[配布資料]
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年12月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
OECD競争委員会12月会合及び関連会合について
本日は三つのテーマについてお話しいたします。第1に、OECD競争委員会12月会合及び関連会合についてです。第2に、令和6年度補正予算案についてです。それから第3に、アマゾンジャパン合同会社らに対する件に関するアンケートフォームの開設についてです。
まず第1に、経済協力開発機構、いわゆるOECDの競争委員会12月会合が、12月2日から12月6日まで、フランス・パリで開催されておりまして、当委員会からは青木委員、深町国際審議官などが出席しております。OECD競争委員会は、本会合、「競争と規制に関する第2作業部会」、それから「協力と執行に関する第3作業部会」を、それぞれ毎年2回、6月及び12月頃に開催しております。このほか関連会合として、OECD加盟国以外の国・地域も参加する「競争に関するグローバルフォーラム」や、アジア太平洋地域の競争当局の幹部などによる「アジア太平洋競争当局ハイレベル会合」を、毎年12月頃の競争委員会会合に合わせて開催されております。
各会合の議題は、加盟国によるその時々の問題意識などを反映して決まります。今回の会合では、幅広いテーマが議題として取り上げられ、当委員会からは、このうち「フードサプライチェーンにおける競争」、「国際的企業結合」などの四つのテーマについて貢献文書を提出し、議論に参加しております。
「フードサプライチェーンにおける競争」に関するセッションでは、昨今の食品価格の高騰の背景事情の一つとして、いわゆる市場の失敗が存在するのではないかとの問題意識の下で、多様な取引で構成されるフードサプライチェーンにおいて競争政策がどのような役割を果たすことができるのかなどについて、学識経験者を交え、多数の競争当局の間で活発な議論が行われております。同セッションにおきまして、日本からは青木委員が、公正取引委員会による同分野における独占禁止法違反事件を紹介しております。
また、青木委員は、国際競争ネットワーク、いわゆるICNとOECDの活動内容の調整や連携を担うICNコーディネーターに就任しておりますけれども、ICNにおける「農業及び食品市場における競争上の問題」に係る特別プロジェクトの報告書案の概要を紹介いたしました。当委員会といたしましては、OECD競争委員会を含む国際的な枠組みにおいて、引き続き積極的に議論に参加し、貢献を行っていきたいと考えております。
令和6年度補正予算案について
二つ目のテーマは、令和6年度の補正予算案についてです。先週11月29日に令和6年度補正予算案が閣議決定されましたので、公正取引委員会における補正予算案の概要について、配布資料に基づきまして御説明いたします。当委員会においては、デジタル庁一括計上分も含めまして、総額16億2500万円を要求しております。
主な内容ですが、第1に、「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」に関し、令和8年度に調達を予定しております次期審査情報解析システムについて、より費用対効果の高いシステムを構築するための検討に必要な経費として2000万円を要求しております。
第2に、「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」に関し、労務費転嫁指針の周知・徹底状況の把握に向けたフォローアップのため、価格転嫁円滑化の取組に関する調査の速やかな実施、本年11月1日に施行されました「フリーランス・事業者間取引適正化等法」について、発注事業者及びフリーランス双方に対する大規模な周知広報活動の実施、それから、映画・アニメ分野におけるクリエーターの取引環境に係る実態調査の実施に必要な経費として、1億8600万円を要求しております。
第3に、「競争環境の整備」に関し、令和7年12月までに全面施行予定の「スマホソフトウェア競争促進法」の実効的な運用に向けまして、国際連携強化のためのグローバルフォーラムの開催に必要な経費として、1600万円を要求しております。
第4に、「競争政策の運営基盤の強化等」に関し、適切な価格転嫁などに係る公正取引委員会の取組について、メッセージ性のある動画などを活用した広報の強化、令和7年度中に予定している公正取引委員会の庁舎移転を着実に進めるための施設整備などに必要な経費として、14億300万円を要求しております。
