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令和7年7月16日付け 事務総長定例会見記録

令和7年7月16日付け 事務総長定例会見記録

[配布資料]

取適法下位法令等のパブコメ概要

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和7年7月16日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則」案等に対する意見募集について

 本日私からは、下請法の改正に伴う下位法令等についての意見募集を開始いたしましたので、こちらについてお話をしたいと思います。
 下請法の改正法は本年の5月23日に公布されまして、来年の1月1日から施行されることとなっております。
 今回成立した改正法では、価格協議に応じない一方的な代金決定や手形払などを禁止するほか、適用基準への従業員基準の追加、発荷主が運送事業者に対して運送を委託する取引を適用対象に追加することなどが盛り込まれました。また、題名や用語の改正も行われまして、題名で言いますと、下請法については「中小受託取引適正化法」、あるいは「取適法」という通称を用いることにしているところでございます。
 公正取引委員会においては、改正法の成立後、公正取引委員会規則や運用基準等の整備に向けた検討を進めてまいりました。今般、これらの原案を作成しましたので、本日公表し、意見募集を開始いたしました。
 今回の意見募集では、取適法の公正取引委員会規則3点、取適法の運用基準1点、それらの見直しに関連してフリーランス法の公正取引委員会関係の規則1点、フリーランス法の解釈ガイドライン1点の、合計6点が対象となっております。
 改正内容としましては、改正法を踏まえて所要の規定整備を行ったり、解釈や想定事例を追加するといった点であるほか、昨年開催しました企業取引研究会での御提言を踏まえた、振込手数料の負担に係る取適法の運用の変更などがございます。
 8月15日までを意見提出期限としまして、広く関係各方面から意見を受け付け、その後、必要に応じて規則、運用基準等に反映させて、10月頃に最終版を公表したいと考えております。
 取適法の運用開始まで残り半年を切りました。公正取引委員会としては、引き続き、取適法の運用開始に向けた準備を進めるとともに、中小企業庁などの関係機関とも連携しながら、全国における説明会や業界団体との対話、あるいは分かりやすい広報コンテンツによる普及啓発など、積極的な周知広報活動を実施していきたいと考えているところでございます。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 改正事項のうち、運用基準への「協議に応じない一方的な代金決定等」についての解釈などの追加に関して、運用基準についてというよりも、条文そのものについての質問になるのですがお尋ねします。下請法にコスト上昇局面における値付けの協議についての規定が定められた一方で、これとは別に、独占禁止法Q&A(よくある質問コーナー(独占禁止法))にもコスト上昇局面における値付け協議に関して優越的地位の濫用となる場合についての記載ありますが、そことの整合性について教えていただけますでしょうか。このQ&Aに記載されている行為についての調査結果に基づいて、価格の協議に消極的と思われる企業名を公表し、非常に大騒ぎになったわけですけれども、公表対象となった企業は、Q&Aの項目1つ目のコスト上昇分の取引への反映の必要性について明示的に協議することなく、従来どおりの取引価格を据え置いた企業がほとんどだったと思います。やっぱり日々の事業者の取引に関わることなので、これが実際に名前が公表された後、「えっ、これも優越違反のおそれなの?」と大きな話題になったと思います。
 下請法の条文も、今回の運用基準も常識的な線だなと思うのですが、そこで盛り込まれているのはどちらかというと、独占禁止法Q&Aで優越的地位の濫用の問題になり得るものの項目2つ目に対する方で、では項目1つ目は一体どうなのかというのを、私だけでなく思うのではないかなと思います。下請法と、独禁法の優越的地位の濫用との仕分けを公取で行うのだと思いますが、そこも含めて、整合性についてどのように考えているのかを教えてください。
(事務総長) 今回の法改正の位置付けというところでお答えしますと、コストが上昇している状況で、協議をすることなく価格を据え置いたり、コスト上昇に見合わないような価格を一方的に決めたりするという状況があるという中で、中小受託事業者、これまででいう下請事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず協議に応じないであるとか、委託事業者、つまり発注事業者が必要な説明を行わなかったりして、一方的に代金を決定して、下請事業者あるいは中小受託事業者の利益を不当に害する行為を禁止するということがその位置付けになっております。今私が申し上げた点の中でも、「中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず」というところをまずポイントとして置いているということになると思います。
 一方で、中小受託事業者からの価格協議の求めがなくとも、協議なく価格を据え置くこと自体の問題の扱いについての御指摘がありましたが、その点については、これまでも公取での特別調査という形で実態調査を行う中で、問題が認められる例があるということで、様々な指摘をするということに取り組んできたところです。
 今回の運用基準の見直しは、下請法の改正に基づいて、それをベースにした形での法解釈の考え方をクリアにしたものです。求めがない中で協議なく価格を据え置くことの問題に関しては、もちろんQ&Aはこれまでもありましたし、これからの調査においても念頭に置いていくことになるかと思います。
(問) そこは理解するのですが、下請法の下では、下請事業者が協議を求めなかったら発注者側は責任を問われない仕組みになっているのではないですか。状況に応じて、下請法が適用されて勧告できるという状況であっても、例えば、悪質だとか公正取引委員会が判断して、優越の調査になることもありますよね。そうすると、優越の方だったら、Q&Aに記載の行為だということで引っかかるかもしれない、でも下請法では引っかからないということになって、何となく変な感じがするというか、そこにギャップがあるように感じるのですが、そこはどう説明されるのですか。
(事務総長) 繰り返しになるかもしれませんけれども、今回の下請法改正、あるいはそれに基づく今回の運用基準の考え方としては、中小受託事業者、つまり「下請事業者からの求めがあったにもかかわらず」という文脈の中での考え方を示しているということになるかと思います。御指摘のあったような、そうでない場合については、基本的にはケース・バイ・ケースで考えていくということになります。もちろん、独禁法の話がベースになってくる場合もあると思いますけれども、ケース・バイ・ケースで考えていくということになろうかと思います。
(問) そうすると、ちょっと運用基準からは離れますけども、どういう場合に独禁法の優越的地位の濫用を適用して、どういう場合に下請法を適用するのでしょうか。
(事務総長) まず、いわゆる資本金基準であるとか、今回の法改正で言えば従業員基準とか、従来の言い方で言うと親事業者、下請事業者との間での、いわゆる委託取引が存在するという場合には、まずは下請法が念頭に置かれます。そうではない取引については、下請法は適用されませんので、独占禁止法が念頭に置かれるということだと思います。

以上

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