[配布資料]
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年9月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
公正取引委員会の令和7年度概算要求について
本日は二つのテーマについてお話ししたいと思います。まず、一つ目が、令和7年度予算の概算要求の話です。それから二つ目が、欧州委員会への職員の派遣についてです。
まず、一つ目について、8月30日に令和7年度予算の概算要求を行い、公表いたしました。公正取引委員会の令和7年度の概算要求額は、総額174億2200万円でありまして、前年度当初予算額と比較して52億3400万円、42.9%の増となっております。概算要求の主な内容ですが、お手元の資料の中段の表にありますように、一つ目の「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」につきましては、デジタル分野などにおける迅速かつ効果的な対応、価格カルテルや入札談合などに対する厳正な対処、国際的な企業結合事案等への的確な対応に必要な経費として、6億8000万円を要求しております。
二つ目の「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」につきましては、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の価格転嫁拒否に関する優越的地位の濫用行為、下請法違反行為等への厳正対処やその未然防止、本年11月に施行されるフリーランス法の効果的な執行や積極的な広報・相談対応による未然防止の取組等に必要な経費として、10億9700万円を要求しております。
三つ目の「競争環境の整備」につきましては、デジタル市場、グリーンを始めとする様々な分野における実態調査や、取引慣行の改善に関する提言等、いわゆるアドボカシーの実効性の強化に必要な経費、本年6月に成立いたしました、スマホソフトウェア競争促進法の施行準備や効果的な施行に必要な経費として、4億4400万円を要求しております。
なお、五つ目の「その他」には、令和7年度に予定しております、公正取引委員会の庁舎移転に必要な経費約44億円が含まれております。
続きまして、機構定員につきましては、「骨太の方針」や「新しい資本主義実行計画」において、スマホソフトウェア競争促進法の施行に伴う執行体制強化等が掲げられておりまして、それらも踏まえた要求をしております。
まず、機構につきましては、いずれも仮称ですけれども、スマホソフトウェア競争促進法の施行等に伴う体制の強化として、官房デジタル・国際総括審議官の新設、官房参事官(スマホソフトウェア競争促進法担当)の新設を、中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化や、競争政策の運営基盤の更なる強化に向け、企業取引課企画官(執行連携担当)の新設、また、官房総務課庁舎管理室の新設を要求しております。
また、定員につきましては、スマホソフトウェア競争促進法の施行に伴う執行体制の強化のため、35名の増員を要求するなど、所要の体制整備に向けた要求を行っております。
以上が、公正取引委員会の令和7年度概算要求の内容となります。
欧州委員会競争総局への公正取引委員会事務総局職員の派遣について
続きまして、二つ目のテーマですけれども、欧州委員会競争総局への公正取引委員会事務総局職員の派遣についてです。本年6月12日に参議院本会議において可決成立したスマホソフトウェア競争促進法は、6月19日に公布されました。12月19日には、本法律の規律の対象となる事業者の指定に関連する規定が先行して施行され、来年12月までに、指定事業者に対する義務等の規定を含め、全面的に施行されることとなっております。
公正取引委員会では、現在、スマホソフトウェア競争促進法に関する政令や規則、ガイドラインの策定のための検討を行うとともに、法執行のために必要な体制整備に向けた対応を進めるなど、本法律の施行準備を進めているところであります。アプリストア等を提供するデジタルプラットフォーム事業者は、世界的にビジネスを展開していることから、本法律の規制の実効性を確保するため、法整備を進める段階から海外の競争当局と意見交換を行うなど、緊密に連携をしてきたところであります。また、本法律の成立に当たっての国会の附帯決議におきまして、欧州を始めとする諸外国の競争当局等との連携強化を図ることが求められているところであります。
今般、このような国際連携を一層強化するため、法規制が先行する欧州委員会に、公正取引委員会事務総局の経済取引局デジタル市場企画調査室に所属する職員1名を派遣いたしました。当該職員は、今月から欧州委員会競争総局においてデジタル市場法の運用に関する業務に携わっておりまして、欧州委員会によるデジタル市場法の運用に係る経験や知見をスマホソフトウェア競争促進法の施行準備において活用するとともに、欧州委員会と緊密に連携しながら、本法律の実効的な運用につなげていきたいと考えております。今後ともスマホソフトウェア競争促進法の実効的な運用に向けて、欧州委員会を始め、諸外国の競争当局とは定期的な意見交換を行うなど、緊密に連携していきたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 2点お伺いします。まず一つが、欧州委員会競争総局への職員の派遣について、既に派遣されているということだと理解しましたが、いつ頃戻られる予定でしょうか。もう一つが、スマホソフトウェア競争促進法の関係で、国際連携とともに、国内の関係省庁との連携も成立過程の国会議論において求められており、それに当たっては連絡会議を設置するという御説明も成立時にあったと思いますが、それは現在どのように、何回開催されているのでしょうか。また、どのような点について、今後話し合われる予定かなど、現在可能な範囲で分かることを教えてください。
