[配布資料]
なし
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年2月26日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
グリーン社会の実現に向けた公正取引委員会の取組について
本日はグリーン社会の実現に向けた公正取引委員会の取組についてお話いたします。
公正取引委員会は令和5年3月に「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」、いわゆるグリーンガイドラインを策定いたしまして、令和6年4月にこれを改定した上で、個別の相談に対応するなど、取組を進めてまいりました。
まず、グリーンガイドラインにつきましては、昨年の改定後も継続的に見直しのための検討を行っております。考え方の更なる明確化に向けた要望を把握するため必要に応じてヒアリングを行うことも視野に入れるなど、今後も改定に向けた検討を継続してまいります。
グリーン社会の実現は国際的な課題でもあり、令和6年においては、オーストラリアや韓国などもサステナビリティに関するガイドラインを整備するなど、海外の競争当局でも同様の取組が広がってきております。
また、公正取引委員会においては、本年1月末に、欧州委員会との間で担当者間の意見交換を実施するなど、海外の競争当局との意見交換を実施しながら、対応を検討してきております。
次に、相談対応につきましては、令和5年度は10数件でありましたグリーン関連の相談件数が、今年度は既に20件以上と、増加してきております。令和5年度の事例として公表した事例は、周南コンビナートの構成事業者による共同行為の件、それから相談事例集に掲載いたしました輸送用機械メーカーによる共同研究の件の2件でありますが、今後、他の事業者に参考になる事例については公表してまいりたいと考えております。
また、この点に関連しまして、相談事例の公表につきましては、事業者の事情も配慮して、内容や時期を調整して公表しておりますが、公表の意義を踏まえまして、事業者の皆様方には公表についての御理解及び御協力をお願いしたいと考えております。
公正取引委員会は、引き続き、このグリーン社会の実現に向けた重要な問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) グリーンガイドラインは公表後1年ぐらいの非常に短い間隔で改定が行われており、現在も改定に向けた検討を継続しているとのことですが、最近の相談事例の中で注目している動きがあれば教えていただけますか。また、グリーンガイドラインの改定の時期の見通しについて教えてください。
(事務総長) 現時点で決められた改定の時期というのはございませんが、事業者などのグリーンの取組の進展や海外の競争当局の動きなどを踏まえまして、必要に応じて改定の検討を進めていきたいと考えております。
(問) グリーン社会の実現に向けた取組については、日本は欧州の何か国かとともに非常にリーダーシップを取ってきているものと認識しています。他方で、米国の政権交代によって、本取組を進めるに当たって他国との足並みに狂いが生じているということはあるのでしょうか。また、本取組に対する影響や、グリーンガイドラインに対する国際的な競争上の取組の変化について、何か感じるところがあれば教えてください。
(事務総長) 各国においてリーダーシップが変わるのに伴い、大きな政策の方向性の変化が示唆されることがございますけれども、公正取引委員会のグリーン社会の実現に向けた取組というのは、基本的な方向としては変わらないと考えています。
なお、海外の動向につきましては、今後どのような対応がそれぞれの競争当局において行われているか、引き続き注視してまいりたいと思います。
(問) グリーン関連の相談事例は増えているということですが、企業のグリーンに対する取組への動き、あるいはその傾向について何か感じるところはありますか。
(事務総長) 令和5年度と比べまして、令和6年度につきましては相談件数が増加してきているということですので、各企業においてもグリーンに向けた取組が進んできている証左かなと考えております。
グリーンの取組に関する相談の内容でございますが、これは競争事業者間の共同の取組に関するものがほとんどという状況になっております。今後、ほかの事業者の参考となる事例につきましては、個別の公表、あるいは相談事例集に掲載する形で公表していきたい考えております。
(問) 長野県の石油商業組合に公正取引委員会が立入調査した件についての関連の質問です。先週、石油商業組合と長野県の間で少し動きがあり、どのようなコミュニケーションのミスがあったのか承知していませんが、公正取引委員会が石油商業組合に対して、調査報告を公表しないでほしいという要請をしたため、石油商業組合が長野県に調査結果を公表できないと話しているという報道がありました。この件については、公正取引委員会はそういった指示はしていないと明言されていますが、一般的に、例えば立入検査を行った事案について、ほかに同時進行している調査などに支障が生じるので公表を控えてほしいと調査対象者に伝えることはあるのでしょうか。
(事務総長) 一般的なその方針というのはなかなか難しいと思いますが、個別の事情に応じた対応になろうかと考えております。
(問) 調査に支障がある場合も考えられるということですか。
(事務総長) 極めて私どもの調査にとって妨げになるようなことがもしあれば、それに応じた対応をする可能性はあると思います。
(問) 公正取引委員会は長野県の石油商業組合に調査結果を公表しないよう要請した事実はないと明言されているところ、公正取引委員会としては、石油商業組合の調査結果の公表は本件調査の妨げにはならないと考えているという理解でよろしいでしょうか。
(事務総長) 現時点においてはそのように考えていただいて結構です。
(問) 今年度のグリーン関連の相談件数が20件以上あるとのことですが、どのような業種からの相談が多かったのか、また、令和5年度と今年度で業種の変化があったのか教えていただけますか。
(事務総長) 個別事案の詳細にわたるお話になろうかと思いますし、現在、相談対応中の事案にも関連しますので、相談者の秘密保持の観点から詳細については回答を差し控えたいと思います。
(問) どういった業種なのかといったことも、なかなか言いにくいところでしょうか。
(事務総長) おっしゃるとおりです。
(問) グリーン関連の相談についてはなかなか事業者に相談に来てもらえないので、おそれずに公正取引委員会に相談に来るようにとアピールされていたと認識しています。令和5年度と比較して今年度の相談件数が増加した理由として、どのようなことが功を奏したとお考えでしょうか。
(事務総長) そこは私どもから見える範囲というのも限られていますので、こちらからコメントするのはなかなか難しいと思いますが、様々な要因があります。先ほど申し上げましたように、企業のほうで取組が進んできているということもあり得るでしょうし、私どものほうもなるべく気軽に相談に来てくださいと様々な場所で広報はしておりますので、そういうことを受けて相談に来ていただいている可能性もあるかなと思います。
以上