[配布資料]
有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について
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[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年1月15日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について
本日、私からは、昨年11月及び12月に全国9都市で開催しました有識者と公正取引委員会との懇談会についてお話しいたします。
この有識者との懇談会は、公正取引委員会の委員や事務総長が、全国の主要都市の有識者の方々と直接意見交換を行い、独占禁止法の運用を始めとする競争政策への理解を一層深めていただくとともに、各地域の実情や公正取引委員会への御意見、御要望を承り、今後の独占禁止法などの適切な運用にいかしていくことを目的として、毎年開催しているものです。
有識者の方々からいただいた主な御意見などについて、御紹介をさせていただきます。まず、今回の懇談会では、中小事業者等の取引適正化に関する御意見を数多く頂戴しております。公正取引委員会は持続的な構造的賃上げを実現するため、令和5年11月に内閣官房と連名で公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の周知徹底と、この指針に基づく取組の徹底に取り組んでいるところであります。これに関して、配布資料の2頁目の冒頭にございますように、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が実現できるよう、関係省庁と連携して取組を進めることを求める御意見を頂戴しております。
次に、独占禁止法の運用に関しましては、3頁目、2の項目のところでございますけれども、一つ目の記述にありますように、悪質な事案に対して厳正に対処するとともに、措置を採った事業者に対するフォローアップについても力を入れてほしいといった御意見を頂戴しております。
また、競争環境の整備のための取組に関しましては、4頁の3の項目の最後の記述にございますように、電子コミック、アニメーションなどのコンテンツ産業についての実態調査を求めるという御意見をいただきました。
さらに、地域経済の実情と競争政策上の課題に関しましては、同じく4頁の4の項目の二つ目の記述にございますように、事業者から、賃金が上昇する一方、価格転嫁が進まず、経営状況が厳しくなっているとの声が寄せられているという実情についての御意見を頂戴いたしました。
公正取引委員会といたしましては、今回の懇談会でいただいた様々な御意見を踏まえまして、今後とも、独占禁止法などに違反する行為に厳正かつ効果的に対処するとともに、公正で自由な競争環境の整備に取り組んでまいります。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 中小事業者等の取引適正化について数多く意見をいただいたということですが、この点についてもう少し具体的に教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 適正な価格転嫁の実現に向けた取組ということで、1頁目から2頁目にございますように、各事項、各項目についての御意見、御要望、あるいは実情についてのお話をいただいております。
例えば、公正取引委員会に対して好意的な評価として、この3、4年で大手企業の態度ががらりと変わって取引条件が改善していると実感しているといった御意見や、あるいは、公正取引委員会の活動は、このような価格転嫁に対する考え方の後押しにも一役買っているということで非常に感謝しているといった御意見などがございました。
一方で、こういった価格転嫁などの政府方針の周知にこれからも尽力してもらいたいといったお話や、先ほど御紹介しましたように、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が実現できるよう関係省庁と連携して取組を進めてほしいといったお話がございました。
そのほか、これは企業側の事情ということかもしれませんが、意思決定権者である社長が価格転嫁に合意しても、調達部長がコストダウンを求めてくるといったお話や、似たようなお話が幾つか指摘をされております。企業全体として価格転嫁に向けた御尽力をされているということかと承知しておりますけれども、経営幹部と現場の感覚のずれといいますか、理解の差があるといったような実情も伝えられてきておりますので、この辺りは、是非企業の中で一元的に対応をいただければと思います。
以上