[配布資料]
(令和8年4月22日)第232回 独占禁止懇話会の議事概要の公表について
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和8年4月22日(水曜)13時30分~於1106会議室)
第232回 独占禁止懇話会の議事概要
本日は、先月3月17日に開催した第232回独占禁止懇話会の概要についてお話しをします。
独占禁止懇話会は、我が国経済の変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するため、公正取引委員会が国民各層の意見を広く聴取するとともに、独占禁止法の運用について国民各層の理解を深めることを目的として、昭和43年11月以降開催しているものです。
今回の独占禁止懇話会では、3つの議題について、事務総局から御説明いたしました。本日公表したお手元の議事概要の中から、各議題における主な御意見等を御紹介いたします。
1つ目の議題の「映画・アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態調査報告書」では、2ページ目の1つ目の○ですけれども、「プラットフォーム側が視聴回数に係る情報を制作側に開示しない場合がある。配信回数が分からなければ、次回作の契約時に当該配信実績を踏まえた契約交渉を行うことができなくなる。このような交渉は決して対等な交渉とは評価できないところ、この点をしっかりと御指摘いただいている。このような、一つ一つの契約関係の中に出てきている新たなひずみのような状況を今後もしっかりと御指摘いただきたい。また、どのような契約を行うことが望まれるかといった点をガイドラインに記載していただき、動画配信事業者と制作側等のより個人に近いクリエイターとの間の契約が対等な関係となるよう、ガイドラインを作成していただきたい。」といった御意見を頂きました。
それから、2つ目の議題の「令和6年度における企業結合関係届出の状況及び最近の主要な企業結合事例」では、3ページ目の2つ目の○ですけれども、「令和6年度の企業結合の届出件数は、令和2年度の1.5倍を超えており、その対応に相当な人手と労力が掛かっていると思われる。今後、M&Aの件数が増えてくることを考えると、ますます届出件数が増加していくことが予想されるところ、体制面等、どう対応するのか。」といった御意見・御質問を頂き、これに対し、「企業結合の届出件数について今年度も多い状況が続いており、引き続き体制の強化に努めるほか、データやデジタル技術の活用による業務の効率化も図って参りたい。」と御説明しました。
3つ目の議題の「経済安全保障に関連した事業者の取組に関する独占禁止法上の考え方」では、4ページ目の3つ目の○ですけれども、「仮に経済安全保障対策だとしても、情報交換が今までよりも許容されるという方向性になると、新規参入が制約され競争が制限されることになり、結果として日本の産業の競争力が低下してしまう。公正取引委員会の一番の存在意義は競争政策や独占禁止法にあるため、誤解を生まないよう上手くコミュニケーションを取っていただきたい。」といった御意見を頂き、これに対し、「今回の事例集等を取りまとめていく過程で、公正取引委員会は怖い官庁であるため相談しづらいといった声や、あらかじめ考え方を示すべきであるとの御指摘もあった。このような背景があり、事例集等を示すことによって、是非とも相談に来ていただきたいということを周知しているところである。当然、独占禁止法違反行為を厳正に取り締まっていくという姿勢は何ら変わるものではないが、一方で相談官庁としての側面も持っていきたいと考えており、今回の事例集等は、相談官庁としての側面を示したものである。」というような説明をしました。
公正取引委員会としましては、今回頂いた御意見等も踏まえ、今後とも、競争政策を有効かつ適切に推進してまいりたいと考えています。
質疑応答
(問) 冒頭御紹介があった、動画配信事業者と制作側とが契約する際に、配信回数が分からないと対等な契約交渉ができないという話についてですが、「どのような契約を行うことが望まれるかといった点をガイドラインに記載していただきたい」という意見を踏まえたものとしては、どのような記載が考えられるのでしょうか。
(事務総長) 先ほど私からはガイドラインと申し上げましたが、御紹介した実態調査も踏まえて、今、アニメや映画の分野の取引に関する指針の策定作業をしているところです。クリエイターに関連した指針は以前にも策定しておりますが、それと同様に、まずは、こういう行為が独占禁止法上の問題になる、あるいは、取適法やフリーランス法の問題になる、といった点を指摘することになると思います。それに加えて、こういう行為が望ましいという、ベストプラクティスのようなものも入れられればよいと思っております。いずれにしましても今はまだ作業中ですので、まずはその作業を進めていくことになるかと思います。
(問) 先週、軽油カルテルの告発をされまして、東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件以来、3年ぶりの告発ということになりますが、事務総長の受け止めをお聞かせください。
(事務総長) 今回の件は、軽油の販売事業者による価格カルテル事件ということで、犯則調査を行ってきたものですけれども、先週金曜日に、独占禁止法に違反する犯罪があったと思料しまして、公正取引委員会が東日本宇佐美など5社を検事総長に告発し、同日、東京地検がその告発を受けて、これらの事業者を東京地裁に独占禁止法違反の罪で起訴したと承知しております。
公正取引委員会として本件のポイントは3つあると思っております。
軽油はトラック輸送などの物流に不可欠なものであり、かつ、国が小売価格の急騰抑制を目的として、元売事業者に補助金を支出してきたという公共性の高い財です。そして、本件行為は物流コストを増加させ、ひいては商品価格の上昇にもつながるものであり、物流サービスを利用する国民に損失を与え、かつ、国の政策にも逆行するものである、という点が1つ目です。2つ目として、本件の市場規模は、令和6年10月から12月までの3か月間で450億円超と大きいということがあります。それから、3点目として、今回被告発会社となった5社等の多くは、直営店や提携店による全国的な軽油所ネットワークを有しており、軽油販売業界でも最大手の事業者らによる行為であるということで、告発の対象になると判断したものであります。
今回の告発というのは、今後の価格カルテルなどを抑止するという意味でも大きな意義を持っていると考えております。今後とも告発が相当と認められた事案には積極的に告発を行っていきたいと考えております。
(問) 去年の11月には長野県で行政調査の結果として、ガソリンカルテルに対し行政処分があり、今回は軽油カルテルについて犯則調査の結果として告発がありましたが、いずれも国の補助金が多額で入っている燃料油の関係の事件ということで、公正取引委員会が燃料油の関係について相次いで動いているのは、どのような背景によるものなのでしょうか。
(事務総長) 特定の業界に焦点を当てているということではありません。公正取引委員会は、広く様々な業界について、どういったことが行われているかをウォッチしています。その中で、御指摘の2つの事件もあったわけですけれども、石油製品に限っているわけではなく、物価上昇局面で価格が上がるということもありますが、人為的に価格を引き上げるような価格カルテルや談合などの行為には今後も積極的に対応していきたいと思っています。
(問) 一部報道では、長野、神奈川、今回の東京の燃料油の関係の事件は、関連があるように報道されておりますが、その関連性について言及いただけますか。
(事務総長) その点についてはコメントを控えさせていただきます。
以上