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平成23年2月23日付 事務総長定例会見記録

平成23年2月23日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成23年2月23日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

着うた提供事業者による共同の取引拒絶事件に係る審決取消訴訟について

 (事務総長) 
 着うた提供業者による独占禁止法違反事件に関する審決取消訴訟について,先週2月18日に最高裁判所において上告棄却及び上告不受理の決定が出されましたので,御紹介いたします。
 この事件は,上告人エイベックス・マーケティング株式会社ら5社が,5社で共同して設立したレーベルモバイル株式会社に対して,着うた提供業務を委託する一方,共同して,他の着うた提供業者に対し,原盤権の利用許諾を拒絶しているというもので,公正取引委員会は,不公正な取引方法として禁止している共同の取引拒絶に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するとして,平成20年7月,勧告に応諾した1社を除く4社に対し,排除措置を命ずる審決を行いました。4社は,共同して利用許諾を拒絶した事実はないとして,東京高等裁判所に審決の取消しを求めました。
 平成22年1月,東京高等裁判所は4社の請求を棄却する判決を行いました。そして,4社のうちエイベックス・マーケティング株式会社ほか2社が上告提起及び上告受理申立てを行いましたが,今申し上げましたように,先週2月18日,最高裁判所において上告棄却及び上告不受理の決定が出されたものです。
 本件の争点は,5社が共同して原盤権の利用許諾を拒絶しているか否か等でしたが,この点について,東京高裁は,「共同して」に該当するためには「意思の連絡」が必要となるとした上で,意思の連絡を認めるに当たっては,お手元にお配りした資料1の下のアンダーライン部分にありますように,「事業者相互間で明示的に合意することまでは必要ではなく,他の事業者の取引拒絶行為を認識ないし予測して,黙示的に暗黙のうちにこれを認容して,これと歩調をそろえる意思があれば足りるものと解すべき」と判断しています。
 この「共同して」とは,不当な取引制限,すなわちカルテルや談合においても要件となっておりまして,この場合の「共同して」の考え方につきましては,平成7年の東芝ケミカル事件の東京高裁判決を始めとして,いくつかの裁判所の判断が行われていますが,本件の東京高裁判決は,共同の取引拒絶について判断された初めての判決になります。そして,先週の最高裁の決定により,東京高裁判決及び当委員会の審決が確定いたしました。
 公正取引委員会としては,今後とも独占禁止法の厳正・適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

公正取引委員会を装った不審な電話について

 (事務総長) 公正取引委員会を装った不審な電話に関する情報について,注意喚起の意味を含めてお話しさせていただきたいと思います。
 当委員会では,事業者や消費者の皆様からの相談や御意見など,一般的な相談を広く受け付けておりますが,昨年の6月ころから,公正取引委員会の職員又は公正取引委員会の依頼と名乗って,未公開株や外貨取引を勧誘する電話がかかってきたという情報が寄せられています。
 具体的には,昨年6月ころ,公正取引委員会を名乗って未公開株の購入を勧誘されたというような情報や公正取引委員会のロゴが掲載された貸金業者のホームページがあるという情報が何件か寄せられ,その際には,公正取引委員会ホームページにおいて,注意喚起を行いました。
 その後,しばらくそのような情報は無くなりましたが,昨年の10月ころから,また,未公開株の取引の勧誘に関する情報が再度寄せられるようになり,さらに,外貨,イラクディナールの取引の勧誘の電話がかかってきたという新たな情報が多数寄せられるようになりましたので,これについても,公正取引委員会のホームページにおきまして,注意喚起を行いました。
 具体的な勧誘の内容については,お手元にお配りしたホームページの抜粋,資料2をご覧いただければと思います。こうした不審な電話についての当委員会への相談者は高齢者の方が多く,現状,相談者の方に対しては,当委員会の業務を説明した上で,当委員会が未公開株や外貨取引の勧誘を行ったり,取引に許可を与えることはないので,悪質な詐欺だと思われる場合には,警察や消費者センターに通報するよう説明しているところです。
 なお,今月17日には,国民生活センターから,未公開株の取引勧誘に関するこれまでの相談の概要や相談事例,問題点,消費者へのアドバイスといったことについて,報道発表されておりますので,参考にしていただければと思います。
 公正取引委員会ホームページにおいても,本件に関する情報を掲載しており,今後も引き続き,必要に応じて注意喚起などの対応を行ってまいりたいと思っています。

 [質疑応答]

 (問) 先ほどの公正取引委員会の名前を語った不審な電話のことですが,昨年10月ごろから,再度,多数あったということですが,その件数は大体どのくらいになるのでしょうか,また,実質的に被害にあった方などがいたのかということを教えていただけますか。

 (事務総長) 当初からこういった相談についての件数を集計していたものではないので,具体的な件数は,トータル何件というのは把握していないですが,今年に入って把握しているだけでも二,三十件の相談が寄せられております。
 また,実際に被害に遭ったというようなことがあるのかということですが,実際にお金を振り込んだという相談も受けておりまして,実際に被害に遭った場合には,消費生活センターなどに御相談いただきたいということをお伝えしております。

 (問) 報道が先行していますが,企業結合に関して,事前相談の見直しが報道されていますが,これについて,実際にどのような状況なのか,記事の中でもパブコメを実施するということが出ており,パブコメが行われるということを前提で聞いているのですが,パブコメの時期が明らかにできるようであれば,教えていただきたい。

