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令和6年3月27日付 事務総長定例会見記録

令和6年3月27日付 事務総長定例会見記録

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[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和6年3月27日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

競争政策研究センター(CPRC)の最近の活動状況について

 本日は、競争政策研究センター、CPRCと呼んでおりますが、こちらにおける最近の主な取組を四つ御紹介したいと思います。第一にディスカッション・ペーパーの公表、第二に検討会の開催、第三にシンポジウムの開催、第四に講演会の開催の四つでございます。CPRCの概要について記載しております、お手元の1枚紙も御参照いただければと思います。
 まず、ディスカッション・ペーパーにつきましては、CPRC発足当初からの取組でございまして、競争政策上の先端的な課題について、学識経験者等が研究活動の成果を執筆者の名義・責任で発表するものです。CPRCでは、「デジタル・プラットフォーム事業者によるエコシステムの形成・拡大」に関連するディスカッション・ペーパーなど、これまで98本のディスカッション・ペーパーを公表しております。
 次に、検討会につきましては、競争政策上の課題について議論するため、先端的ないし重要性の高い特定のテーマを定めた上で有識者の委員からなる検討会を開催しまして、報告書を取りまとめて公表しております。この報告書は、一種の政策提言といった役割も果たしているかと考えております。
 例えば、平成30年2月に公表されました「人材と競争政策に関する検討会」の報告書では、労働市場における競争政策上の論点に焦点を当てております。また、令和5年3月に公表されました、いわゆるグリーンガイドラインと呼んでおります「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」の中では、「業務提携に関する検討会」及び「データと競争政策に関する検討会」の報告書の内容が参照されております。
 次に、シンポジウムでございますが、こちらにつきましては、競争政策に関する国内外との交流拠点としての機能を果たすとともに、競争政策についての理解の増進を図るために、公開のイベントとして定期的に開催しているものです。シンポジウムでは、海外の競争当局担当者や国内外の有識者を招きまして、その時々の競争政策における先端的で重要な課題や関心を集めているトピックを取り上げています。
 昨年は、メタバースを取り上げましたほか、先日の定例会見でも御紹介しましたように、今月15日には生成AIを取り上げて第6回大阪シンポジウムを開催いたしました。
 最後になりますが、CPRCでは先端的な議論を踏まえて公正取引委員会の職員の能力・知識を高めるための活動としまして、主に職員向けの講演会を開催しております。講演会の資料につきましてはCPRCのウェブページで一般の方々にも御覧いただけるものもございます。
 CPRCは、平成15年6月に発足し、昨年の6月に20周年という節目を迎えております。CPRCの発足から、20年が経過し、日本の社会経済は、デジタル化の急速かつグローバルな変化の渦中にありまして、公正取引委員会を取り巻く社会環境は大きく変化しております。このような中、今後も研究成果の内外への発信、先端的なテーマを取り上げたシンポジウム等を開催することで競争政策上の課題等に関する議論・検討及びその共有を図ってまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 本日のテーマとは変わってしまいますが、アメリカではアップルに対する反トラスト法の訴訟があり、欧州ではメタ、アップル、グーグルに対しての調査等が始まり、ビッグテックに対する当局の動きが急激に活発になっていると思います。特に欧州でDMAの全面的な運用が始まってから1か月以内というスピードでこれら3社の調査に入ったことに関して、まず公正取引委員会がどのように受け止めているかを教えてください。
 また、現在日本でまとめられているモバイル・エコシステムの事前規制法案は、DMAを大きく参考にしていると言われていますが、最近のDMAの動きによって、こちらに与える影響が考えられましたら教えてください。
(事務総長) 外国の法執行のことでございますので、詳細についてはコメントを差し控えますけれども、一連の動きとしては、最近のデジタル化に起因する競争政策上の問題について、世界的にこれまでも議論されてきておりますし、法律の執行を含めて、競争政策上の措置が活発に採られてきており、欧州ではDMAという新しい法律ができるなど、また新たな局面を迎えているのかと思っております。いずれにしても、世界的にこれまで競争当局が取り組んできている課題に、しっかりと取り組んできているという動きの延長線上の話かなと思っており、日本の当局としても、世界の潮流に遅れないようにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 また、現在、新しい法律案についての取組も行っておりますけれども、デジタル市場におけるイノベーションの促進、あるいは消費者の選択肢を広げていくという観点では諸外国の動きと一致している話かと考えております。現在その法制度の準備を行っているところでございますが、法制度の概要につきましては、一定規模以上の特定のソフトウェアを提供する事業者を指定し、競争を制限するおそれのある行為の禁止等を定めるとともに、違反行為に対する公正取引委員会による命令等の規定を整備するといった内容について検討しております。大枠としては、DMA等と似ているのかと考えておりますけれども、規制の整備が先行的に進められております欧州を始めとした諸外国における状況も見極めながら、しっかりと検討を進めていきたいと考えております。
(問) 今検討が行われている事前規制につきまして、現在のデジタルプラットフォーム取引透明化法ではエンフォースメントのツールとして不足しているのではないかという一面があったと理解しており、DMAについても、どうやって執行するのか、実際に執行できるのかという議論が欧州の方でもあって、このような流れになっていると思います。日本で議論されているこの事前規制に関しても、執行の方に力を入れる必要性を強く認識していらっしゃるという理解でよろしいのでしょうか。
(事務総長) 法規制である限りは、しっかりと執行しないと規制の意味がないと思いますので、独占禁止法であれ、新たにできるであろうその法律であれ、その点では変わらないのかと思います。ただ、独占禁止法はいわゆる事後規制であり、それに対してDMAのような法律はいわゆる事前規制と言われており、執行の在り方が若干変わるところもあるのかと思います。現在のDMAの状況を見ておりますと、規制ができて、そのルールをきちんと遵守しているのかどうかということを調査として行っているものと受け取っておりますので、いわゆる事後規制の執行とは若干違う側面もあるかと思いますが、いずれにしても、それぞれの法制度に従って、行うべき執行をしっかりやっていくということと考えています。

以上

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