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令和7年12月17日付け 事務総長定例会見記録

令和7年12月17日付け 事務総長定例会見記録

[配布資料]

なし

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和7年12月17日(水曜)13時30分~於1106会議室)

スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」に係る申告フォームの設置、解説動画の公開及びグローバルフォーラムの開催について

 今回の総長定例会見から、この新しい庁舎で行います。今週の月曜日に、委員会と官房の一部がこちらの新しい庁舎に移ってまいりました。本局全体が新しい庁舎に移るまでにはもう少し時間が掛かりますが、これからも引き続きよろしくお願いいたします。
 では、本日のお話ですけれども、明日、12月18日に全面施行となりますスマホソフトウェア競争促進法、いわゆる「スマホ法」についてお話をしたいと思います。
 スマホ法は、セキュリティの確保やプライバシーの保護などを図りつつ、競争を通じて多様な主体によるイノベーションが活性化し、スマホユーザーが多様なサービスを選択できる状況を実現し、広く国民が恩恵を享受できるよう、競争環境を整備することを目的とした法律です。この法律は、昨年6月に国会で成立しまして、これまで公正取引委員会では、全面施行に伴い必要となる政令、公取委規則、ガイドラインを策定するなど、実効的な法運用に向けた準備を進めてまいりました。スマホ法は明日から全面施行になりますけれども、公正取引委員会は、本法の円滑かつ適切な運用を行ってまいります。
 続いて、明日からいよいよスマホ法が全面施行されるということで、法運用のための取組について御紹介いたします。
 1点目は、スマホ法に係る申告フォームの設置、2点目がスマホ法の解説動画などの公開、3点目が、来年の1月に開催されます、「第2回デジタル競争グローバルフォーラム」です。
 まず1点目、スマホ法に係る申告フォームの設置ですけれども、スマホ法の規定に違反していると思われる事実に関する情報をお持ちの皆様からの情報を収集・把握するために、明日12月18日に、申告フォームを公正取引委員会のホームページに設置いたします。スマホ法の規定に違反していると思われる事実について、アプリ事業者などの事業者だけでなく、一般消費者の皆様からも、広く情報提供をお待ちしております。
 それから、2点目は、スマホ法の解説動画などの公開についてです。公正取引委員会では、これまでもスマホ法のポイントを全面施行100日前から毎日Xやフェイスブックで投稿するカウントダウン投稿を行うことや、インターネット広告の実施などによってスマホ法の内容を国民の皆様に広くお知らせするよう努めてまいりました。全面施行を月内に控えた12月1日には、スマホ法の内容を解説した解説動画や、皆様のスマートフォンにも表示される選択画面、いわゆるチョイススクリーンについての特設サイトを公正取引委員会のウェブサイトで公開いたしました。個々の内容の詳細は、ウェブサイト上のスマホソフトウェア競争促進法についてのページを御覧いただければと思いますが、今後も、積極的な広報活動を通じて、国民の皆様に、より一層、スマホ法に対して親しみを持っていただき、一人でも多くの方に、スマホ法に対する理解を深めていただけるよう、引き続き分かりやすい情報発信に努めていきたいと考えております。
 3点目は、来年の1月30日に第2回デジタル競争グローバルフォーラムを開催いたします。このフォーラムは、各国当局との国際連携を強化し、今後のデジタル市場における規制に関する議論を我が国がリードするためのものでありまして、今年の1月に第1回を開催しました。関係事業者等への周知啓発を図る観点から、海外当局の職員や学識経験者、実務家のほか、関係事業者や団体にも参加していただき、広く多様な議論を公開の場でしていただく予定です。具体的な議論の内容としては、当局間の国際協力に加えて、プラットフォーム型経済においてスタートアップがいかに成長するかを、いわゆるビッグテックとスタートアップを交えて議論することなどが予定されております。本日、公正取引委員会のウェブサイトで参加申込みの受付を開始いたしました。御関心のある方は、どなたでも御参加いただけます。現地会場では約180人の方に御参加いただけるほか、オンラインでも御参加が可能です。また、会場参加とオンライン参加ともに日英の同時通訳に対応しております。本フォーラムへの申込方法や登壇者については、先ほどもお伝えした公正取引委員会ウェブサイトのスマホソフトウェア競争促進法のページの中のグローバルフォーラムのページで御案内しております。登壇者については、一部調整中の方もいらっしゃいますけれども、随時、情報を更新してまいります。どうぞ奮って御参加ください。なお、このフォーラムの前日には、各国当局スタッフの間で、最近の活動状況や今後の課題等について率直な意見交換、情報交換を行う予定です。
