[配布資料]
開発途上国に対する独占禁止法及び競争政策に関する課題別研修の開催について
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[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年10月16日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
開発途上国に対する独占禁止法及び競争政策に関する課題別研修の開催について
本日は、開発途上国を対象とした課題別研修についてお話しします。
当委員会は、以前から競争法・競争政策の技術支援に力を入れておりまして、その取組の一つとして、国際協力機構(JICA)との協力の下、開発途上国を対象に競争法・競争政策に関する課題別研修を行っております。この課題別研修は、開発途上国の競争当局などの職員を対象に、日本の独占禁止法とその運用に関する知識を習得する機会を広く提供し、開発途上国における競争法の運用の強化に資することを目的としております。本研修につきましては、1994年度、平成6年度以降、ほぼ毎年度実施してきておりまして、これまでに67カ国、325名に対して計29回を開催した実績を有しております。すなわち、これまでの30年間で、全世界約200カ国のうち、およそ3分の1の国々に対して、競争法の制定や運用に関するサポートを行ってきたということになります。当委員会が実施する技術支援には、海外で開催されるセミナーに職員を派遣したり、職員を長期派遣するなどして、地理的に近い東アジアを中心に実施してきているものがございますけれども、これに加えまして、今回のようなJICAとの協力による枠組みを活用することで、アフリカや東欧といった広範な国々を対象とした支援も可能となっております。
本研修は、基本的に参加国からのニーズも踏まえつつ、その内容が決められますが、競争法の基本的な内容に加えまして、デジタル経済やサステナビリティといった現代的な内容も含んでいることを特徴としております。また、講義だけではなく、仮想事例を用いたグループディスカッションなども取り入れ、開発途上国からの参加者が、当委員会の職員や学識者から、我が国競争法に関する幅広い知識や経験を効率的、効果的に学ぶことができる内容となっております。当委員会といたしましては、開発途上国における競争政策が持続的かつ自立的に発展していくことができるよう、今後も継続して技術支援を実施してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 途上国に対する競争法の支援はいろいろされていると思いますが、今回の課題別研修とは別の研修があるのでしょうか。
(事務総長) 課題別研修と申しますのは、JICAの持っている一つの枠組みでございまして、JICAとの協力によって行っている研修ということであります。
(問) JICAとの共同の研修は、ほぼ1年に1回ということでしょうか。
(事務総長) そうです。
(問) それ以外の研修について、長期の職員派遣があることは理解していますが、それ以外にも公正取引委員会において時々実施しているような研修は、JICAではないのですか。
(事務方) それもJICAでございます。課題別研修と、一つの国に対して行う研修という、別のスキームがございますけれども、いずれも協力して行っているのはJICAとなります。
(問) つまり、JICAとの共同で行う研修については、テーマ別の場合もあれば、その国の実情に応じて実施する場合もあるということでしょうか。
(事務方) そのとおりです。
(問) 海外支援について、先ほど競争法の運用などの支援ということでしたが、どのような成果が上がっているのか、もし具体的にあれば教えてください。
(事務総長) そもそも、この開発途上国に対して技術支援を行う目的について、近年の東アジアを始めとする開発途上国の経済成長などに伴いまして、日本企業の海外進出が進展しているということがございます。進出先国におきまして、反競争的な行為によって市場メカニズムが十分に機能しない場合、あるいは進出企業の新規参入や事業拡大が妨げられるおそれがあるということ、また、国際的に事業展開を行う企業にとって、進出先の開発途上国の競争法制や法執行が他国と大きく異なることは大きな不利益となるということがございます。
公正取引委員会は、今申し上げたような観点から、開発途上国における競争法の導入強化及び法執行能力の向上を目的とした技術支援を重要な施策であると考えておりまして、JICAなどの協力も仰ぎつつ、様々な開発途上国向けの技術支援を行ってきているところでございます。
こうした技術支援を行うことによりまして、正に開発途上国における競争法の内容であったり、その執行面であったり、そういった面でのそれぞれの競争当局の能力が向上するという効果が出ているのではないかと考えております。そういった効果それ自体が世界に対する貢献にもなろうかと思いますし、先ほど申し上げた目的を果たしていけるのではないかと考えております。
(問) 報道によると、JICAの職員がフィリピンの入札について情報提供したということが言われており、公取委の管轄ではないかもしれませんが、公取委として何か関わることがあるのでしょうか。もし報じられていたことが本当であれば、国際的な談合のような形になると思いますが、こういうことには公取委は関与しないのですか。
(事務総長) JICAの職員によるフィリピンでの鉄道改修事業を巡る非公開情報の不正な漏えいについての話と思いますが、これは当方からコメントする話ではないと考えております。
以上