[配布資料]
第1回デジタル競争グローバルフォーラム「規制と国際連携」
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[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年1月8日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
令和7年度公正取引委員会予算等の概要
本日は、私から二つのテーマについてお話ししたいと思います。一つが予算及び機構・定員です。それから、もう一つが、グローバルフォーラム関連の話です。
まず、予算及び機構・定員の関係でございますけれども、昨年12月27日に令和7年度予算の政府案が閣議決定されております。公正取引委員会における予算及び機構・定員の概要につきまして、配布資料に基づいて御説明いたします。
当委員会の令和7年度予算案につきましては、デジタル庁一括計上分も含め、総額158億4500万円となっており、前年度予算と比較して約36億5700万円の増となっております。
主な施策について、具体的に幾つか御紹介いたしますと、表の中で二つ目の項目、「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」につきましては、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の協議を経ない取引価格の据置きなどの優越的地位の濫用、下請法違反行為への厳正な対処や、その未然防止などに必要な経費として、9億4900万円を計上することとしております。引き続き、中小企業等の価格転嫁円滑化に向けて、万全を尽くしてまいります。
三つ目の「競争環境の整備」につきましては、令和7年12月19日までに全部施行されることとなっておりますスマホソフトウェア競争促進法の迅速かつ効果的な運用を図るため、スマホソフトウェア競争促進法に係る情報提供、相談窓口の運営に必要な経費として3800万円を計上するとともに、デジタルアナリストを7名から10名へ3名増員することとしております。
なお、五つ目の「その他」には、令和7年度に予定しております公正取引委員会の庁舎移転に必要な経費、31億1500万円が含まれておりますため、前年度と比べて大幅な増額となっております。
最後に機構・定員となりますが、機構につきましては、スマホソフトウェア競争促進法の執行体制強化のための体制整備として、官房デジタル・国際総括審議官及びデジタル担当の官房参事官の新設を行うほか、組織の喫緊の課題などに対して機動的に対応するための官房総務課企画官、下請法の執行連携体制強化のための企業取引課企画官を新設することとしております。また定員につきましては、スマホソフトウェア競争促進法の執行体制強化のための35名の増員を含めまして、合計54名の増員を行うこととしております。当委員会といたしましては、ただいま申し上げました予算と体制をもって、これからも引き続き公正で自由な競争環境の整備に努めてまいります。
グローバルフォーラムの参加者の募集開始について
それから二つ目のテーマでございますけれども、グローバルフォーラムの参加者の募集開始についてです。公正取引委員会が、令和7年1月31日金曜日に東京で開催する「第1回デジタル競争グローバルフォーラム」について御紹介いたします。本日、本グローバルフォーラムにつきまして、公正取引委員会のウェブサイトにて参加申込みの受付を開始いたしました。本グローバルフォーラムのテーマは、デジタル市場における「規制と国際連携」であります。スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律、いわゆるスマホソフトウェア競争促進法は、昨年6月19日に公布され、先月19日には本法律の規律の対象となる事業者の指定に関連する規定が先行して施行されました。今年12月までには、指定事業者に対する義務などの規定を含め、全面的に施行されることとなっております。
本グローバルフォーラムにおきましては、スマホソフトウェア競争促進法の全面施行に向けまして、各国当局との国際連携を強化するとともに、今後のデジタル市場における規制に関する議論を我が国がリードしていくほか、関係事業者などへの周知啓発を図る観点から、三つのテーマでパネルディスカッションを行うこととしております。第1に、「デジタル市場における各国当局による対応と国際連携」、第2に、「デジタル規制の運用における企業と競争当局のコミュニケーションの在り方」、第3に、「デジタル規制をどう『フューチャープルーフ』にするか」をテーマとする各セッションに、欧州、米国、オーストラリアなどの海外当局職員や学識経験者、実務家のほか関係事業者や団体にも参加していただき、多様な議論を公開の場でしていただく予定にしております。
現地会場では、150人程度の関係事業者を含む傍聴者を予定しておりまして、会場の収容人数の範囲内で広く参加者を募集するほか、オンラインでも参加できるようにしておりまして、会場参加、オンライン参加ともに日英の同時通訳にも対応しております。各パネルディスカッションの登壇者や、講演テーマは現在も調整中でございますけれども、公正取引委員会のウェブサイトにてグローバルフォーラムに関する特設ページを設けて、今後情報を更新してまいります。奮って御参加いただきたいと思います。