 このように、公正取引委員会は、スマホ法の完全施行に向けて、情報収集、周知啓発活動、また、海外当局との連携について、入念な準備を行ってきております。明日の完全施行以降は、これらの取組を最大限生かしつつ、スマホ法を円滑かつ適切に運用し、広く国民が恩恵を享受できるよう努めてまいりたいと考えております。
 冒頭、私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 発表外のことで恐縮ですけれども、11月26日に、長野県のガソリンカルテル事件を巡って、公取委が、長野県石油商業組合の本体に対し、支部のカルテル行為を事実上容認していたとして、コンプライアンスの対応を求める申入れをされました。その後、12月5日になって、組合の理事長が会見を開いて、事実上容認していたという公取委の評価については認識の差があるとして、カルテルを容認しているという認識はなかった旨の発言をされました。これに対して、可能でしたらコメントをお願いします。
(事務総長) 長野のカルテル事件ですが、御指摘のように、公正取引委員会から長野県石商に対して申入れをしたところです。その背景としては、今回の違反行為の主体は北信支部であったわけですが、長野県石商も、北信支部が価格の変更に関する連絡をしていたことについて把握していたということであり、公正取引委員会としては、事実上違反行為を容認していたと判断して申入れをしました。公正取引委員会は、一定の証拠に基づいて申入れをしているものでありますから、ぜひ、そういったことを真摯に受け止めて、これからの対応を進めていただきたいと思っています。
(問) スマホ法では、対話を通じた法運用を行うということで、各社と調整を続けていらっしゃると思いますが、取材した感じですと、詰めるまでにだいぶ時間が掛かっていたようですが、全部間に合ったという認識でいいのでしょうか。
(事務総長) 明日が全面施行となるわけですけれども、対象となる指定事業者、つまりグーグルなりアップルとは、これまでも、法の遵守のためにどういったことをしていただくべきか、あるいは、どういったことを行えば法が遵守されたと考えていいかということに関しては、いろいろな議論をしてきましたが、そういった議論は、全面施行後も続いていくと思っております。対象となる事業者においては、今後速やかに今回の新しい法律の遵守のための取組を行っていただきたいと思っているところでございます。
(問) アプリ事業者の中には、例えば、外部決済への誘導とか、アプリ内決済についての他のやり方の導入が、スマホ法の施行日である18日からできるものだと期待している事業者も多いと思うのですが、一方で、スマホ法の規定においては、正当化事由が置かれていたり、若しくはシステムの利用料的な意味合いで別の形で金を取ることは、ある程度容認されていると思います。それらの点が、今現在決まっていなかったら事業者的にはたまったものではないと思う部分もあると思いますが、その点はどうなっているのでしょう。
(事務総長) 法律の中の個別の項目について、現段階、あるいは明日以降、遵守がなされているかどうか、準備がどういった状況かということについて、コメントすることは控えたいと思います。ただ、先ほど申しましたとおり、関係する指定事業者との議論、あるいはそれ以外の関係する事業者との議論を継続していく中で、この新しい法律の遵守がしっかり図られるように進めていきたいと考えています。
(問) その辺が決まっているかどうかについてコメントできないのか、それとも、その辺は決まっている、どういう対応になっていくかは全部詰められてはいるけれども、公取としてはコメントしないのか、どちらでしょうか。
(事務総長) 前者といいますか、そういったことも含めて、コメントは控えたいというところでございます。
(問) 分かりました。あと、これまでにもいろいろなところで取材させていただいていますが、DMA(デジタル市場法)だと、アップルが、従前提供されていたアップル製品の機能の一部を制限してしまうというような副作用もありましたけれども、日本では大丈夫かどうか、改めてコメントをお願いします。
(事務総長) DMAについて、いろいろな機能へのアクセス制限に関連して議論があるということは承知しております。ただ、EUと日本の違いもありますし、世界各国でどういったサービスを展開するかは、それぞれの事業者の判断に拠るところもあると思いますので、お答えすることは難しいところがあります。
