[配布資料]
フリーランス法の広報強化期間(第1弾)(令和6年6月17日公表)(165 KB)
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年6月26日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
フリーランス法の広報強化期間(第1弾)
本日は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス法の広報強化期間の第1弾についてお話しいたします。
フリーランス法は本年11月1日に施行されます。5月31日には、政令や規則、法律の解釈を示すガイドラインなどを公表いたしました。
公正取引委員会といたしましては、引き続き法律の円滑な施行に向けて取り組んでいきますけれども、11月の施行に向けたフリーランス法の取組として最重要課題と位置付けているのが周知広報活動です。
本法は、フリーランスとの取引全般に適用される法律でありまして、業種・業界の限定もございませんし、適用対象となるフリーランスも「業務委託の相手方であって、従業員を使用しないもの」とされております。また、発注事業者はフリーランスに発注をする者全て、となっておりますので、その適用対象は非常に広く、社会的に影響が大きい法律であると考えております。
このため、これまで私自身もこの会見の場なども活用して繰り返し申し上げてきましたとおり、本法の周知広報活動は極めて重要であると考えております。公正取引委員会は、これまでも従来にない手法等を活用しまして、周知広報活動に力を入れてきておりますけれども、今般、6月17日から7月31日までを第1弾の広報強化期間に設定して、フリーランス法の広報を行うことといたしました。
強化期間の目的でありますけれども、フリーランス法の認知度を高めることで、違反行為の未然防止を図ることにございます。第1弾の目玉の取組は、イラストレーター兼漫画ブロガーのBUSON(ブソン)氏のオリジナルキャラクター「しきぶちゃん」とタイアップした広報展開です。お手元の資料にありますように、公正取引委員会ホームページに、フリーランス法の特設ウェブサイトを設けることにしております。ここで「しきぶちゃん」とタイアップしたフリーランス法の紹介動画、あるいはフリーランス法の理解度診断、発注事業者向けのあるあるチェックなどのコンテンツを盛り込んでいます。是非多くの方々に御覧いただきたいと思っております。これ以外にも、インターネットや東京メトロ車内のビジョン広告、ファミリーマート店内のレジ前液晶モニターでの広告も展開中です。
また、中小企業庁、厚生労働省と合同で、フリーランス法の説明会を全国8か所で開催いたします。既に東京会場は満席となっておりますけれども、地方会場はまだ席が空いていますので、是非足を運んでいただければと考えております。
公正取引委員会といたしましては、引き続き、フリーランス、発注事業者の双方に対して分かりやすい情報発信を行い、この法律の積極的な周知広報に努めてまいります。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 質問を2問いたします。まずフリーランス法に関しまして、世界の競争当局の中でも、労働市場に競争法でいろいろと規制をかける動きが出ているかと思いますが、フリーランスというくくりで法律を作るのは世界でも珍しいかと思います。今回のフリーランス法に関して、海外の競争当局からどのような反応があるのか教えていただければと思います。
(事務総長) 今回の新しい法律を執行することについて、海外の当局から何か反応があるかという御質問ですけれども、寡聞にして、そういったことはあまり聞いたことがございませんので、少なくとも我々の方に、海外の当局からそういった反応はいただいていないという状況でございます。
(問) それから2問目は、少し話題が変わってしまうのですが、欧州委員会が今週アップルに対して、初のDMA違反の認定をしましたが、この流れに関連して、アップル又は他のゲートキーパーとされるプラットフォームオペレーターが、例えば生成AIの導入を見送るといった、規制が異なるがゆえに、地域ごとにビジネスの導入やモデルの変更を行わなくてはいけないという流れがあるように感じます。日本では先日、スマートフォンのソフトウェアに関する事前規制の法律が成立しましたが、規制する行為が微妙に異なるなど、規制が違うことにより、規制ギャップが生まれてくる懸念もあるのではないかと思います。このように、グローバルなビジネスを展開する事業者が、規制によって地域ごとにビジネス上のコンダクトを変えるという状態を是とするのかどうかを伺います。あと、各国が規制の足並みをそろえることと、各国が独自の対応をしなくてはいけないことのバランスをどのようにお考えか、お聞かせください。
