的な懸念事項を示した注意喚起文書を送付するなど必要な対応を採ることとしております。そして、労務費指針の取組状況の把握とともに、令和6年内を目途に調査結果を取りまとめる予定でございます。
 また、特別調査の結果を踏まえ、取引価格が据え置かれており事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった事業者に対しましては、昨年11月に公表した「価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針について」に基づきまして、個別調査を行い、場合によっては、その事業者名を公表いたします。
 さらに、公正取引委員会は、本年5月27日に、労務費指針等を踏まえまして、下請法上の買いたたきの解釈・考え方が明確になるよう、下請法運用基準を改正したところです。この下請法運用基準や価格転嫁に関する独占禁止法Q&Aにより明らかにした価格転嫁に関する考え方に基づき、労務費などのコスト上昇分の価格転嫁が円滑に行われていないことが疑われる事案につきましては、これまで以上に厳正な法執行を行ってまいります。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 先週、日産自動車が、公正取引委員会の勧告後も不適切な取引を継続しているのではないかという報道を受けて、調査結果を発表しました。これは日産側による日産社内の調査にとどまっていまして、違法性の有無については、公正取引委員会の御判断という話も日産からありました。この日産を巡る動きについては様々な反応がありましたが、まずこれについての受止めを教えてください。あと今週、経済産業大臣も一般論として、この違法性については公正取引委員会が判断するものといった言及もありましたが、今後、公正取引委員会として何か調査をするかどうかなども含めた今後の対応について教えてください。
(事務総長) 日産自動車が記者会見を行って、社内調査の結果を公表したことについては承知をしております。その内容については同社の社内調査の結果でございますので、この場でコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、会社として取引適正化に向けた姿勢を示したものと私どもは受け止めております。ただ、今後は、これが単に形やポーズだけではなくて、実際に成果が上がるような実効性を伴うものかどうかということを見ていく必要があると考えております。
 日産自動車に対しましては、3月に公正取引委員会が行いました勧告におきまして、「今後、下請法に違反することがないよう」法務担当者による定期的な監査など、所要の改善措置を採ることを求めているところでございますので、当委員会といたしましては、日産自動車における改善措置の実施状況について注視していきたいと考えております。
(問) 先日、岸田総理が、自民党から下請法の改正を求める提言案を受け取り、岸田総理から、日本経済が新しいステージに立つ中で地域経済と中小企業が鍵を握る旨の発言があったとされます。公正取引委員会として下請法改正の必要性をどのようにお考えか、改めて教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 公正取引委員会といたしましては、この価格上昇の中で様々な問題が生じてきていることは従前からよく認識をしておりまして、それに向けて様々な取組を行ってきたところでございます。先ほど申し上げました様々な取組、これは下請法の運用基準を改正することや、事業者名を公表するといったことですが、そういったことは現在の枠組みの中でできる最大限のことを行ってきていると考えております。
 与党の方から提言がありました点についてでございますけれども、構造的賃上げを実施していくためには、適切な価格転嫁を、我が国の新たな商習慣として、サプライチェーン全体で定着させていく「構造的な価格転嫁」を実現していく必要があると考えております。
 公正取引委員会といたしましては、提言いただいた「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の徹底、あるいは独占禁止法、下請法の執行強化などは、大変重要であると考えておりまして、今後ともしっかりと取り組んでいきたいと考えております。また、取引慣行の実態、あるいは価格転嫁の状況を検証しつつ、下請法改正の要否を含めまして、幅広く必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
(問) 先ほどの質問にもありました日産の件も含めて、下請法違反に対して勧告等を行っておられますが、今の時点で適切な価格転嫁に向けて、下請法の運用が、きちんと価格転嫁等に結びついているかどうかといったところの評価について教えてください。また、今後特に力を入れていきたいところがあれば教えていただければと思います。
(事務総長) 昨年度の特別調査においても、注意喚起文書を送付した事業者数の割合につきましては、令和4年度の緊急調査と比べて4%強減少していたという状況にありますので、公正取引委員会が行っている様々な取組もそれなりに功を奏してきているのかなと考えておりますし、その一環として、下請法の厳正な執行があると考えております。この下請法の執行につきましては、令和5年度の勧告件数が、その前の年度より倍増しているという状況でございますので、今後とも積極的な執行に努めてまいりたいと考えております。
(問) 価格転嫁の特別調査について、企業名の公表の予定は、今のところいかがでしょうか。
(事務総長) 企業名の公表につきましては、先ほども申し上げましたけれども、昨年11月に公表しました「価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針」がございますので、これに基づきまして、令和5年度につきましては、令和6年3月に10名の事業者名を公表しております。今年度につきましては、特別調査の結果を踏まえ、今申し上げましたこの方針に基づいて個別調査を行い、相当数の受注者との間で協議を経ない取引価格の据置き等が確認された場合には、事業者名を公表することになります。

以上

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