 その上で、機能へのアクセス制限に関連する問題という意味で言えば、今回のスマホ法では、セキュリティの確保などのために必要な措置を講ずることができるといった規定も置かれており、DMAとは違うところもあるということだと思います。そういった点も踏まえて、指定事業者において適切に判断されることになると考えております。
(問) DMAほどの厳しい機能制限は起こりにくいという認識でしょうか。
(事務総長) そこは、各指定事業者の対応を見てみる必要があるところだと思います。
(問) ブラウザや検索エンジンは世の中にたくさんあると思いますが、チョイススクリーン上に表示される順番について、指針やガイドラインのようなものがあるのでしょうか。
(事務総長) はい。先ほど少しだけ触れましたが、今回の新しいスマホ法に関連して、指針を策定しております。指針は今年の7月に成案を得ていますが、指針の中で、チョイススクリーンに表示するときの考え方についても詳細に記載しています。もし詳しい内容をお知りになりたい場合には、担当に聞いていただければと思います。
(問) アプリストアに関して、Google PlayやApp Store以外のアプリストアを第三者が作ることができるようになる中で、既にそのように自らでアプリストアを作りたいという問い合わせが、日本のIT企業などから公正取引委員会に入っていますか。
(事務総長) まず、今回の新しい法律を契機として、日本の事業者ではないですが、アプリストアを作りたいと表明した事業者がいることは、当方でも承知しております。日本の事業者でそういったところがあるかについては・・・。
(事務方) 日本の事業者からも、何社か問い合わせが来ているということです。
(問) 最後に、先ほどの申請フォームの役割ですけども、アプリを提供する様々な事業者がアップルやグーグルにアプリを審査され、リジェクトされるというやりとりがある中で、リジェクトされた理由が今回のスマホ法に照らし合わせたら、これはよくないのではないかと事業者が思ったときなどに、申請フォームを使って申し入れができる、そういう役割があるという理解でよろしいのでしょうか。
(事務総長) はい。リジェクトがどういった背景で行われているかにもよりますが、スマホ法第6条にアプリ事業者に対する不公正な取扱いの禁止があります。条文自体はやや抽象的な部分もありますが、先ほどお話した指針などに照らして問題があると考えられる場合には、公正取引委員会に申告いただければと思っております。
(問) スマホ法について、明日までに対象事業者は報告書を提出することになっているのかと思いますが、もう既に来ているのでしょうか。また、報告書は、公表できない部分を削除して公表されるかと思いますが、大体の見通しについて教えてください。
(事務総長) いわゆる遵守報告書と我々が呼んでいるものですけれども、今のところはまだ来ておらず、明日提出されるかなと思っているところです。公表については、御指摘のあったとおり、事業者の秘密情報を削除した上で公表することになりますが、中身を見てみないとどの程度のものなのかも分からないものですから、今の段階では、いつ頃公表するというめどをお示しするのは難しいと思っております。
(問) スマホ法について、明日全面施行で、これまでアップル、グーグルと協議を長い間続けてこられたということなのですが、全面施行されると、ある種、フェーズが変わるというか、取締りの側面が強くなると思います。今後も協議を続けていく場合に、姿勢がどう変わるのか、議論の中でどういう変化があり得るのかをお伺いしてもよろしいでしょうか。
(事務総長) 指定事業者には法令遵守のために、しっかり対応していただくわけですけれども、全面施行後も、それぞれの指定事業者と引き続き緊密なコミュニケーションをとっていきたいと考えております。その上で、問題となり得る行為が改善されないであるとか、この法律に規定された違反行為が認められるというような場合には、公正取引委員会の調査権限も法律で規定されていますので、そういったものなどに基づいて必要な調査を行っていくということになろうかと思います。
(問) 別件で日本郵便についてお伺いします。日本郵便が、フリーランス法が定める取引条件の明示義務に違反した疑いのある事案が、本社、支社で計380件、対象となるフリーランスが223人に上ったということを、13日に朝日新聞は報じました。翌日に日本郵便もこの内容について認めています。フリーランス法の根幹規定に関する違反の疑いであって、その規模も大きいことが想定される事案ですけれども、この件についての御所感を伺えますか。
(事務総長) 個別の事案については、私から何か申し上げることは控えたいと思っております。