(事務総長) デジタルの領域においては、これまでも様々な競争上の懸念が示されてきておりまして、各国の当局において様々な取組を行ってきている中で、こういう事前規制という新たな規制を作っていくことは、一つの流れであり、一つの規制当局側の対応なのかなと考えております。
また、その対応によって、そもそもイノベーション自体がシュリンクしてしまうことになると、大きな目で見れば、自国の市場においても、大きなメリットにならないのではないかということについては、そのとおりかなと思いますが、そういう規制を作る際には、イノベーションの進行と問題解消のバランスを取っていくことが非常に重要と考えております。
各国において、規制が多少変わり得るのではないかということですけれども、それについては、それぞれの国の事情もあるでしょうし、市場の状況やビジネスの興り方もあると思いますので、それぞれの国の事情を反映した規制ができるのは、それぞれの状況に応じた対応なのかなと考えます。とはいえ、こういう規制を作るに当たっての大きな流れとしては、各国において、各国の連携も重視されているところでありますので、規制当局としても、それぞれの国の状況や世界の状況を見ながら、しっかりと対応していく必要があるかなと考えます。
(問) そうなると、今のような、ヨーロッパは厳しい法律で、日本は日本にあった法律という形になりますが、そこに生まれるギャップは容認の範囲内ということでよろしいですか。
(事務総長) それぞれの国に応じた対応を行っていくということかと思います。いずれにせよ、こういう新しい規制を運用していく際に、規制当局としては、規制対象となる事業者の方々と十分にコミュニケーションを取って、的確に規制が行われるように対応していくことが非常に重要と考えています。
(問) 今のアップルの話に関連しますが、先日アップルがEU加盟国では、主力のAI機能を提供しないと発表しました。もちろんEUのDMAと、先日、日本で成立した新法では違いがあると思いますが、こういった事態が日本でも起こり得るのか、もし起こり得ないとしたら、どういった理由から起こり得ないのか、教えていただけたらお願いします。
(事務総長) こういう事情が起こり得るかどうかというのは、正にそれぞれの国の規制に対して、それぞれの事業者の方々がどういう対応を採られるかということかと思いますので、私どもの方から何かという話ではないかと考えます。
(問) アップルは、DMAの規制の不確実性という曖昧な理由を挙げておりまして、そういった不確実性が日本の新法でも存在し得るのかなと疑問に思った次第です。
(事務総長) そういう意味でいうと、規制対象の事業者の方々から、そういった懸念が起こらないような形で、当局の立場もしっかりと御説明し、事業者の方々ともよくコミュニケーションを取って、実情に沿った形で規制を行っていくことが大事かと思いますので、私どもとしてはそういったギャップが起こらないような形にしていく必要があるかなと考えます。
(問) 今日のテーマであるフリーランス法の広報について、このBUSON氏の「しきぶちゃん」なのですが、世の中にいろいろなキャラクターがある中で、これを選んだ理由と、どういう効果を期待しているのかということをお伺いします。
(事務総長) BUSON氏につきましては、御自身のホームページやSNSにおいて、「しきぶちゃん」の「あるある」漫画が現在非常に話題になっているということでございまして、SNSの総フォロワー数も75万を超えるなど、発信力のある人物であると認識をしております。この「あるある」漫画を活用いたしまして、フリーランス法について「あるある」に絡めたコンテンツを提供して、SNSでの展開もしていくことで、普段公正取引委員会のウェブサイトを御覧にならない方にも訴求することができ、フリーランス法の認知度の向上につながると考えて、このタイアップを行っているものでございます。
(問) 今後、この「しきぶちゃん」は、各地で行う説明会等において、広報媒体としていろいろな形で使っていくのでしょうか。
(事務総長) 特設ウェブサイトを中心としまして、いろいろなところで活用できるかなと考えております。
以上