私からは以上です。
質疑応答
(問) グローバルフォーラムについて、テーマが三つあるとのことですが、確認のために、もう一回詳しくお聞かせください。
(事務総長) テーマは三つございまして、一つ目が「デジタル市場における各国当局による対応と国際連携」、それから二つ目が「デジタル規制の運用における企業との競争当局のコミュニケーションの在り方」、三つ目が「デジタル規制をどう『フューチャープルーフ』にするか」でございます。
(問) グローバルフォーラムについて、参加する国や地域は、確か事前規制を導入している国や地域と聞いておりまして、欧州、米国、オーストラリアということですが、その趣旨について御説明いただけますか。
(事務総長) どこの当局が参加するかということについては、スマホソフトウェア競争促進法と同様の法規制を運用している欧州委員会、それから同様の法規制が本年1月1日から施行された英国競争・市場庁のほか、デジタル分野における法執行を積極的に行っている米国司法省や連邦取引委員会、更にデジタル分野で新たな規制の導入を検討しているオーストラリア競争・消費者委員会がパネリストとして参加する方向ということで、現在調整しております。
(問) 三つ目のテーマの「『フューチャープルーフ』にするか」というのは、デジタルの技術の進展が速い中で、いかに新しい法規制などを導入してきちんと対応できるようにするかという観点ですか。
(事務総長) そうです。
(問) 第1回となっていますが、今回、日本の公取が主催ですけれども、今後も公取が主導する形でこれを続けていく方向なんですか。それとも、どこかのある地域の国や当局の方々が、順番にどこかの別の場所で開催するというようなマルチラテラル的な枠組みなのでしょうか。
(事務総長) 第2回も公取で主催したいと考えております。
(問) 先ほど、予算の説明の中で、デジタルアナリストの関係で言及がありましたが、現在7人の方がいらっしゃると思います。3人増として体制を強化する狙いや目的を教えてください。また、3人のうち1人を恐らくアナリストの方を束ねる人材として採用するのかなと思いますが、どのような役割や人材を想定されているのかも教えてください。
(事務総長) 令和7年度におきましては、現在7名の体制でありますデジタルアナリストを10名体制に拡充するということで予算を計上しております。このうち1名につきましては、チーフテクノロジストとして、管理職と協働して、ほかの9名のデジタルアナリストをマネジメントし、各デジタルアナリストの能力や経験に合わせた適切な業務の配分、あるいは成果物のチェック及び評価、それから、デジタルアナリストが関わるプロジェクトや、本法施行後に発生する作業の進捗管理などを通じた効率的な業務運営を担う業務に従事をしてもらうということを考えております。また、規制対象事業者の最高技術責任者(CTO)、あるいは最高情報セキュリティー責任者(CISO)との折衝や、渉外活動に直接対応し、事業者のセキュリティーなど技術面の主張や抗弁に対して反証するなど、検証作業を統括する業務にも従事させることを想定しております。残り9名のデジタルアナリストにつきましては、各々の専門的な知見に基づいて、複数の業務に従事していただくことになろうかと考えております。こういった業務に耐え得る人材をこれから求めていきたいということになります。
(問) デジタルアナリストとチーフテクノロジスト関連で、採用される方は非常勤的な働き方なのか、それとも毎日来られるような働き方なのか、どういう形になるのでしょうか。また、それを通じて、このスマホソフトウェア新法の執行体制というのは、全部で大体何名ぐらいになる予定なのかについて教えてください。
(事務総長) デジタルアナリストにつきましては、非常勤での勤務ということで考えております。これまでもデジタルアナリストにつきましては、高い給与水準を確保しつつ、非常勤職員として、副業などの柔軟な働き方を認めるということで、デジタル分野の高度な専門知識を有した人材を集めてきたということでございます。
それから、デジタルの関係で、全体にどれぐらいの執行体制になるのかというお話でございますけれども、スマホソフトウェア競争促進法の執行体制としては、先ほど申し上げました官房デジタル・国際総括審議官、それから官房参事官のデジタル担当を含めて、37人の体制を予定しております。それから、これまでもデジタル市場における独占禁止政策に係る経済実態調査、あるいは問題改善提言、更なる立法的対応の必要性に係る企画立案を行うデジタル市場企画調査室がございますけれども、こちらの体制が室長を含めて14名ということになります。したがいまして、デジタル分野全体の執行体制としては51名の体制ということなりますが、先ほど申し上げましたデジタルアナリストが10名ということになりますので、これを合わせますとトータルで61名といった体制になります。
(問) 報酬面について、どれぐらいとかというものがあれば教えてください。
(事務総長) 人材獲得のために、なるべく高い給与水準ということを考えておりますので、今回の予算案におきましては、民間や他省庁で採用されているデジタル分野の高度な専門知識を有した人材の給与なども踏まえまして、このチーフテクノロジストといたしましては、いわゆる事務次官級相当の給与待遇ということで職員を募集する予定でございまして、より高い高度な能力と卓越した経験を有する人材を確保できるのではないかと考えております。