(問) この違反の疑いについては、日本郵便が社内調査をした結果、把握したものです。一方で、同様にフリーランスとの取引がある郵便局が全国に2万局あるわけですけれども、今回の社内調査では郵便局は対象とされておらず、かつ、この違反の疑いを把握してから、日本郵便本社は、郵便局に対して、その調査の結果あるいは違反の疑いがあるということについて説明をせず、かつ注意喚起もしてなかったということも本日報じました。なかなか個別の事案についてお答えいただくのは難しいとは承知していますが、こういう状況を踏まえて、郵便局分を含めて、日本郵便の今回の件で、調査を行うような考えがあるかどうか、お伺いできますでしょうか。
(事務総長) 同じ答えになってしまい申し訳ないですが、個別の事案になりますので、お答えは控えたいと思います。
(問) 関連して最後に1点ですが、フリーランス法は昨年11月に施行されて1年1か月ちょっと経ちますが、これまで勧告も6件、指導も多数されています。フリーランスとの取引でトラブルとなるようなことを防止するためのものである、取引条件を明示するという根幹規定に関する違反がかなり多く確認されて、調査の結果、勧告や指導がされている状況にあると思います。この根幹規定に関する違反が、これだけ多数に上っていることについて御所感をお聞かせいただけますか。
(事務総長) 過去、この数か月で勧告案件が出てきているわけですが、御指摘のとおり、取引条件の明示の問題がかなり多くを占めています。その理由の一つはそもそもフリーランス法の周知がまだ十分ではないこともあるのかなと思います。これからも、引き続きしっかり周知を行っていかなければいけないと思います。理由のもう一つは、そういった周知が会社単位では届いていて、法務部門であるとか、上層部には理解されていたとしても、現場ではしっかり受け止められていないところにあるのかもしれません。フリーランスの取引に関わる事業者の方々には、ぜひ、この法律の趣旨等の理解を徹底していただくようお願いしたいと思っています。
(問) 話が戻ってしまって恐縮ですが、スマホ法のチョイススクリーンについてお伺います。新しい法律が施行されてみないと分からない部分かと思うのですが、チョイススクリーンの表示がされても、消費者の方は、アップルやグーグルなど、今まで使っていたブラウザや、有名で知っている検索エンジンを選ぶ人が多くなる可能性もあるのかなと思います。チョイススクリーンがこれから表示されて、消費者が選択できるようになることの意義や、消費者にどういうメリットがあるのかをお聞かせください。
(事務総長) スマートフォンでは、特定のアプリやサービスなどがユーザーの選択によらずにデフォルトになっている場合には、ユーザーが特定のアプリやサービスを変更せずにそのまま使っていく、「現状維持バイアス」という言い方をする場合もありますが、そういった傾向はあると思います。そういった傾向がある中で、ユーザーの選択の機会を確保し、アプリやサービスについての競争を促進していくことが、チョイススクリーンを表示することの狙いです。おっしゃるように、突然、明日から、あるいは数週間後に世界が変わるということにはならないかもしれませんが、ユーザーにとっての選択肢をより明確に提示していくことで、アプリなりサービスの選択肢があるということを、いろいろな消費者の方に認識してもらって、それぞれの特徴なども見ながら、自分の好みあるいは考え方に沿ったものを選んでいただくことが広がっていくといいのかなと思っています。
(問) 先ほど、サードパーティーのアプリストアの打診が何件かあったという話がありましたが、実際に設置されるかは別として、サードパーティーのアプリストアによって競争なり何なり起こることへの期待等ございましたらコメントをお願いします。
(事務総長) これまでアプリストアの競争がなかった、あるいはほとんどなく、それぞれ、「アンドロイドの世界」あるいは「iOSの世界」となっていた中で、第3のアプリストアが出てくるということの意義は大きいと思いますし、それによって、手数料を含めた様々な意味での競争が活発になっていくことは、我々としても期待しているところであります。
(問) 言いづらい立場かもしれませんが、国内事業者から同様に手が挙がればよいなといった期待はありますか。
(事務総長) 国内事業者も含めて、ぜひ、手が上がっていくといいのかなと思っているところです。
(問) DMAの運用をみていると、これまでにもいろいろ細かく直しては叱られ、アプリ事業者をTier1、Tier2に分けて複雑な手数料の仕組みを作っては、また叱られてというように、いたちごっこではあるが、当局の指摘にちょこちょこと対応している展開がみられます。今回、スマホ新法でも事前規制への対応などいろいろスピード感を求める部分は非常にありますが、実際のところ、期待している部分、若しくは期待できそうな部分はどこにありますか。
