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令和6年3月6日付 事務総長定例会見記録

令和6年3月6日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

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[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和6年3月6日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

有識者と公正取引委員会との懇談会で出された意見等について

 本日、私からは、昨年11月及び12月に全国8都市で開催した有識者と公正取引委員会との懇談会についてお話しいたします。
 この有識者との懇談会は、公正取引委員会の委員や私が、全国の主要都市の有識者の方々と直接意見交換を行いまして、独占禁止法の運用をはじめとする競争政策への理解を一層深めていただくとともに、各地域の実情や公正取引委員会への御意見・御要望を承り、今後の独占禁止法等の適切な運用にいかしていくことを目的として、毎年開催しているものです。
 では、有識者からいただいた主な御意見等について、お手元の資料に基づいて御紹介させていただきます。
 まず、今回の懇談会では、中小事業者等の取引適正化に関する御意見を多く頂戴しております。
 公正取引委員会は、昨年11月に内閣官房と連名で、持続的な構造的賃上げを実現するため、中小事業者がその原資を確保できる取引環境の整備の一環として「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表するなど、中小事業者等の取引適正化のための取組を種々行ってきているところですけれども、配布資料の1頁目の「1⑴」の項目にありますように、適正な価格転嫁と賃上げの好循環の実現に向けた更なる後押しを求める御意見をいただいております。
 次に、デジタル・プラットフォーム関係につきましては、2頁目の「2」の項目にありますように、デジタル・プラットフォーム事業者は、利用者に対して取引上の地位が強いことが多いため、実態調査をお願いしたいといった御意見をいただいております。
 また、独占禁止法の運用に関しましても、3頁目の「3」の項目にありますように、より積極的に独占禁止法違反被疑行為の調査をお願いしたいといった御意見をいただいております。
 さらに、競争環境の整備のための取組に関しましては、「4」の項目にありますように、これまでに公正取引委員会が実施したニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査等の取組に対する肯定的な評価や今後の積極的な取組への期待もお寄せいただいております。
 公正取引委員会といたしましては、今回の懇談会でいただいた様々な御意見を踏まえまして、今後とも、独占禁止法等に違反する行為に厳正かつ効果的に対処するとともに、公正で自由な競争環境の整備に取り組んでまいります。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 今週、日産自動車が、公正取引委員会からの下請法に関する調査を受けて、下請事業者に対して下請代金から減額した分を返金したことを明らかにしました。まだ進行中の事件ではありますが、この件も踏まえて、こうした大企業が納入業者や下請事業者に不利益を与えることについて、どのような弊害が起きるのか、また、適正な価格転嫁の推進の面も含めて、どういったことを考えていく必要があるのか、その辺りのお考えをお聞かせください。
(事務総長) 公正取引委員会では、成長と分配の好循環の実現に向けまして、中小事業者等が賃上げの原資を確保できるよう、コスト上昇分の適正な価格転嫁に向けた政府全体での環境整備の一環として、これまで様々な取組を行ってきております。
 例えば、労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分を明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことにつきましては、優越的地位の濫用や下請法上の買いたたきにつながるおそれがあるといったことを明確化しておりますし、また、多数の取引先に対して協議することなく価格を据え置いていた企業名を公表するといった、従来にない取組によりまして、独占禁止法や下請法に違反する行為の未然防止を図ってきているところであります。
 また、令和5年11月には、先ほども話がありましたけれども、労務費転嫁の指針を公表し、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いて、価格転嫁の協議、交渉を行うといったことを求めてきております。
 令和5年にも特別調査を実施してきており、この中で協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者に対して注意喚起文書を送付しておりますが、令和4年の緊急調査と令和5年の特別調査を比較いたしますと、回答者数に占める送付件数の割合は4.1ポイント減少しており、一定程度価格転嫁円滑化の取組が進んでいると考えております。
 他方で、発注者側から積極的に価格協議の場を設けることが重要であることを周知徹底していくとともに、経営トップから価格協議の担当者まで取組を浸透させていくことが重要と考えておりまして、引き続き、効率的で広がりのある、粘り強い取組を進めてまいりたいと考えております。
 大企業かどうかにかかわらず、発注者側として、こういった価格転嫁に向けた姿勢を示していただくことが大事かと思っておりますけれども、公正取引委員会といたしましては、今後とも労務費転嫁の指針の周知徹底を進めるとともに、労務費の上昇分の価格転嫁について重点的に状況を把握するための調査を行うなどフォローアップを行ってまいりたいと考えておりますし、また、独占禁止法や下請法に違反する行為に対しましては、積極的に法執行を進めてまいりたいと考えております。
(問) 令和4年度に個別調査の結果を受けて、13社の事業者名を公表したと思いますが、今年度分の公表はいつ頃に行おうとしておられるのか、今の段階で目途あれば教えていただけますか。
(事務総長) 昨年の秋に、事業者名公表についての調査の進め方については方針を明らかにさせていただきまして、それに基づいて現在調査を行っているところでございます。結果につきましては、調査の進捗状況によるところですけれども、まとまったところで明らかにしていきたいと考えております。
(問) 年度内が目標ということでよろしいですか。それとも、そこにはこだわらずということですか。
(事務総長) 調査の進行度合い次第ということでありますけれども、そう遠くないタイミングになるのではないかと考えております。

以上

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