 (事務総長) ただ今御質問のあった企業結合規制の見直しについては,新成長戦略などにおきまして,企業結合規制の見直しを行い,平成22年度中に所要の措置を講ずるということとされており,このような閣議決定を踏まえて,公正取引委員会において見直しの検討を進めております。
 見直しの具体的な内容については,迅速性や透明性を一層高める観点から,現在,検討しているところでございます。
 時期については,近々のうちに公正取引委員会規則の改正などを内容とする見直しの原案を公表して,パブリックコメント手続に付すことを予定しております。

 (問) 御見解をお伺いしたいのですが,いろいろ産業界が,企業結合の審査に時間が掛かりすぎるという批判があるというのは,そちらでも御認識されていると思います。それを何とかするために,今そのような制度の見直しを進めていらっしゃるということですが,そもそも,どうしてそのように時間が掛かるのか,どのようなところに原因があるのかとお考えなのかなどをお伺いしたい。

 (事務総長) 時間が掛かるという点につきましては,企業結合の案件といっても,いろいろな事案がありますので,それを一概に,企業結合審査であれば,このくらいの時間で検討できるというようなことは,なかなか一般的には申し上げられません。例えば,合併する企業が,日頃,競争会社であった場合に,その両方が取り扱っている商品が多数あるということであれば,その商品ごとに検討する必要がありますし,また,両社の市場における地位が高い場合には,それだけ市場に与える影響が大きいので,どのような市場に影響を与えるかどうか,要するに,その企業結合が行われた後においても,買い手であるユーザーや消費者に不利益を与えることにならないかという観点から,しっかりとした審査をしなければいけない点がありますので,そういったものについては,やはりそれなりの時間が掛かるといえます。
 他方で,そのような中でも,併せて迅速性,透明性を高めて,審査をしていくという観点は必要だと思いますので,そういった観点から,今,見直しをしております。

 (問) 追加ですが,企業結合の審査を行う調査官の数が少ないというような指摘もありますが,その辺はどのような御認識ですか。

 (事務総長) 今,公正取引委員会に限らず,公務員全体の定員を削減する方向にありますが,その中でも,公正取引委員会の定員は増やしていただいておりますけれども,企業結合課の企業結合規制にかかわる担当も,やはりその迅速性を高めるためには,それなりの体制を整えていきたいという現場からの希望はあります。また,単に人数だけではなくて,弁護士やエコノミストなど,質的な体制の強化も含めて,検討していきたいと考えています。

 (問) 今日,初めて参加したので,これまでの流れが分からなくて恐縮ですが,新日鉄,住金の企業結合審査について,正式な申込みはこれからだと思いますが,現状で,スケジュールなど,もし御発言できることがあれば,お願いします。

 (事務総長) これは,先般,当事会社から2月3日,来年10月を目途に統合すべく検討を開始するという発表がありましたが,その後,独占禁止法に基づく届出や事前相談の申出は受けておりません。まだこれからのことだと思います。

 (問) 正式な審査の申込みの前に,事前審査という意味ではなく,事務的なやりとりというのはあると思いますが,その辺は,どのような手続になっているのでしょうか。

 (事務総長) 2月3日に24年10月目途に統合することを公表された翌日に,公正取引委員会にもその旨の御報告をいただいておりますが,その後は特にございません。

 (問) 繰り返しになりますが,今,事務的なやり取りはないということですが,今後のスケジュールとして,どのくらいの頃に,こちらに伺うという話も全くきていないということでしょうか。

 (事務総長) はい。

 (問) 先ほど,複数あれば商品ごとに検討するということですけど,例えば,新日鉄,住金などの場合に,鉄に絡んで,いろいろな多数の商品がありますけど,前回の会見で,決算書などは直近のものを提出してもらうということだったんですが,必要な書類ということでは,それぞれの商品全てに関して,どのくらいの販売量があるということを全て提出してもらうのでしょうか。

(事務総長) それはまた,当事会社の方で,どういった商品をどのくらい扱っていらっしゃるかの説明を受けてから検討していくことになると思いますので,今,一般的にどのくらいになるかというのは申し上げられません。

 (問) 説明してもらい,必要ない,もちろん小さな商品等は,必要ないと判断されるのか,必要されると判断するのか,分からないですが,実際に申請に来た時に説明を受けて,その後,提出してもらうという形になるのですか。

 (事務総長) 届出書自体は,フォーマットが決まっておりますので,その届出書を記載してもらい,それに添付していただく資料が整っていれば,届出を受理することになります。
 それで,法定の届出があった場合の手続ですが,その届出があって30日以内に,問題がないかどうかを判断して,問題がないという場合には,それをもって終了しますし,問題がないかどうか,さらに詳細に審査をしていく必要があると考えた場合には,資料を更に求めて,その出てきた資料を踏まえて検討を進めていき,90日以内に結論を出すというのが,この企業結合審査のスケジュールの仕組みになっています。

 (問) 最初の一次審査の段階では,最初のフォーマットどおりの内容で30日間は審査されて,その段階で,その途中に,追加で書類を求められることはないのですか。

 (事務総長) 会社の方から事前に資料が出てくる場合というのは,もちろんあるとは思いますが,それがなければ届出書が受理されないというものではないということです。

 (問) 公取委から追加で書類を求めるのは,30日以内での決定を一度経てから,追加で求めるのでしょうか。

 (事務総長) 決定といいますか,30日以内に,追加の資料が必要な場合には求めるという手続になるわけですけれど,これは,一般論なので,今,御質問の件について,今後どうするかというのは,まだ,そこまで行っている段階ではないので,どうするかは今は申し上げられませんが,一般的には,そのような仕組みで企業結合,届出があった場合には,30日以内にそのような判断をして,詳細に審査すべきだと考えた場合は,相手に質問等を行い,それに対する報告が出てきてから90日以内に結論を得るというのが法律上の仕組みになっております。

 以上

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