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平成23年10月26日付 事務総長定例会見記録

平成23年10月26日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成23年10月26日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

 [発言事項]

平成23年度上半期における下請法の運用状況等及び今後の取組について

 (事務総長)
 本日は,平成23年度上半期,4月から9月における下請法の運用状況と今後の取組についてお話しさせていただきたいと思います。
 公正取引委員会は,下請法違反行為に対する迅速かつ的確な処理に努めるという方針の下で,下請事業者が受ける不利益が重大であると認められる事案については勧告を行って事業者名を公表し,それ以外の事案については迅速に指導を行っています。
 平成23年度上半期には6件の勧告と2,714件の指導を行いました。
 勧告を行った6件の取引の内容は,自動車の部品や食料品の製造委託に関するものが3件,貨物の運送の役務委託に関するものが3件という内訳になっております。また,2,714件の指導件数は,半期の数としては過去最多の件数となっています。
 指導件数が半期で過去最多となった理由としては,円高や,リーマンショック以降,経済状況の低迷が続いているということが大きいのではないかと考えられます。
 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況につきましては,下請代金の減額事件におきまして,下請事業者1,469名に対し,総額4億8165万円の減額分が返還され,下請代金の支払遅延事件におきましては,下請事業者794名に対しまして,総額8,859万円の遅延利息が支払われています。さらに,不当な経済上の利益提供要請,具体的には協賛金の要請などですが,これについては,下請事業者55名に対して,総額で2,541万円の利益提供分が支払われています。
 また,下請法の運用に当たっては,違反行為の未然防止を図ることも重要であることから,下請法の違反行為の未然防止と,企業間取引の公正化への取組に向けて,各種の施策を行っているところです。
 例えば,基礎講習会,応用講習会,業種別講習会などを開催して,下請法の効果的な普及啓発を図るという観点から,下請法についての参加者の知識の度合いや,業種に応じた講習会に参加できるように,できるだけきめ細やかな対応に努めているところです。また,東日本大震災に関するQ&Aを取りまとめ,また,追加更新するなど,相談に対する迅速な対応に努めてきております。
 次に,今後の取組についてですが,公正取引委員会は,中小企業庁と共同して,毎年11月を下請取引適正化推進月間ということで,この期間内に下請法の普及啓発事業を集中的に行っております。
 下請取引適正化推進月間では,キャンペーン標語を毎年作成しておりますところ,今年度は「交付しよう 発注書面 トラブル回避の第一歩」がキャンペーン標語となっています。
 発注が口頭で行われる場合には,ともすると下請事業者に不利益なこととなりやすいので,下請法では,親事業者に対して,発注書面の交付義務を規定しております。発注書面の交付というのは基本的なことでありますが,大変重要なことですので,今年度の11月の下請取引適正化推進月間では,書面交付の重要性について周知に努めたいと考えております。
 下請取引適正化推進月間につきましては,都道府県や商工会議所,商工会などの各種団体に広報の協力を依頼しているほか,下請法の周知徹底を図るという観点から,期間中に中小企業庁と共同して,全国47都道府県,60会場において,親事業者の下請取引担当者等の方を対象に,下請取引適正化推進講習会を実施する予定にしております。
 公正取引委員会としては,昨今の経済環境におきまして,下請事業者が依然として厳しい対応を迫られているという状況を踏まえ,引き続き,違反行為の未然防止のための取組を進めるとともに,違反行為に対して,例えば下請事業者が受ける不利益が重大であると認められる場合には勧告を行うなど,厳正に対処することによりまして,下請取引の一層の適正化に努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 指導件数が上半期,過去最多になったということですが,下半期に向けての見通しや,それを踏まえての公正取引委員会としての取組をどのように行っていくかについてお願いいたします。

 (事務総長) 平成22年度は,上半期が2,325件,年度トータルで4,226件という指導件数になっております。この指導件数は,過去最高の件数でした。今年度も,半期の段階ですが,2,714件と昨年よりも2割程度上回った指導件数になっておりますので,このままいけば,23年度もかなりの指導件数になると思います。
 これはやはり,最近の経済の状況が良くないということやリーマンショック以降の影響により,下請法に基づいて適切に取り上げていくべき事件が増えているということがいえると思います。
 また,下請事業者は,自分から不利益を被っていることを言うことを,申告と言っておりますが,申告するということができる立場ではないことから,公正取引委員会では,親事業者や下請事業者に幅広く書面調査を行い,そこから違反のおそれのある事実をつかんで調査することが多いのですが,その親事業者や下請事業者に対する調査件数を毎年増やしておりますので,そのようなこともこの指導件数の増加につながっていると思います。

 (問) 東日本大震災に関係することですが,Q&Aを公表しているということですが,大震災の関係で,例えば,下請代金の遅延などが多く発生しているなどの数字を把握していましたら教えてください。また,原発に関連して,不利益を被っている下請業者がいましたら教えてください。

 (事務総長) 東日本大震災に関するQ&Aを今年の3月末に公表いたしまして,その後も事業者から,事業者というのは親事業者と下請事業の両方がありますが,事業者から寄せられた質問等を踏まえてQ&Aを追加してホームページにアップしているところです。この東日本大震災に関する相談は,東日本大震災関連ということで,原発の関係も含めて数えていますが,下請法や優越的地位の濫用といった観点から150件ほど寄せられています。
 ただし,これは相談であり,事件として取り上げたものについては,有償支給原材料等の対価の早期決済というものがございます。
 有償支給をしている場合に,下請事業者はこれを使って製造を行いますので,納品されてから下請代金が支払われるより前に控除するということは下請法で禁止しておりまして,下請代金の支払いと原材料の対価の決済の見合い相殺ということを定めていますが,この案件では,自動車の部品の製造を下請事業者に委託している会社が有償で原材料を支給しておりまして,震災の影響で下請事業者の製造が停止して納品されていない段階にもかかわらず,原材料の対価について,下請代金の額から控除していました。つまり,見合い相殺より前に控除しており早期決済の問題があるということで指導を行った事例がございます。
 これまでのところ,このような大震災の関係で指導した事件は,この事件だけです。ただし,下請事業者の方からの個別の申告は,あまり期待できない状況ですので,今年度も親事業者3万8503名,下請事業者21万2659名に書面調査を実施しておりますので,今後,書面調査の結果を踏まえて,事件の情報に接すれば,適切に対応していきたいと考えております。

 (問) 新日鐵・住金の件の現在の状況について教えてください。

 (事務総長) 当事会社の方からは相当程度の報告が行われていますが,まだ全ての報告は行われておりません。現在,当事会社の方で全ての報告に向けての準備を進めているという状況だと考えています。

 (問) 下請法の関係ですが,東日本大震災関連では上半期は指導が1件ということですが,下半期については何件かありますでしょうか。

 (事務総長) 上半期は1件で,下半期は,1か月たっていますが,それについては把握しておりません。今後,そのような情報に接した場合には調査を行って必要な措置を採っていきたいと考えておりますが,件数的なものは,まだ把握しておりませんし,見通しも申し上げられません。

 以上

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