以上が当委員会から要求しております補正予算案の概要となります。これらの事業を速やかに実施し、中小企業等の賃上げ環境の整備などにつなげてまいりたいと考えております。
「アマゾンジャパン合同会社らに対する件」に関するアンケートフォームの開設について
それから、三つ目のテーマは、アンケートフォームの開設に係る話でございます。先日の会見で、アマゾンジャパン合同会社は、自社が運営する「Amazon.co.jp」のウェブサイト上で、「おすすめ出品」の対象となる商品を掲載する表示スペースを設けており、このウェブサイトにおける出品者に対し、出品する商品の当該スペースへの掲載に関連しまして、第1に、当該商品の販売価格を「競争力のある価格」、「参考価格」などと称する価格とさせる、第2に、「フルフィルメント by Amazon」(略称FBA)と称するサービスを利用させることにより、出品者の事業活動を制限している疑いがあり、このことは独占禁止法に違反する疑いがあるということで審査を行っていることをお伝えいたしました。
本日、本件審査活動の一環として、当委員会のホームページに本件専用のウェブアンケートのページを開設し、「Amazon.co.jp」に出品している事業者を主たる対象として情報収集を実施することにいたしました。このウェブアンケートは、当委員会のホームページのトップページに設けておりまして、トップページの「アマゾンジャパン合同会社による独占禁止法違反被疑行為に関する出品者からの情報・意見の募集について」という欄からアンケートに回答することにより情報提供いただけます。こちらが実際にホームページに出ているトップページでございます(公正取引委員会のホームページのトップページの該当部分に赤枠を記載したフリップを掲示。)。この赤枠で囲っております部分、ここからアンケートに御回答いただけるというものでございます。
なお、このウェブアンケートに寄せられた情報につきまして、より具体的な内容をお尋ねすることもございますので、回答に当たっては連絡先の御記入をお願いしております。一方、御回答いただきました氏名などの情報につきましては、アマゾンジャパン合同会社を含め第三者に開示することがないことはもちろん、情報提供をしたことが疑われることのないよう細心の注意を払ってまいります。また、寄せられた情報・意見につきましては、本件審査のためのみに使用し、それ以外の目的では利用いたしませんので、是非とも、ありのままの、そして具体的な情報をお寄せいただけますよう、よろしくお願いします。
私からは以上です。
質疑応答
(問) アマゾンの件で、特設ウェブサイトを開設してアンケートを取られたということですが、これまでおよそ何件のデータが集められていて、どのようなことを伝えられているのかといったことを教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 先週の定例会見におきまして、出品者からの一時的な情報提供受付窓口ということで御紹介させていただき、実際情報提供がどれぐらいあったのかというお尋ねかと思いますけれども、事件審査の内容に関わることでございますので、情報提供の有無を含めて回答は差し控えたいと思います。
(問) アマゾンに関連して、先週もお聞きしたところで繰り返しになる部分もありますが、改めて、公正取引委員会として、どのような情報提供を望んでいるのか、また、こうしたプラットフォームを提供している会社に対しては、どのように向き合っていこうとしているのかを教えてください。
(事務総長) 今回のアンケート内容ということでございますけれども、「Amazon.co.jp」の出品者にとっては、カートボックスなどと呼ばれている「おすすめ出品」の表示スペースに商品が掲載されることが重要である一方で、このカートボックスへの掲載をめぐって、出品者の事業活動を制限しているのではないかとの疑いがございます。この疑いに関しまして、出品者の方々から、その実態に関する情報を広範囲に収集したいと考えております。
プラットフォームに対してどういう向き合い方をするのかという点でございますけれども、これにつきましては、独占禁止法に違反する疑いがある場合には、しっかりと審査をしていきたいと考えております。
(問) これまでフォームが開設される前から、既にいろいろ意見が来ていると思いますが、どのような反応があって、審査に役立てることができそうか、感触をお話しできる部分があれば教えてください。
(事務総長) 当然、これまでも様々な情報が入ってきているということはありますけれども、それについては今後の審査に有効に生かしていきたいと考えております。