(問) 今までのデジタルアナリストよりは、給与もかなり高くなるということでしょうか。
(事務総長) そうです。
(問) 事務次官級ということですが、非常勤になるわけで、具体的な数字としては、例えば時給、日給でどれぐらいでしょうか。
(事務総長) 事務次官級で申し上げますと、年収換算いたしますと約1400万円ということでございますけれども、週2日の勤務を想定しておりますので、それに応じた予算額ということになっております。
(問) 年収にするとそれの5分の2ということでしょうか。
(事務総長) 予算額としては655万6000円となっております。
(問) 高い給料を提供しつつも公取委の予算内で収まるということで、スマホ法を運用するときに、テクノロジーに関する話が出てくると思いますが、非常勤を活用して、どのような仕組みや運用をする方策をお考えでしょうか。
(事務総長) 先ほど申し上げましたデジタルアナリストがどんなところで活躍していただくかということについて、具体的にお示ししたいと思いますけれども、例えば実態調査やこの新法の施行準備に関しまして、事業者によるセキュリティーなど技術面の主張あるいは抗弁の妥当性の検証、それから事業者から提出されるソースコードからロジックを検証するといった精密な分析や検証を行う業務。また、スマートフォンのアプリやモバイルOSの挙動に係る検証、デジタル分野における競争上の問題について、問題となるおそれのある行為などに関する指摘や、必要なルール整備を含む改善に向けた提言を行う実態調査について、助言やデータ分析などの支援を行う業務。それから、組織内のDXの推進、あるいはプラットフォーム事業者による問題行為の探知ツールの開発、文書審査の自動化、効率化ツールの開発といった業務。そのほかに、独占禁止法におけるデジタル分野の事件審査、企業結合審査について助言やデータ分析を行うといった支援の業務を行っていただくということを想定しておりまして、こういった専門的な知見を活用しながら、新法の施行に向けて準備をしていきたいと考えております。
(問) そうすると、デジタルアナリストは、エコノミストのように、例えば経取局や審査部に属するものでなくて、全事務総局内で必要な業務を行うというイメージですか。
(事務総長) デジタル関係の部署にはおりますけれども、そこにいて新法の施行や実態調査の支援などを行っていくという形になります。
(問) デジタル市場企画調査室に配属される形でしょうか。
(事務総長) 現在は、そこと連携しながら仕事をしているということです。
(問) デジタルアナリストは10人になるということで、その運用を含めて全体的に37名になるということですが、この37名の方というのは、公取委事務総局の組織の中ではどこの部署に所属するのでしょうか。
(事務総長) 組織的には、先ほど申し上げました官房デジタル・国際総括審議官をヘッドとして、その下に官房参事官があり、その下にスタッフがいるという形になります。
(問) それは審査局でしょうか。
(事務総長) 審議官自体は官房になります。
(問) その下に所属する三十何名の方は、官房に属するという形でしょうか。
(事務総長) それは経済取引局に属するということになろうかと思います。
(問) スマホ法の運用に関して、経取局で主に活動するというイメージですか。
(事務総長) そうなると思います。
(問) 事件の審査があっても同様でしょうか。
(事務総長) そうです。
(問) 今週、報道で出ている日本郵便の下請法違反についてお伺いさせていただければと思います。日本郵便が、ゆうパックの一部の委託先事業者から不当に違約金を徴収していたということと、十分に価格転嫁しなかったという2点について、昨年6月に公取委として下請法違反ないしは疑いがあるということで指摘されたということでしたが、これについて、総長としてどのような問題意識で捉えていますでしょうか。
(事務総長) 御指摘の件については、様々報道されているということは承知しておりますけれども、個別の事案につきましては、私からはお答えは差し控えたいと思います。
(問) 一般論ということでも構いませんが、今回一部の委託先事業者から、違約金を不当に徴収していたということで、これは一部ですが、日本郵便として、当時は郵政公社ですが、現在に至るまで全国的に違約金制度を導入していて、苦情があったときなどに、委託先事業者から違約金を徴収するということを全国的に制度として導入して続けているということでした。委託先事業者から違約金を徴収するというこの制度自体について、公正な取引慣行、取引環境という下請法の趣旨に照らした場合に、何か問題があるのかどうかについて、御見解を伺えますでしょうか。
(事務総長) 違約金制度といっても、どういうものか中身によると思いますので、一概にお話しはできないと思いますけれども、一般的には、親事業者と下請事業者間において、下請事業者の方の過失があって、それの損害が生じた場合にどういう補償をするのかといったことについて、両者の合意で取り決めるというような場合、その中身が合理的なものであれば、それ自体が必ずしも下請法違反になるというわけではないと考えております。
下請法の違反行為の中には、下請事業者の責めに帰すべき事由がある場合には違反にならないというような場合もございますので、その観点から考えると、一般論としてはそういう話になると思います。
以上