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平成22年12月8日付 事務総長定例会見記録

平成22年12月8日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成22年12月8日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

ヤフー株式会社がグーグル・インクから検索エンジン等の技術提供を受けることについて

 (事務総長) ヤフー株式会社がグーグル・インクから検索エンジン等の技術提供を受けるということにつきまして調査結果を公表いたしましたので,本日,その公表内容の概要について御紹介したいと思います。
本件は,ヤフー及びグーグルから,いわゆる一般相談という形で相談を受けまして,本年の7月に,両者が説明した内容を前提とすれば,ただちに独占禁止法上問題とはならないという回答した案件であります。
 一方,本件の技術提供によりまして,日本国内において検索エンジン等の技術の約9割がグーグルのものとなり,インターネット検索サービス及び検索連動型広告の分野において,大きな影響を与える可能性があること,また,本件につきましては公正取引委員会に対して,多方面からいろいろな御意見や情報提供,申告などがあったということもありまして,本件技術提供の実施に向けた進捗状況等についての調査をフォローアップ作業という形で行いまして,この場でも何回か御説明したとおりであります。
 本件の調査結果の概要でありますが,お手元に一枚紙の色刷りのポンチ絵でポイントを書かせていただいておりますが,この調査結果の概要と書いているとおり,まず,ヤフーは,自社にとって最適であると判断をして,グーグル・インクから本件技術提供を受けることにしたものであるという点があります。
 2点目として,本件技術提供は,相談時の説明どおりに実施に向けて進捗していると認められ,ヤフーとグーグルの情報共有等によって協調的な行為が行われているという事実は現時点で認められませんでした。
 3点目でありますが,その他の市場分割や競争者を排除するといったような独占禁止法上問題となるおそれのある行為も現時点において,具体的な事実は認められませんでした。
 そのため,現時点において,独占禁止法上の措置を採るべく引き続き,調査を行う必要性はないものと判断したということであります。
 なお,本件技術提供は,その実施に向けて,現在も進捗中であることから,公正取引委員会としては,引き続き注視することとしております。先ほど言ったように,グーグル・インクの技術のシェアが9割に及ぶということで,インターネット検索サービス,検索連動型広告の分野に大きな影響を与える可能性があるということは事実でありますので,そのような面で引き続き注視してまいります。
 また,積極的に情報収集するために,専門のメールアドレスを設けて,今後,広く情報収集に努めてまいりたいと思っております。今後,独占禁止法に違反する疑いのある行為が認められた場合には,必要な調査を行って厳正に対処するようにしていきたいと考えております。

独占禁止懇話会(平成22年11月30日)の概要について

 (事務総長) 今回の独占禁止懇話会では,企業における独占禁止法に関するコンプライアンスの取組状況や我が国におけるICNカルテルワークショップの開催,優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方という,3つのテーマを議題にしまして,各会員から御意見を頂戴いたしました。
 まず,「企業の独占禁止法に関するコンプライアンスの取組状況」の議題に関しましては,事業者における独占禁止法遵守の実効性を高めるための方策等について,公正取引委員会が本年6月30日に報告書をまとめて公表しましたが,それに関しまして,各会員から御意見がありまして,例えば,法務・コンプライアンスの担当役員といった者を経営会議等の重要事項を議論する場合に同席させるというようなことが企業統治の観点からコンプライアンスの実効性を高める方策を考慮することが重要ではないかという御指摘や事業者においては,問題を会社内部で穏便に処理するのではなくて,厳格に対処するということが,コンプライアンスの実効性を高める上では必要であるといった御意見がありました。
 2つ目の,「我が国におけるICNカルテルワークショップの開催」については,本年10月に横浜で開催されたカルテルワークショップの状況等について御説明して,御意見を伺いました。この点につきましては,今後,競争法が,多くの事業者が事業活動を国際的に行っていくときの共通のルールとして発展していくことが考えられる中で,公正取引委員会が,新興国の競争当局,発展途上国といった国々をメンバーに含むICNの活動に積極的に貢献して影響力を行使していくことが重要ではないかというような御意見を頂戴したところであります。

