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令和6年1月17日付 事務総長定例会見記録

令和6年1月17日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。(概要版)実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの整備・運用のためのガイド-カルテル・談合への対応を中心として-(令和5年12月21日公表資料)pdfダウンロード(760 KB)

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和6年1月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの整備・運用のためのガイド

 本日、私からは、昨年12月21日に公表いたしました「実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの整備・運用のためのガイド」についてお話しいたします。
 我が国の市場における公正かつ自由な競争を促進していくためには、独占禁止法の厳正な執行によって独占禁止法違反行為を排除するとともに、個々の企業が独占禁止法に関するコンプライアンスを推進することにより、競争的な事業活動が自律的に行われる環境を実現していくことが必要となります。
 公正取引委員会は、企業等における独占禁止法コンプライアンスに関する取組を支援する観点から、これまで独占禁止法コンプライアンスに関する様々なアンケート調査やヒアリング調査を行っておりまして、その結果を報告書に取りまとめ、公表してまいりました。
 これらの調査を通じて収集した情報の中には、独占禁止法コンプライアンスに関する好取組事例が豊富に含まれておりまして、それらが一定程度蓄積されてきている状況でございます。このため、今般、各国・地域競争当局等が作成・公表している同様のガイド等も参考にしながら、ガイドを作成して公表いたしました。このガイドは、主にカルテル・談合に関しまして、個々の企業が実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムを整備・運用する上で参考となるベストプラクティスを整理したものとなっております。
 本ガイドには、二つの特徴がございます。まず、第一といたしまして、実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの構成要素やその意義・本質・留意点等を網羅的・体系的に整理している点であります。第二といたしまして、過去のアンケート調査やヒアリング調査でみられました、独占禁止法コンプライアンスに積極的に取り組んでいる企業等の「生の声」を好取組事例として紹介している点であります。ガイド本体は、大部なものとなっておりますが、ここに記載されている全ての取組を完璧に行うことを求めるものではございません。自社の実情や独占禁止法違反リスクに応じて、費用対効果が高いと思われる項目から優先的に取り組み、段階的に取組の範囲を広げていただくことが重要と考えております。企業のコンプライアンス担当の方を始めとしまして、関係者の皆様方におかれましては、是非本ガイドを独占禁止法コンプライアンスの取組に御活用いただけましたら幸いでございます。
 公正取引委員会は、今後とも、本ガイドの周知等を通じて企業における独占禁止法コンプライアンスに関する取組の支援・唱導活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 配布資料の16ページを見ると、こういったガイドを作成している国や機関もありますが、日本の競争当局としてこのタイミングでガイドを作成することになった必要性や背景があれば教えてください。
 それから、こういったガイドを作成することは、企業側にとってはいろいろと参考になり役立つのかなと思いましたが、公正取引委員会にとっては、どういったメリットがあるのか教えてください。
(事務総長) まず一つ目の御質問ですけれども、2000年代以降の企業コンプライアンスに関する各種制度改正によりまして、企業によるコンプライアンスへの取組が重視されるようになってきています。こういった中で公正取引委員会においても時を同じくしまして、違反行為の排除措置の中に研修の実施等の再発防止策を含めたり、あるいは、企業の独占禁止法コンプライアンスに関する取組等につきまして、実態調査を行ってきたりしたところでございます。特に違反を摘発された企業を中心に独占禁止法コンプライアンスに真剣に取り組む事例が見られまして、一定の成果が出てきているのではないかと考えております。一方で、近年においても、カルテル・談合等の独占禁止法違反事件は、なお存在しておりまして、独占禁止法に関するコンプライアンスが十分に機能していないのではないかと考えられる事例も引き続き見られる状況でございます。そこで、今回改めて、各企業が独占禁止法コンプライアンスの取組を進めていく上で参考となるベストプラクティスを整理したガイドを作成・公表したという経緯でございます。
 二つ目の御質問でございますけれども、先ほど申しましたように、公正で自由な競争を促進していくという観点からは、違反行為に対して排除措置命令等の措置を採るとともに、個々の企業において競争的な事業活動が自律的に行われる環境を実現していくことが非常に重要だと考えております。違反事件についても、違反事件が起こってからというよりは、まずはそういうことが起こらないような環境を整備していくことが非常に重要と考えておりますので、このガイドを一助としていただきまして、そういった努力を促していきたいと考えております。
(問) このガイドにつきまして、今後どのような形で周知をしていくか等、今後の対応について教えていただければと思います。
(事務総長) ガイドが企業のコンプライアンスプログラムの整備・運用の参考となりますように、まずは、事業者団体等を通じて周知していく必要があると考えております。また、当委員会には地方事務所もございますので、地方事務所を通じまして、地方の中小企業に対しても周知・広報に励んでまいりたいと思っております。先ほども御指摘いただきましたように、諸外国でもコンプライアンスに関する新しい動きがございますので、その辺りの情報収集・情報提供にも今後とも努めていきたいと思っております。
 また、今後、このガイドがどのように活用されていくのかを見た上で、さらにより良いガイドにアップデートすることも考えられるのかなと思います。
(問) これまで、違反を防ぐための企業の取組を支援するものとしては、経済取引局が行う実態調査といったアドボカシーがあるかなと思いますが、実態調査は、具体的に決めたテーマに基づいて、こういうことを行うと違反になりますよという提言が多いと思いますので、こういった独占禁止法全般に関しての取組を支援するような成果物としてはこれが初めてになるのでしょうか。
(事務総長) 難しい御質問なのですけれども、これまでコンプライアンスに関して我々が行ってきたのは、基本的にはいろいろなところでどういうコンプライアンス体制がとられているのかといった実態を明らかにすることが中心であったと思います。そういう観点からいたしますと、具体的にこういうものをモデルケースとして整備した方がいいといったことをお示しするのは、今まではなかったかなと思います。

以上

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