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平成22年9月8日付 事務総長定例会見記録

平成22年9月8日付 事務総長定例会見記録

事務総長会見記録(平成22年9月8日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

 [発言事項]

発展途上国等の競争当局職員に対する支援について

 (事務総長) 公正取引委員会は,独立行政法人国際協力機構,JICAの協力の下に,発展途上国に対する競争法・競争政策に関する技術研修を8月17日から9月17日までの予定で,大阪及び東京で開催し,実施しているところであります。
 発展途上国におきましては,競争法制を導入しよう,あるいは施行していこうという動きが活発化してきておりまして,こうした国々から我が国の競争法制やその運用について学びたいという要望が寄せられているわけであります。
 公正取引委員会は,これらの要望に応えるべく,JICAの技術協力の枠組を活用しまして,平成6年度から本研修を実施しておりまして,今回で16回目になります。
 今年の技術研修には,海外6か国から9名の競争当局等の実務担当官が参加しております。今まで16回実施しておりますが,3年前からは,我が国の競争法制や運用を紹介するということだけに留まらず,国際競争ネットワーク,ICNの活動や,ICNで作成されました成果物,これは世界の競争当局にいろいろな形で参考として提供できるものでありますが,このようなものについての紹介をする枠も設けております。
 御案内のとおり,竹島委員長は,ICNの副議長を務めておりますが,ICNの活動や成果物を広く,途上国も含めた諸外国に理解していただくという点においても意味があるのではないかと考えております。
 また,このような競争法分野における技術支援国は,主として先進国ということですが,いろいろと協力活動をしておりまして,平成20年度以降は,米国の競争当局,FTC及び司法省並びに韓国,台湾のような国々もこうした研修に講師を派遣していただくというような形で,それぞれの国々の実務についての紹介を行う枠も設けているところであります。
 今後も,このような途上国向けの技術研修を進めていくということにしておりまして,本年11月には,フィリピンの競争当局の職員,約50名を対象とした競争法の実務に関するセミナーを2日間の予定で,現地で開催する予定です。このセミナーは,平成22年から25年までを期間とするJICAのプロジェクトで,「フィリピン包括的国家競争政策のための能力向上プロジェクト」の一環として実施されるものであります。
 フィリピンには,御案内のとおり,まだ包括的な競争法がなく,刑法や価格法といった個別の法律において,カルテルなど一部の行為を規制するということになっているわけですが,現実には,あまり運用実績も上がっていないという状況のようでありまして,このプロジェクトは,フィリピンの競争当局の職員の競争法の能力向上を図ることを目的としているものであります。このプロジェクトの下では,本年3月にも競争法の運用実務などに関するセミナーを現地で開催しておりまして,今回は2回目の現地セミナーということになります。今回のセミナーでは,カルテル規制の実務などについての講義,議論が行われることになっております。
 さらに,本年11月から12月にかけまして,ベトナムの競争当局の職員5名を対象として,競争法・政策に関しての技術研修を東京で実施する予定にしております。これも,JICAの平成20年から24年までを期間とする「ベトナム競争法施行・競争政策実施キャパシティ強化プロジェクト」の一環として実施されるものでありまして,ベトナムについても,御案内のとおり,2004年に競争法が成立しまして,ベトナムの競争当局,ベトナムコンペティションオーソリティー,VCAと呼んでおりますが,VCAの下で,一定の競争法の施行実績が上がりつつあるという状況でありますが,まだ知識,経験等も不十分な状況であるということで,このプロジェクトは,ベトナムの競争当局職員の能力向上を図って,ベトナムにおける公正・公平な競争環境の整備に資することを目的としているものであります。
 ベトナムの競争当局への技術支援に関しましては,公正取引委員会からは,2年間単位で専門家を派遣するということで,平成20年から2年間,22年からも2年間という予定で課長級あるいは課長補佐級の職員を長期間派遣して,現地でいろいろと実務指導に当たるということを行っておりまして,日本国内でも,ベトナムの職員に来ていただいて研修を行うという形での活動も行っているわけであります。
 公正取引委員会は,今度とも,このような発展途上国等に対する研修の支援に積極的に取り組んでいきたいと考えておりまして,こうした支援を通じて,それぞれの支援対象国における競争環境の整備が進むことを期待しているところであります。

 以上

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