(事務総長) まず、派遣されました職員については、今月から業務を開始しているところであり、派遣の期間は約10カ月ということになっております。それから、各省庁との連携については、関係省庁との間においては、関係省庁連絡会議の設置について合意が得られております。今後、施行準備を進める中で、関係省庁連絡会議の開催を予定しているところでございます。この連絡会議の準備会合につきましては、6月24日に実施をしております。
(問) この連絡会議の進め方については、関係する省庁、例えば、セキュリティーや青少年保護、プライバシー等、それぞれに専門とする省庁があると思いますが、相対で調整を進めていくのか、全てのテーマに関して全関係省庁が集まって会議をしていくのか、進め方はどのようにお考えでしょうか。
(事務総長) それぞれの関係する分野につきまして、担当省庁と緊密に連携しながら業務を進めていくというのは日常業務においても行われていることでございまして、こちらの関係省庁連絡会議につきましては、詳しいことはまだ決まっておりませんが、これは関係者、関係省庁が一堂に会する連絡会議ということになりますので、関連する議題について、テーマを設定して議論していくということになろうかと思います。
(問) 3点お伺いします。1点目が、機構の関係で、経済取引局に新設される企業取引課企画官の目的や果たしてほしい役割について、改めてお伺いしたいと思います。2点目は、予算の中で、二つ目の区分の中小企業の価格転嫁の関連で、概算要求額が前年と比べて3割ほど増していて、結構割合が高いと思いますが、主にどの法律の執行関連の分野が多く占めるのか、もしお分かりでしたらお伺いしたいです。最後に、定員について、定員の増員が55名となっておりまして、うち35名はスマホ競争促進法に関するものだと思いますが、残りの20名ほどはどちらの増員を想定されているのでしょうか。
(事務総長) 企業取引課企画官については、現在、日本経済の最重要課題であります構造的賃上げを実現していく上では、中小企業の賃上げの原資を確保するために、適切な価格転嫁を、我が国の新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させていくことが不可欠であると考えられます。サプライチェーン全体に下請法の遵守を行き渡らせていく上では、公正取引委員会による取組にとどまらず、各事業所管省庁の人員等とも連携した、いわゆる面的な執行を行っていくことが重要と考えております。この事業所管省庁との連携につきましては、具体的には、各業法についての調査・監督権限を有している各省庁の人員にも下請法の調査の一端を担っていただくということを想定しているところ、実効的な連携を行っていくためには、各事業所管省庁との間で、それぞれの業界の状況も踏まえた上で、個別事案についての調査方針の調整、あるいは調査方法についての助言等を行うとともに、連携の取組が定着していくように、事務処理要領の策定でありましたり、事業所管省庁に対する研修の実施といった業務を行っていく必要がございます。こういった高度な新規業務の発生が見込まれますので、企業取引課企画官(執行連携担当)の新設を要求するということにしております。
それから、予算の二つ目の区分の中で、主に重要視されている法律などがあるのかという質問については、フリーランスの新しい法律がございます。その執行に関連する経費や、あるいは価格転嫁に関する調査経費といったものがございます。また、フリーランスの執行体制ですけれども、昨年度は、半年分の予算が付いておりますけれども、それを1年分にする必要もございまして、そういったところの増額もございます。
最後に、定員について、いわゆるデジタルの関係は、35名の要求をするということですが、それ以外に20名はどういう内容かという質問については、一つ目は、下請法の執行連携体制の強化のための体制整備ということで10名、それから、フリーランス法の執行体制の強化のための体制整備ということで、地方事務所にフリーランス課というものを新設するということで5名の要求をしております。また、競争政策の運営基盤の強化という観点で、一つは庁舎管理の業務が新しく入りますので、その関係で3名の要求、それから、DX推進体制強化ということで官房総務課に2名を置いていただくように要求をするという内容になっています。
(問) 欧州への職員派遣について、期間は10カ月ということで、日本のスマホソフト新法の運用の準備のためということだと思いますが、その理解でよいでしょうか。後任の方はいないのでしょうか。
(事務総長) 派遣期間につきましては、欧州委員会との協議を経て決定したものでございますが、まず、当方の新法の円滑な施行に向けまして、先行している欧州での経験や知見を吸収したいということで派遣をしております。今後、それが続いていくかどうかということにつきましては、欧州委員会との協議も必要でしょうし、当方のその必要性等も吟味をしていく必要があると考えております。
(問) これまでも、公正取引委員会から、東南アジア等には主に研修等の目的のために派遣があったと思いますが、ヨーロピアンコミッション、欧州委員会のDG Compには初めてでしょうか。
(事務総長) これまでも、欧州委員会を含め、アメリカの連邦取引委員会(FTC)、あるいは経済協力開発機構(OECD)などにも職員を派遣しておりまして、個別違反事件の審査業務などの実務研修として行っております。
以上