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平成23年3月9日付 事務総長定例会見記録

平成23年3月9日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]
国際シンポジウムについて

事務総長会見記録(平成23年3月9日(水曜)13時30分~ 於 公正取引委員会事務総局官房第一会議室)

 [発言事項]

国際シンポジウムについて

 (事務総長)
 本日,私からは,先週3月4日の金曜日に開催した国際シンポジウムについてお話ししたいと思います。
 この国際シンポジウムは,お手元の資料にありますとおり,競争法と企業結合規制というテーマで,公正取引委員会の競争政策研究センター,CPRCと呼んでおりますが,このCPRCと京都大学,日本経済新聞社との共催により開催したものです。
 当日は,欧州委員会のダミエン・ネーヴェン・チーフエコノミスト,この方はジュネーブ大学の教授でもあるのですが,このダミエン・ネーヴェン・チーフエ コノミストと,競争政策研究センター所長の小田切成城大学教授,川浜京都大学教授から講演が行われました。
 その後,競争政策研究センターの主任研究官の一橋大学の岡田教授の司会によりまして,この3人の講演者の方と株式会社ボストンコンサルティンググループ 日本代表の御立尚資氏を交え,パネルディスカッションが行われました。
 なお,当初参加予定であったアメリカの連邦取引委員会のハワード・シェランスキー経済局次長は,都合により残念ながら来日中止となり,出席いただけませんでした。
 講演者,コメンテーターの方の発言の主なポイントにつきましては,お配りしている2枚目の資料にまとめておりますが,今回のシンポジウムでは,合併により企業の効率性の向上が達成できるのかということや合併の実証分析をいかに政策に活用するかといったことについて議論が行われました。
 効率性の向上については,企業が効率性向上を図るための手段には,合併以外にも共同研究や事業提携などの方法もあることから,なぜ合併を選択する必要があるのかという観点が重要であるとのコメントがなされました。また,米国,欧州,日本を含め,企業結合に対する考え方の国際的な収れんが進んでいる中で,合併審査においても経済分析の活用が各国で議論されているといったコメントがなされました。
 シンポジウムの議事録は,後日,競争政策研究センターのホームページで掲載する予定としておりますが,当日は,200名を超える大勢の方々に御参加いただきました。
 今後とも,競争政策研究センターが競争政策に関する国際的な交流拠点ということの機能を果たしていくために,外部の方々の意見も参考にして,一層有意義な国際シンポジウムを開催していきたいと考えています。

 [質疑応答]

 (問)先日,合併審査の手続と基準,ガイドラインの見直しが発表されましたが,これによって今後の合併審査の在り方がどう変わるのか,また,特に,事前相談については,これまで申請する企業側もそれに頼っていた面というのがあると思いますが,なくなることによって懸念されることなどありましたら併せてお聞かせください。

 (事務総長) 企業結合審査の見直しについては,昨年来,閣議決定された幾つかの新成長戦略等におきまして,グローバル市場にも配慮した企業結合規 制の見直しを行うということで,検討を進めてきたところです。
 この見直しの案としては,1つは審査手続を見直すということで,大きな点として,事前相談制度の位置付けの見直しを行うことで,従来は,事前相談の段階で判断をして回答しましたが,今後は,独占禁止法上の判断は,法定の届出後の手続において示すということにしたものです。
 この事前相談制度は,経 済界のニーズに基づいてできた制度ですが,各国では,事前相談の段階で回答が示されていないという国際的な整合性,また,平成21年の独占禁止法の改正で,それまで株式取得については,事後報告という形でしたが,この21年の改正によりまして株式の取得についても合併などと同じように事前の届出制になったことで事前相談の意義が薄れてきたこと,また,今,経済界のニーズに基づいてできた制度であると申し上げましたが,経済界も,昨年の秋に経団連や関経連 からもそのような事前相談の在り方についての提言が行われたといったことを踏まえて見直しを行ったものです。
 また,事前相談制度の見直しを行っただけではなく,従来,この事前相談制度については,企業の方からなかなか事前相談が始まらない,事前相談と法定の届出の二重の手続になるのではないかといった指摘もありましたので,公正取引委員会と届出会社とのコミュニケーションを充実させていくことが重要だろうということで,今回の見直しにおいて,コ ミュニケーションを充実させるために,これは公正取引委員会にとっても,企業にとってもメリットがあるものだと思いますが,審査期間中に届出会社から求めがあった場合には,論点を説明し,問題がないという結論が出た場合には,事前通知をしないということを書面で通知するといった企業結合審査の終了時の手続を整備しました。
 また,審査基準については,従来から,企業結合ガイドラインがありますが,この企業結合ガイドラインは,その内容が,やはり, どうしても理論的な面があり,また,記載に抽象的な面があるということで,企業の方から,どのような場合に独占禁止法上の問題があるかということが分かりづらくて企業結合を躊躇してしまうという指摘もあったところです。
 したがいまして,今回,これまでの運用を踏まえて例示を増やしたり,また,考え方を明確化するといったことによって,より分かりやすい審査基準になるように努めたところで,これによって企業結合を検討している企業が,分かりづらいということで萎縮することのないようにということを考えたものです。
 そこで,今,御質問の何が変わるのかということですが,企業結合審査の透明性や迅速性,さらには企業の予見可能性といったものを高める観点からの見直しを進めましたので,それを企業の方で活用していただくことになろうかと思っています。
 また,もう一つの御質問の事前相談がなくなることに対する懸念ということですが,この事前相談制度は,経済界のニーズに基づいてできた制度なので,事前に回答を得たいというニーズはあろうかと思いますが, 国際的な整合性や経済界の全体としてのお考えと,平成21年の改正で株式取得も事前届出になったといったことを総合的に考慮して,今回,このような仕組みにすることによって企業結合審査の迅速性や透明性を高めていこうと考えているものです。

 (問) 新日鐵と住友金属の既に発表されている合併協議についてですが,その後,発表の翌日に,こちらにも事前の報告があったと思いますが,その後のやりとりは今どのようになっているのか教えてください。

 (事務総長) 当事会社が本件を公表されて,翌日に,私どものほうにも御報告がありましたが,その後,当事会社の方から独占禁止法に基づく届出や事前相談の申出といったことは受けておりません。

 以上

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