(問) 補正予算について、「競争環境の整備」の箇所においてスマホ新法の運用に向けたグローバルフォーラムの開催とありますが、これについて、いつ頃、どのような企画があるのか、もし説明できることがあれば教えてください。
(事務総長) 今回の「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」におきまして、第1の柱の一つとして、「潜在成長力を高める国内投資の拡大」ということが掲げられております。また、いわゆる骨太の方針2024におきましても、「投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応」のDXに係る取組の一環として、公正取引委員会は、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」、いわゆるスマホ新法でございますけれども、これを迅速かつ効果的に運用することを求められておりまして、これらの実施に必要な経費ということでございます。
具体的には、我が国が主導して、諸外国の競争当局などの担当者を招へいするなどいたしまして、デジタル分野の事前規制に関するフォーラムとしたいと考えております。このグローバルフォーラムの開催を通じまして、スマホ新法と同様の法規制を先行運用している海外当局から、実務上の経験や知見に関する情報収集を行うとともに、実務上の課題に対する情報交換や執行連携を行うことができる関係を構築することによりまして、スマホ新法の迅速かつ効果的な運用につなげていきたいと考えております。
(問) このイベントが開催されるのはいつ頃かは決まってるのですか。
(事務総長) 3月までにと考えておりますけれども、今後の準備次第ということになります。
(問) 4番目の「競争政策の運営基盤の強化」が、額としては一番大きいですけれども、これは施設整備に関わることですか。具体的な中身について、説明できる部分があれば教えてください。
(事務総長) この項目の中で一番大きな金額が、公正取引委員会庁舎の施設整備に係る経費で、これが13億円強ございます。
(問) 庁舎移転は令和7年中ですか。
(事務総長) そうです。令和7年度に庁舎移転が行われる予定です。
(問) 今年の予算というのは、その準備ですか。
(事務総長) そうです。そもそも公正取引委員会の抜本的な体制強化というのを求められておりますけども、これに伴いまして、業務遂行の基盤である執務環境を整備する必要もございます。令和7年度に予定しております庁舎移転を確実に実施するために、令和6年度中の新庁舎での工事の着手に必要な経費ということで計上しております。
(問) 新庁舎は公取委だけでなくて、ほかの省庁も入るのですか。
(事務総長) ほかの省庁も入ると聞いておりますが、詳細は把握しておりません。
(問) オンラインアンケートの件で、先週の会見では、このウェブサイトを数週間以内に開設するということをおっしゃっていて、本日開設されましたが、開設期間はどれぐらいでしょうか。また、元々はバイボックスに関する意見を提出するということが開設の目的だったと思いますが、今まで寄せられている意見について、今のところどのような効果が上がってるとお考えでしょうか。
(事務総長) まず、先週の会見において、ウェブアンケートを実施すると申し上げて、開設までに1、2週間かかりますと申し上げましたが、その開設ができたということで、本日お知らせをさせていただいたということでございます。このウェブアンケートをどれぐらい開設しているのかという期間の質問だと思いますけども、本件の審査期間中は設置しておく予定になっております。アンケートに御協力いただける場合には、出品者の方々には、なるべく早い段階で回答いただきたいと考えております。
(問) バイボックスの実態解明については、いかがでしょうか。オンラインのウェブアンケートを開設したことによって、出品者を通じて有益な情報というものがある程度寄せられているのでしょうか。
(事務総長) 正に情報収集窓口ということで開設させていただいたということでございますので、なるべくたくさんの情報をいただきたいと考えております。それが真相解明につながっていくと考えておりますので、是非積極的な御応募をいただければと思っております。
(問) 情報提供の呼び掛けはグーグルに続いて2件目で、グーグルのときは情報の提供フォームまでは設置しておらず、こういう審査での情報提供の呼び掛けで設置したのは初めてだと思いますが、2回目でソフィスティケイトされたのか、それとも気合の表れなのでしょうか。
(事務総長) 気合はいつも入れておりますので、ソフィスティケイトされたということかと考えております。
以上