[配布資料]
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年2月19日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
任期付弁護士の募集について
本日は任期付弁護士の募集についてお話をいたします。
御承知のように、公正取引委員会では、デジタル経済の進展などの急速かつ不可逆的な経済・社会の変化も見据えながら、様々な取組を進めております。また、日本経済がこれまでの長期停滞状況から脱し「成長と分配の好循環」を実現する上で、公正な競争が確保された市場の機能を通じて適切な分配が行われるよう、様々な分野における取引環境の整備を進めております。こういった取組を着実に実施するため、公正取引委員会では、質・量ともに体制の強化に取り組んできております。
その一環として、任期付弁護士38名の公募を行うこととし、2月17日月曜日から募集を開始いたしました。具体的には、経済取引局、取引部、審査局での採用を予定しております。公正取引委員会では、これまでも、法執行関係業務を中心に任期付弁護士を採用してきたところですが、今般の募集は、過去最大の規模となっております。
公正取引委員会は、独占禁止法、下請法、フリーランス・事業者間取引適正化等法及びスマホソフトウェア競争促進法を所管しておりますが、任期付弁護士の方々にこれらの法律の法執行、企業結合審査、政策立案、訴訟対応といった業務に、公正取引委員会の職員とともに従事していただくことで、その専門性が競争政策の積極的な推進に貢献すると考えております。また、任期付弁護士の方々におかれましても、これらの業務を通じて競争政策に関係する専門性を磨くことができるのではないかと考えておりまして、公正取引委員会での任期を終えた後の弁護士としての勤務に必ずや経験を生かすことができるのではないかと考えております。さらに、これらの任期付弁護士の方々が任期後に、幅広い分野で活躍することにより、我が国の経済社会において公正取引委員会の役割や競争政策の重要性についての理解が促進される効果も期待しております。
3月21日金曜日まで募集の受付を行っておりますので、御関心のある方は是非応募を検討していただきたいと考えております。本件の詳細につきましては、官房人事課までお問い合わせください。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 任期付弁護士38名の募集は過去最大ということですが、現在、公正取引委員会には何名の任期付弁護士が在籍されているのでしょうか。また、募集する任期付弁護士38名のうち、採用予定数は審査局が一番多いようですが、各部局への人数の割振り等の理由について教えてください。
(事務総長) 現在、公正取引委員会の任期付職員の中で、弁護士の方は38名おります。それから、今回の採用予定数の局ごとの割振りということでございますが、それぞれの部局における業務のニーズに応じて積み上げた結果の数字になっております。
(問) 任期は基本的に2年でしょうか。
(事務総長) 基本的には2年ということでございます。
(問) 任期はこれまでの任期付弁護士と大体同じという理解でよいでしょうか。
(事務総長) そうです。従来と変わりません。
(問) 今回、任期付弁護士を募集する課室の中で、初めて募集するポジションはありますか。
(事務総長) その点は事務的に確認をしたいと思います。
(問) 昨日、関係者から聞いた話によると、公正取引委員会が長野県の石油商業組合に対して、独占禁止法3条と8条違反の疑いで立入検査に入ったと伺いました。この関係者によると、北信支部を中心にガソリン価格を事前調整していた可能性が高いという話もございます。本件は県民生活に非常に直結する問題であり、2月5日に弊紙(信濃毎日新聞)でこの問題を取り上げて以降、関心が非常に高い話題であるところ、このタイミングで公正取引委員会として立入検査に入った理由を教えていただけますか。また、この一連の疑いについての公正取引委員会としてのお考えをお聞かせください。
それから、これは一般論ですが、2月5日の事務総長定例会見でもガソリン価格に関する独占禁止法違反の関係について事務総長にお話を伺った際は、従前から価格カルテルよりもダンピングの方が摘発事例として多かったという話であったと思いますが、今回のようなカルテルの疑いが起きる背景について考えられる要因を教えていただけますか。
(事務総長) 御指摘の件につきましては、公正取引委員会が立入検査を行ったということについては否定をいたしませんが、個別の事件審査に関することでございますので、詳細についてはコメントを差し控えたいと思います。
それから、カルテルの背景にどういうことがあるのかということでございますが、個別のそれぞれの事案に応じて、どういう事情があるのかというのをよく調べてみないと分からないという話かと思いますので、なかなか一般論として言いにくい話だと思っています。
(問) 任期付弁護士のお話に戻りますが、先ほど、スマホソフトウェア競争促進法においても任期付弁護士の方に法執行等の業務に従事していただくというお話がありましたが、特にデジタルやスマホ分野で弁護士の方に期待される業務があれば教えてください。
(事務総長) お手元に募集要項、A4判のものが配布されていると思いますが、そちらにそれぞれの部局ごとでどういうものが期待されているのかということが書かれているかと思います。また、スマホソフトウェア競争促進法の関係ということでございますけれども、例えば、デジタル市場企画調査室においての今回の募集では、スマホソフトウェア競争促進法の運用、執行業務であったり、デジタルプラットフォームを巡る競争環境に関する諸外国や事業者の動向に関する調査分析、そういった業務での活躍が期待されているということでございます。
(問) 現在在籍している38名の任期付弁護士の方は、各部局にどのような配分をされて、どのような業務を行っていることが多いのでしょうか。
(事務総長) 具体的な内訳の数字までは手元にありませんが、基本的には事件審査であったり、訴訟業務といったところです。ほかの局にも若干おりますが、様々な業務を担当していただいているということです。
(問) そうすると、任期付弁護士の割振りは今まで審査などが中心であったところを、経済取引局などの他部局の割振りをより拡充するイメージでよろしいでしょうか。
(事務総長) 今回の割振りでいいますと、経済取引局が12名、それから取引部が10名、それから審査局は16名ということになっておりますので、数的に見るといまだ審査局が多いということにはなります。
(問) 任期付弁護士の割振りについて、審査局の数が多くなった背景について教えていただけますか。
(事務総長) 事件担当が9名で、デジタルプラットフォームに関する事件審査担当が4名、それから審査局の訟務官では訟務関係の業務、そこが3名ということになっておりますので、事件審査の担当でのニーズが結構大きいということになります。
(問) 審査局の割振りが多くなった背景については、例えば、公正取引委員会として扱う事件数や訴訟の数が増えているという事情があるのでしょうか。
(事務総長) 必ずしも事件数だけの問題ではないと思いますけども、おっしゃるとおり、最近積極的に事件に取組んでいる観点はございます。また、事件の複雑さという意味で、現代社会において様々な難しい点が出てきているかと思いますので、そういったところを考慮しながらやっているということです。
(問) ガソリンのカルテルの件に関連しますが、一般論としてここ最近、価格転嫁が進まないことに対して、公正取引委員会は政府の方針と一致する形でかなり強力な体制を採っていると認識しています。他方、値上げの局面が続いており、日清食品株式会社に対して警告をされていました。やはりこの値段が上がるインフレの局面において、公正取引委員会としては、カルテルといった不当な取引制限等の独占禁止法の違反についてもしっかり見ていくという姿勢を示していると理解してよろしいでしょうか。
(事務総長) はい、おっしゃるとおりでございます。同業者が相互に連絡を取り合って価格や生産数量などを共同で取り決めるという、いわゆる価格カルテルや入札談合につきましては、市場の競争に与える影響が非常に大きいという観点は持っておりますので、その辺りについては厳しく対処していきたいと考えております。
以上