(事務総長) もし現状が今回の新しい法律にフィットしないのであれば、どういったスピードなり、手順で直していくのかというのは、それぞれの指定事業者が判断していくことだと思います。我々としては、それがスムーズにいくように、コミュニケーションを欠かさずに、彼らとも建設的な議論をしていきたいと思っているところです。
(問) 例えば、遵守報告書を見てチェックしていくほか、申告フォームを活用して確認することも重視しているということでいいでしょうか。
(事務総長) 申告フォームからの情報も見た上でということですね。遵守報告書で何が書いているかということも含めて、いろんな議論をしていくということになると思います。
(問) スマホ法に関連して何点かお伺いします。先ほどからの御質問にも少し出ていましたけれども、協議がかなり難航したというふうに取材で承知しております。指定事業者であるアップルやグーグルから、規約の変更であったりとか、具体的なルール作りについての表明は、足元ではまだないと認識しておりまして、規約が明日にでも全公開されない限りは、アプリ事業者向けに具体的な内容が説明されるのは一部分になる可能性も高いのかなというふうに見ております。その場合、アプリ事業者の事業の透明性や予見可能性が一定程度損なわれることになるのかなと思っております。こういった点についての受け止めと、あと、可能であれば、なぜこの時点で規約の変更などが間に合わなかったのかという理由についてもお伺いできればと思います。
(事務総長) これまでもアップル、グーグルとは、この法律の遵守に関しての議論はしてきたところでありますが、全面施行後も、引き続き両社との間でコミュニケーションを取っていくことにしております。明日の全面施行の段階でどこまでできているか、あるいはできていないのかというお話はあるのかもしれませんけれども、我々としてはこの全面施行のタイミングで、もし、現状が新しい法律の遵守のためには足りてない部分があるという場合には、ぜひ対応していただきたいというふうに考えているところであります。
(問) もう1点、今後の運用のスタンスについてお伺いします。基本的に今後も議論は継続されるということですが、指定事業者側のルール作りや規約に対して、例えば望ましくないところがあるのであればそれを変更していくような、主体的なルール作りの余地がまだ残されているのでしょうか。あるいは、申告フォームなどで報告されるような個別具体的な案件に対しての法執行が主になっていくのか、そのあたりについてもお伺いできればと思います。
(事務総長) 明日、全面施行だからといっていきなり明日から、事件として何か調べるというよりも、途中申し上げましたけれども、まずは指定事業者との間での引き続き緊密なコミュニケーションをとっていきたいと思います。その上で、問題となり得る行為が改善されない、あるいはこの法律に規定された違反行為が認められるという場合には、この法律の調査権限その他に基づいて、必要な調査を迅速に行うという流れがまずは考えられるかなと思っています。
(問) ありがとうございます。最後に、お答えしにくいかもしれないですが、明日から全面施行となりますが、依然として指定事業者側のルールが不明確な部分などもあり、執行に入るには難しい部分があると思っているのですが、この状況は、当初からおおむねそうなるだろうと想定されていたのか、あるいは協議の遅れなどが影響したというイレギュラーなものなのか、そのあたりの受け止めをお伺いできればと思います。
(事務総長) この法律は、独占禁止法と密接な関係はありますが、独占禁止法の運用の仕方とはおそらく違うやり方が必要だろうということは、法案作りの段階から考えていたところではあります。独占禁止法の場合では、いきなり調査権限を用いて調査をスタートするスタイルがほとんどですが、スマホ法では、まずは指定事業者あるいはその他の事業者とのコミュニケーションをしていくことになります。その中で、問題があるのではないかという場合には、そういったコミュニケーションを通じて改善していただき、それでもなかなか埒が明かない場合には、調査権限を用いて正式な事件として調査するということは、以前から想定していたところであります。したがって、これまでもしっかりコミュニケーションをとってきましたが、これからもその姿勢を維持していきたいと考えています。その上で、どうにもならない問題が残るという場合には、次の手を考えていくということになるかと思います。

以上

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