優越的地位の濫用に関する独占禁止法上のガイドラインについて

 (事務総長) 優越的地位の濫用に関する独占禁止法上のガイドラインに関してでありますが,これにつきましては,今回のガイドラインにおきまして,濫用行為の具体例をかなり多く追加したということについては評価できるのではないかという御意見をいただきました。
 また,本ガイドラインは,中小事業者全般に非常に大きな影響があるものですので,積極的に周知,説明,広報活動に努めてもらいたいといった御要望をいただきました。
 ただいま御紹介しました御意見,御要望を含めまして,今回の独占禁止懇話会において会員の皆様からいただいた御意見等の詳細につきましては,議事概要を昨日公表しておりまして,そちらを御覧いただければと思います。また,後日,詳細な議事録の公表いたしますので,併せて御覧いただければと思います。
 いずれにしましても,公正取引委員会は,今後も,こうした独占禁止懇話会等でいただいた御意見等を適切な法運用に生かしてまいりたいと考えております。

公正取引委員会委員の就任について

 (事務総長) 公正取引委員会におきまして,前委員の細川清氏が12月3日の衆参両議員の同意を得まして,12月4日に公正取引委員会委員に任命されました。
 細川委員は,長年にわたり裁判官として司法に携わり,東京家庭裁判所長,名古屋高裁長官等を歴任され,法務省におきましても法務行政に長年携わられ,司法及び法務行政の各分野において,高度な専門的知識,経験を有されている方でいらっしゃいまして,昨年11月に国会で同意を得て,本年1月に公正取引委員会委員に就任されましたが,前任者の残任期間を引き継いだ形で,本年の8月11日に任期が満了となりました。
 その後,再度,公正取引委員会委員への就任をお願いするということで,12月4日に委員として任命されたということであります。

平成22年の独占禁止法改正法案について

 (事務総長) 平成22年の独占禁止法改正法案について,公正取引委員会が行う審判制度の廃止等を内容とする独占禁止改正法案でありますが,第176回臨時国会が閉会した先週の3日の衆議院本会議におきまして,閉会中審査という手続とされました。
 本改正法案は,本年の3月12日に第174回通常国会に提出された後,さきの臨時国会におきましても審議をお願いしてきたところですが,今回,審議が行われなかったということで引き続き継続ということになりました。公正取引委員会といたしましては,次期の通常国会になると思いますが,1日も早く審議をしていただければと思っておりまして,国会における審議が円滑に行われるように今後とも努めてまいりたいと考えているところであります。

[質疑応答]

 (問) モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エーに対して,公正取引委員会が立入検査をしたという報道があったのですが,その経緯について教えてください。

 (事務総長) 本日,公正取引委員会が株式会社ディー・エヌ・エーに対して,独占禁止法違反の疑いで立入検査を行っているという報道がされており,立入検査を行ったということは事実でありますが,個別事案にかかわる問題でありますので,具体的な詳細や今,御質問のような背景,契機といったものについては,従前からお答えは差し控えさせていただいておりますので御理解いただければと思います。

 (問) 立入検査を行ったのは事実ということなのですが,では,具体的に,例えば,この後の展開として,一般論で構いませんが,排除措置命令など,どのような方向性になっていくのか,また,全く理由もなしに立入検査を行ったということはないと思いますが,例えば,差し控えない範囲でどのような理由でということをコメントいただけないでしょうか。

 (事務総長) 今後の見通しということに関しては,公正取引委員会が立入検査を行うということは,当然,独占禁止法違反の疑いがあったということでありますから,そこで独禁法違反の事実が今後認定されるということになりますと,それに基づいて排除措置命令といった法的措置を講じるという可能性はあると思います。しかし,これは,審査を行って,そのような事実が認められたらということであり,本日,立入検査行ったところでありますから,現時点の見通しについては,申し上げる状況にはありません。また,公正取引委員会が立入検査を行うに至る契機については,いろいろな形で情報が寄せられるというケースもありますし,公正取引委員会で職権探知と呼んでおりますが,独自に情報収集していくという活動もあります。それらも含めまして,どのような契機,又は,どのような情報提供が寄せられたので公正取引委員会が立入検査に至ったということは従前からお答えしておりませんので,本件につきましても,具体的にどのようなことを契機として,公正取引委員会が立入検査に至ったかということは差し控えさせていただければと思います。

 (問) 独占禁止法違反の疑いがあることだけは事実なのでしょうか。

 (事務総長) 新聞報道等では独占禁止法第19条違反の疑いがあると報道されているようでありますが,当然そのような疑いがあるということで調査に入っているということかと思います。

 以上

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