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平成23年9月7日付 事務総長定例会見記録

平成23年9月7日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成23年9月7日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

競争政策研究センター(CPRC)の活動状況について

 (事務総長)
 本日,私からは,競争政策研究センター,CPRCの活動状況についてお話ししたいと思います。
 経済のグローバル化や技術革新が活発に進んでいる状況におきまして,公正取引委員会における競争政策の運営,あるいは法執行に関しては,経済学的な,また法学的な分析や知見を取り入れていく必要性が高まってきています。
 このような問題意識から,公正取引委員会は,平成15年に競争政策研究センター,Competition Policy Research CenterということでCPRCと略しておりますセンターを発足させまして,今年で9年目を迎えているわけであります。
 CPRCの初代の所長は,現在,早稲田大学政治経済学術院教授をなさっています鈴村興太郎先生であり,現在は小田切宏之成城大学社会イノベーション学部教授を所長にお迎えしまして,国際的にも大変著名な経済学者であるお二人のリーダーシップの下,主任研究官や客員研究員になっていただいている外部の法学者,経済学者の方々と,公正取引委員会職員との「三者協働」による研究等を行いまして,独占禁止法の執行や競争政策の立案を行う上での理論的な基礎を強化する活動を展開しています。
 具体的には,CPRCでは,独占禁止法の執行や競争政策の立案に当たって参考になると考えられるテーマを選定した上で,共同研究を行っております。そして,その成果を共同研究報告書として取りまとめ,報告書の公表や公開セミナーの開催を通じて,研究成果を広く一般の方々に提供しているところです。
 共同研究と呼んでおりますのは,CPRCの活動が,今申し上げました経済学者,法学者,公正取引委員会職員という三者協働によるものだからです。
 また,公開セミナーということで,例えば,今年の6月には,「企業の提携・部分的結合の経済分析と競争政策」をテーマに開催いたしましたが,募集定員を大幅に超える応募があるなど,CPRCの活動に対する社会的な関心も高いものになっていると思っております。
 このような競争政策に関する理論的,実証的な基盤としての役割のほかに,CPRCに私どもが期待しているもう1つの重要な役割として,競争政策に関する研究者や実務家の国際的な交流拠点としての機能を果たすことがあげられます。
 CPRCの発足以来,海外の競争当局の担当者や学識経験者を迎えて,国際シンポジウムを開催しておりまして,今年3月には,「競争法と企業結合規制」というテーマで開催いたしました。また,少し先ですが,来年3月には,「カルテル・談合の経済分析と独禁法」というテーマで国際シンポジウムを開催する予定としております。
 CPRCでは,このような国際シンポジウムにおける議論の模様や共同研究の報告書などをCPRCのホームページに掲載しておりまして,どなたでもアクセスできるようになっておりますので,関心がある方は,是非御覧いただきたいと思っております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 東証と大証が経営統合するという報道がありますが,その結果,株取引がほぼ独占されるということになると思うので,特殊な業界であるため伺いたいのですが,公取委は,仮にそのような状況になるとしたら,どのような観点で審査をしていくことになるのでしょうか。また,現状において,先方から相談があったり,公取委の方で事前に情報を集めているようなことがあったら教えてください。

 (事務総長) 今,御指摘の個別のケースにつきましては,報道されていることは私も存じ上げておりますが,当事会社からは,その報道があったときに併せて経営統合に係る決定をしたという事実はないということを発表されているものと承知しております。
 公正取引委員会としては,当事会社がそのような届出を行ったとか,そのような決定を行ったとかということを明らかにしていない段階で,届出があったか否かなどを申し上げることは差し控えておりますが,一般的には,上場企業のような大きな組織がそのような決定をすれば,いわゆる適時開示ということで,公表されていくのだろうと思います。また,仮にそのような統合が進んだ場合にどのような審査を行うのかということについては,個別具体的な案件であり,届出があった場合に検討していくことになりますので,今の段階で何らかのことを申し上げることはできませんが,一般的なことを言えば,他の通常の企業結合案件と同様に,企業結合後に当事会社の市場における位置付けがどうなるか,競争者の状況はどうなのか,新規参入の圧力などがどうなっているか,競争がどのような形で行われているかといったことを総合的に勘案して,独占禁止法上の問題があるかどうかということを検討していくことになると思います。

