[配布資料]
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年12月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
競争政策研究センター第7回大阪シンポジウムの開催について
本日は第7回大阪シンポジウムの開催についてお話しいたします。競争政策研究センターが令和7年1月24日に開催いたします第7回大阪シンポジウムにつきましては、1月24日金曜日、大阪府内の会場で開催いたします。本日、参加申込みの受付を開始いたしました。また、オンラインでも御参加いただけます。
本シンポジウムのテーマは、「独占禁止法事件における民事訴訟」です。独占禁止法では、独占禁止法違反による被害を受けた事業者や消費者が自らの力で被害を防止したり、損害を回復するための措置、民事的救済措置とも言いますけれども、差止請求と損害賠償請求について定めております。本シンポジウムでは、これら請求を含む独占禁止法に関する民事訴訟の日本における活用状況や、更なる活用に向けた課題、公正取引委員会が民事訴訟において果たすべき役割や海外との比較などについて、独占禁止法の研究者及び実務家による講演、パネルディスカッションを行います。
独占禁止法における民事的救済制度は、平成13年(2001年)に整備されてから、おおむね四半世紀が経過いたしますけれども、これが十分に活用されていないという意見や、その後の公正取引委員会による執行や提言などが民事訴訟に一層活用されることを求める意見などもございまして、本シンポジウムにおいて、今後の民事的救済措置の在り方などについて有識者による議論が行われることは大変意義があるものと考えております。
本シンポジウムにおける登壇者や講演テーマなど詳細は、お手元に資料をお配りしておりますけれども、関西経済連合会の後援を得まして、大阪弁護士会、大阪商工会議所、電子情報技術産業協会、公正取引協会、神戸大学社会システムイノベーションセンターなどとの共催により開催するものでございます。奮って御参加いただければと思います。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 第7回シンポジウムの内容について、先ほどの御説明では、2001年に整備されてから、民事訴訟などが活用されていないとのことですが、改めて、2001年に何が整備されて、どのような形で活用がされていないのかということを教えてください。また、改めて今回の第7回シンポジウムの目的について教えてください。
(事務総長) 独占禁止法における民事的救済措置でございますけれども、これは平成13年に整備されたものでございます。差止請求につきましては、独占禁止法24条で定めるものでございますけれども、不公正な取引方法に該当する行為について、利害を侵害又は侵害されるおそれがある者は裁判所に対して差止めを求めることができるという制度でございます。差止請求が提起された場合には、裁判所は公正取引委員会に通知することとされておりまして、そのほか公正取引委員会に対し、法律の適用や必要な事項についての意見を求めることができるということになっております。この差止請求は、平成13年に初めて導入されたものでございまして、それ以前は、独占禁止法違反事件を差止めできるのは公正取引委員会だけであったということでございます。
それから、損害賠償請求につきましては、独占禁止法25条で定めるもので、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定若しくは国際契約をした事業者若しくは事業者団体に対して、排除措置命令又は課徴金納付命令があった場合に、その行為により損害を受けた者が損害賠償を求めることができるというものでございまして、故意、過失の有無にかかわらず、事業者又は事業者団体は損害賠償の責任を負うということになっております。
平成13年以前は、被害者が損害賠償を求めることができるのは、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法を行った事業者のみであったということでございます。損害賠償が提起された場合には、裁判所は公正取引委員会に対して違反行為によって生じた損害額について意見を求めることができるとされております。
今回のシンポジウムの目的や意義については、本シンポジウムでは差止請求などを含む独占禁止法事件に係る民事訴訟について、日本における活用状況、更なる活用に向けた課題、それから、公正取引委員会が果たすべき役割を明らかにするものというものと位置付けております。
現状、独占禁止法で定めるこの差止請求や損害賠償請求は、十分に活用されていないのではないかといった御意見、あるいは、この民事的救済制度は、平成13年に整備されてから、おおむね四半世紀が経過しますけれども、その後、公正取引委員会は多分野にわたる執行や提言などを行っておりまして、これらを独占禁止法事件に係る民事訴訟に一層活用することを求めるといった御意見もあるということでございますので、様々な関係者の方々にお集まりいただき、本シンポジウムでこのような内容について検討し、今後の民事的救済措置の在り方や、あるいは、公正取引委員会が果たすべき役割などを明らかにするといったことを考えております。こうしたことによりまして、独占禁止法違反行為による個々の被害の救済や、同法違反行為の効果的な抑止策を検討するという点からも意義があるものと考えております。
(問) 民事的救済制度が十分に活用されていないという意見が外部から寄せられていることについて、考え得る理由や原因として思い当たるところはありますでしょうか。
(事務総長) 私人の方が使う制度ということですので、私人の方がどのようなところを考慮して余り活用されていないのかというのは、私どもでは考えにくいところではございますが、いずれにしろ、こういう制度が独占禁止法の中にございまして、違反行為によって被害者の適切な救済を図るということが可能でありますし、また、違反行為に対する抑止的な効果の強化も期待されるものでございますので、こうした独占禁止法で認められた手段を採ることができるということを広く知っていただき、制度が活用されることを期待したいと考えております。
以上