[配布資料]
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年4月9日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
第229回独占禁止懇話会の議事概要の公表について
本日は、3月14日に開催しました第229回独占禁止懇話会の概要についてお話をいたします。
独占禁止懇話会は、我が国経済の変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するため、公正取引委員会が国民各層の意見を広く聴取するとともに、独占禁止法の運用について国民各層の理解を深めていただくことを目的として開催しているものでございます。
今回の独占禁止懇話会では、3つの議題について事務総局から御説明いたしました。昨日公表したお手元の議事概要の中から、各議題における主な意見などを御紹介したいと思います。
1つ目の議題の「経済分析の取組」では、1ページ目の3つ目の○にございますように、「事業者による経済分析報告書の提出は、企業結合案件に偏在しているのか、それとも企業結合案件以外の案件においても提出されているのか、企業結合案件以外の案件においても、外部委託としてコンサルティング会社が活用された事例はあるのか。」といった御質問を頂いております。これに対して当方からは、「割合としては、企業結合案件における経済分析報告書の提出が多いが、近年、独占禁止法違反事件において、事業者がコンサルティング会社を活用して経済分析報告書を提出した例もあり、以前と比べると増えていると考えている。」旨御説明しております。
2つ目の議題の「下請法改正法案」につきましては、3ページ目の3つ目の○にございますように、「大きなポイントは執行の充実であると思う。面的執行の強化については、これを具体的にどのように連携してやっていくのかがポイントではないか。」といった御意見を頂いております。これに対し、当方からは、「現行法でも事業所管省庁には調査権限があるため、法改正を待たずに各省連携の取組は進めているところ、公正取引委員会の執行のノウハウと、業界に精通した事業所管省庁の強みについて、国土交通省、中小企業庁、当委員会の間でノウハウを提供したり、情報を頂いたりといった取組を開始している。」旨御説明をしております。
3つ目の議題の「音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査報告書」では、4ページ目の3つ目の○にございますように、「大きな問題は、肖像権や著作権などの知的財産関係ではないかと思う。所管省庁の協力等も得て、今後作成される指針の中に盛り込んでいくのか。」といった御意見・御質問を頂きまして、これに対して当方からは、「指針の作成は、関係省庁ともしっかりと話をしながら作成していきたい。」旨御説明をしております。
公正取引委員会としましては、今回頂いた御意見等も踏まえ、今後とも、競争政策を有効かつ適切に推進してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 下請法の改正の議論について質問が2つあります。以前も事務総長定例会見で議題になったかと思うのですが、3月懇談会の時点ではこの法律の通称は取適法などを考えてるというお話ですが、この通称で決まったということでしょうか。
(事務総長) これは決まったというものではないと思っておりますけれども、通称ということでございますので、多くの方がどういう風に今後呼んでいくのか、ということかと思います。当方といたしましては、こういう名称が考えられるのではないかということを申し上げているということでございます。
(問) もう1つは、今後、この改正法が成立すれば対象となる事業者が増えてくるかと思います。一方、手法は行政指導、勧告までということで、指導に対して不服があったときに、この法律に基づいてアピールするといったことが一般的にはできないかなと思います。例えば、何か指導された、勧告されたことについて不服があるときの手続、対応というのは、何らかの形で変わるということはないのでしょうか。そのときはどうすればよいのでしょうか。
(事務総長) その点については現行法と変わらないということでございます。
(問) アメリカによる相互関税が明日から課されることになり、日本の事業者への影響も非常に大きくなることが懸念されています。公正取引委員会で対応しているところで、直接的な影響はないのかなと想像する一方、例えば、これまで進めてきた価格の転嫁に対する対応や、そういったところに何らかの影響はあるのでしょうか。公正取引委員会としてどのような点について注目をされているのか、あるいは懸念を持っているのか教えてください。
(事務総長) 米国が相互関税措置を発表したということは承知をしております。公正取引委員会といたしましても、国内企業にどういう影響が出るのかといった情勢を注視しているところでございます。
今般の相互関税の導入によりまして、仮に輸出企業が関税分を負担することとした場合に、その負担のしわ寄せをその企業の国内のサプライチェーンの他の事業者に及ぼすといったことも懸念はされるかなと思っております。現在、政府一丸となって価格転嫁の取組を推進しているところでございますが、仮にそういったことが起こりますと、価格転嫁の動きを阻害しかねないと考えております。
公正取引委員会といたしましては、こういったしわ寄せによって困っている事業者が生じていないかといったようなことについては、情報収集に努めてまいりたいと思っております。また、相互関税に関する問題については、他省庁とも連携して対応してまいりたいと考えております。
以上