 (問) 新日鐵・住金の件は進行中だと思いますが,今の状況について教えていただければと思います。

 (事務総長) 御指摘の件は,6月30日,公正取引委員会として両届出会社に対して報告等を求めて,第2次審査に入っているところです。
 当事会社に報告等を要請しましたが,その報告は,全てはまだ受理しておりません。

 (問) 一部は出ているということですか。

 (事務総長) 報告等について一部は行われております。

 (問) 確認ですが,全部出た段階で,第2次審査のスタートということになるのですか。

 (事務総長) そこは,よく御質問を受けるのですが,手続上,まず届出後,30日以内に問題ないと判断するか,第2次審査に入って詳細な審査をするかということを判断することになります。本件は,6月30日に報告を求めて,ここで第2次審査に入ったことになるわけです。ですから,もう既にこの案件については,第2次審査に入っておりますし,私どものホームページを見ていただければ,第2次審査中の案件というところに出ております。

 (問) 90日もカウントされているのでしょうか。

 (事務総長) 90日の件について申し上げると,第2次審査に入って,それでは一体,いつまでに公正取引委員会として独占禁止法上の判断を行わなければいけないのかということについては,まず報告を求めて,その全ての報告を受理したときから90日間以内に独占禁止法上問題があるかの判断を行うということが法律の仕組みになっております。したがいまして,全ての報告を受理した日から90日以内ということで,何月何日までに判断を行うということは申し上げられるのですが,今はまだ,その前の段階なので,第2次審査には入っておりますが,時期的なものは,まだ申し上げられる段階ではございません。

 (問) 一部は追加資料の報告を受けたということですが,一部というのは,大体,求めた報告等の何割ぐらいがきているのでしょうか。

 (事務総長) 量的なものだけではなく,求めた内容の話にもなってきますので,一部ということで御了解いただきたいと思います。まだ,全ての報告を受けているわけではありません。

 (問) 全く違う事柄についてですが,通常国会が終わり,独占禁止法の改正案は継続審議になったと思いますが,現状について,公正取引委員会側からの説明をお願いします。

 (事務総長) 政府としては,審判制度の廃止を内容とする独占禁止法の改正法案を昨年の3月,第174回の通常国会に提出しておりますが,これまでのところ審議は行われておりませんで,先般の第177回通常国会におきましても,8月末に閉会中審査として,いわゆる継続審議とされたところです。
 今後の法案の取扱いは,国会において決められる問題なので,私どもとして申し上げることはないのですが,公正取引委員会としては,1日も早く審議をしていただければと考えておりますので,国会における審議が早期に行われるように引き続き努めてまいりたいと考えております。

 (問) 新日鐵と住金の統合の件で,今回,業界の方などに幅広く統合に関する意見を求めていらっしゃると思うのですが,その状況や集まり具合は,いかがでしょうか。

 (事務総長) 今の御質問につきましては,公正取引委員会は,当事会社から届出のあったすぐ後の6月1日に,今,御質問のありましたように新日鐵と住友金属の合併の競争に与える影響について情報の募集を行っております。
 ただ,寄せられた意見,情報については,本件の審査のためにだけ使用するということを書いておりますので,今,どのような内容が寄せられているかということだけではなく,多く寄せられているとか,少ないということを申し上げると,多いと,それでは自分はもういいかなということになっても困りますし,少ないと,それほど少ないならやめようかということになってもいけないので,この点については,審査が終了するまでは,お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
 ただ,一般的に,今,御質問の件に限らず,第2次審査に入った場合には,第2次審査に入った旨を公表して,30日間,一般に関係者の方から,その統合についての意見を寄せていただくようにお願いしているところです。
 ですから,そのような意味で,本件だけ意見を求めているものではありません。ただし,本件の場合は,時期的に早い段階から意見を求めたという点が違うところです。

 以上

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